廣戸 聡一レフェリーのpoint of view


Ultimate Fighting Championship JAPAN
1999.11.14 東京ベイNKホール


スーパーファイト
●KEI山宮(3R 3分12秒、KO)ユージン・ジャクソン○




 今回の山宮選手の課題はいわゆるストライカーに対して、ストライカーとして闘うと。相手の土壌に上がって同じ様に俺は闘うんだというところで、レスリングのタックルであるとか、キックであるとかというものを、要するにパンクラスの闘い方とはまた違う部分でおよんだというところですね。

 ですから彼自身とか、よく雑誌とかで言われる、いわゆる心が弱いという事自体はもう本当は値しないんですよ。いわゆるハンディキャップマッチですからね。ただでさえオクタゴンの中に入る時は複雑な気持ちになると思うんですが、ハンディキャップマッチですから彼にしてみれば。普段パンクラスの闘い方とはまた違う形で入ろうというところでは、もうその時点で強いハートをもっていなければそこにそういう形では臨めませんから、そういう意味のイメージチェンジもはかっての“KEI・山宮”という名前が変ったというのはうなずける結果だったと思います。

 ただ私はファンを代表してもそうだし、彼のそばにいる人間として1つ残念だなと思うのは、やはり勝たなければあのオクタゴンではいけないんですよ。ですからあらためて仕切り直しで勝負をかけてくるというところが今後彼に出てくれば最終的には勝利を手にして、しかも新しい課題を克服したというような、また厚みのある選手像になってくれると思います。もし次にいろんな形で闘うとすれば、今回は勝負を度外視した自分の実験的な闘いという事で私は理解しているんですが、次はどうか勝利を念頭に入れた対外試合にしてもらいたいなといったところが試合後の印象でしたね。ただやはりストライカーに対して物怖じせず前へ前へ出て行って互角に打ち合って行くという形ではすごく好感の持てる試合だったと思いますよ。後は今迄身につけて来たボクシングのテクニック、ああいう中で使うボクシングのテクニックを早くパンクラスの技術の中に変革してもらわないといけない。我々はハイブリッドさせなければいけませんから、ボクシングのテクニックをああいうなかで使ってもやはり最終的には何かぎくしゃくとした噛み合わないものが出て来てしまうんですよ。ですからハイブリッドさせなくてはいけない。

 ですから次の彼の仕事は身につけたボクシングのテクニックをパンクラス用の技術に変革させていく、そういった目標を持って練習してもらいたいなと思います。試合の態度にしてもなんにしても、いさぎよさにしても、たいへん立派な試合だったと思います。期待したいですね。


スーパーファイト
●ジェイソン・デルーシア(1R 1分12秒、タオル投入によるTKO)ジョー・スリック○




 単純に言ってアクシデントだったというところでたいへん残念に思います。試合としては開始早々で何回かの立ち合いが有った後のアクシデントだったので、何と表現して良いか判りませんが、ただそのアクシデントも結果的には闘えなくなってしまったら負けだよというルールのオクタゴンの中ですから、アクシデントだとはいえ負けは負け。ただそれは次回どうしてやろうかというところでは、何と言いますか、精神的なダメージ、パンチを食らって倒れた、完全に技を極められたというところで無ければデルーシア選手はまだ心の中では闘い続けていると。これに似た試合を私は2年前経験しています。当時・極真空手、現・黒澤道場の黒澤 浩樹選手が同じ様な状態で、試合中のアクシデントが進行を余儀無くされて、いわゆるドクターストップという様な形で試合を止められました。

 しかしおよそ2年の歳月を経てその続きをまた違うリングの上で復帰して行って勝利をおさめて、何といいますか、出した刀をまた鞘に納める事が出来たと思います。それを長くて苦しいリハビリという名前の闘いがデルーシア選手はこれから続きますけれども、ぜひともその勝負にもしかっりと強い心を養ってもらって勝ってもらって、そして再び元気にパンクラスのリングでこの屈辱をチャンピオンベルトというものに向けてまた再開してもらいたいなと思うし、病院のストレッチャーの上でもそういう意志の事を彼はすぐ呟いていましたので、一速い復帰を心から願っていきたいと、そんな試合でした。