6月22日(日)の梅田ステラホール大会で、渡辺大介選手(パンクラスism)との対戦が決定している佐々木選手ですが、まずは前回の試合、4/12後楽園ホール大会のVSヒカルド・アルメイダ(ヘンゾ・グレイシー柔術アカデミー/2位)戦に関してお聞きしたいと思います。今、あらためて振り返っていただくと、VSアルメイダ戦は佐々木選手にとってどういう試合だったんでしょうか?
佐々木有生:あ〜まだまだ自分は甘いんだなって思いましたね。そういうのが良くわかった一戦でした。

それはどのへんで一番感じたことなんでしょうか?
佐々木有生:いや、1つ1つの細かいことだったり・・・ん〜・・・何だろうな? 辛いことは当たり前で、でもそこで一番やっちゃいけないことは逃げることと・・・ん〜辛いことを辛いって言っててもしょうがないんですよね。そこに入っていかないと。まぁ、そういう甘さがあったんじゃないかと思いますね。今の自分はあんなもんじゃないかなって思いましたね。どんなに一生懸命練習しても、どんなに努力しても、あの時点ではあんなもんだと思います。それはどうしようもない、どう変えようもない事実っていうか・・・。

あの試合、やっぱり私も、会場のお客さんもそうだと思いますけど、佐々木選手とアルメイダ選手の寝技の攻防を予想していたと思います。ですが、実際はその予想に反して、アルメイダ選手がグラウンドを含めて打撃をどんどん繰り出してきたんですが、そのことを、佐々木選手はある程度予想してましたか? それとも全く予想外のことだったんですか?
佐々木有生:いや、予想外でしたね。予想外でしたけど、やってる最中っていうか、最初に組んだ時に「あ〜強いな」って思いましたね。すごく率直な意見ですけど。「コイツ強いな」って思って。予想外だったけど・・・ん〜自分がただ純粋に技を競いたいとか、まぁ、そう思いすぎてたというか。勝つということがどういうことなのかって部分で、真剣みが足りなかったかも知れないですね。一生懸命やって、努力するってことは大事なことですけど、真剣にその物事に取り組むってことに比べたら、遠く及ばないっていうところが出たんじゃないですか。ん・・・僕はそう思いますけどね。

では、純粋に技を競いたかったという、寝技の攻防に関してなんですけど、実際アルメイダ選手と闘ってみてどうでした?
佐々木有生:いや、多分、寝技で攻められるのかなって思ったんですよ。でも、絶対チャンスが自分に来る。そのチャンスをモノにしようって思ってたんですけど、結果的にはチャンスはあったんですけど、でもそれはいけない考え方ですよね。凌いで凌いでワンチャンスをモノにしようっていうのは、ある意味、宝くじと一緒なんですよ。でも、そういう次元にもういちゃいけないんだっていうのがわかりましたね。例えば、お客さんからしたら、面白い試合をしてさらに一本勝ちしたらそれが一番良い試合ですよね。その次が面白い試合で判定勝ちだったり。でも、そうじゃなくて、間違いなく判定勝ちできるところから始まらないと、この世界ダメなんだなって思いましたね。何て言うんだろう・・・手堅くっていうか、手堅くキッチリ勝てる上に一本勝ちがないと、やっぱりやっていけないんだなっていうのがわかったというか。

では、そういうVSアルメイダ戦を経ての『アブダビ・コンバット』だったんですけど、ご自分から出場を希望してらっしゃったところもあって。今回、初出場ですよね。そこでまずお聞きしたいのが今回の会場の雰囲気なんですけど、どんな感じでした?
佐々木有生:会場はやっぱりブラジル一色でしたね。盛り上がりもスゴくて。試合の笛が鳴ってるんだか、客席の笛がなってるんだかわからないって状態でもありましたけどね。でも、良い感じだったと思いますよ。

自ら望んで出場して、実際その場に立ったときの心境っていうのはいかがでした?
佐々木有生:ん〜心境ですか? いや、もうそういうのはなかったですね。バタバタしてて。会場について、もうすぐに試合がはじまるよって言われて。何かバタバタしてたっていうのがすごいありますね。

実際に『アブダビ・コンバット』に出場して、サウロ・ヒベイロという本当に世界トップの柔術家との対戦を終えて感じたことってなんでしょう?
佐々木有生:ん〜何でしょう? まぁ、普段いかに自分が適当に練習しているかってことと、一生懸命やったりだとか、努力するということが、いかに・・・まぁ、無駄なことっていうんじゃないですけど、真剣にやるってことに対して、意味のないことっていうのがわかったというか。そういうことがすごいわかりましたね。あと、あの中で勝っていくっていうのがどういうことかというのが、すごいわかった。

今回『アブダビ・コンバット』に出場して、何が佐々木選手にとって一番の収穫だったのでしょうか?
佐々木有生:ん〜まぁ、日々、1日を適当に過ごしたら、その適当が自分に返ってくるってことがわかったことじゃないですか。練習も一生懸命やって、「やりました。努力してます」って言っても、意味がない。真剣にやらないと、ツケとして自分に返ってくる。まぁ、そういうことが良くわかったなって。だからまぁ、ちゃんとやらないといけないんだなって思いますね。

どうでしょう? 2年後にまた開催されたら。
佐々木有生:そうですね。まぁ、プレッシャーはありますけど、また出たいですね。その時に出れるような実力を持っていたいって思いますけどね。

わかりました。では、4月、5月と、本当に世界の強豪と呼べる選手と闘ってきた佐々木選手ですが、6月のVS渡辺大介戦。2年4ヶ月ぶりの対戦で、一度目の対戦では佐々木選手が勝利してますから、今回、返り討ちにしなければいけない相手だと思います。前回の対戦というのが、佐々木選手のパンクラス第1戦だったんですけど、その時の渡辺選手の印象っていうのを憶えてますか?
佐々木有生:ん〜わかんないですね。自分が緊張しててわかんなかったですね。相手のことは。

パンクラス初戦ということで見て、あの試合は佐々木選手的には合格点をあげられる試合でした?
佐々木有生:あの時のレベルで、あの時の自分っていうのがあって、まぁ、あんなもんじゃないかなって思いますけど。

初対戦から2年4ヶ月という月日が経っているわけですが、最近の渡辺選手をご覧になってて、どういう印象をお持ちですか?
佐々木有生:いや、強いと思いますよ。ランキングに入っててもおかしくないと思いますし。佐藤(光芳)君と引き分けてますし。まぁ、そういう意味では強いと思いますし。粘り強い選手だなって印象があります。

この2年4ヶ月の間で、自分の方が成長してるっていう自信はあります?
佐々木有生:ん〜そんなこともないですけど。ただ、今、自分が持ってるモノ、感じてることや、こういうふうにやらなきゃいけないんだなっていうのをリング上に出して、それが正しかったらきっと勝つと思うんですよ。形になる。でもそれが間違ってるんだったら負けると思います。ん〜それが、自分でも正しいのか、間違いなのかわからないからやってみるしかないし。ただ昔と違うのは、もっと細かくなったと思うんですよ。自分自身が。身体で言うと、僕はパンクラスの中でもデカい方じゃないし、むしろ力もない方なんで。じゃぁ、どうしたら勝てるのかっていうのを、別に誰よりも考えてきたわけじゃないですけど、自分なりにこういうふうにした方がいいんじゃないかなってやってきたんで。自分がこの2年半ちかくで何をやってきたのか?っていうのをただ出すだけですね。自分の気持ちだったり、技だったり。どういう試合をしなきゃいけないのかっていうのを、それを出す。それがダメだったら、それは僕が弱いっていうだけです。勝ったなら、それは僕にとって財産になって、先に繋がりますから。

今回の試合っていうのは、渡辺選手にとってはリベンジ戦になりますから、それですごいモチベーションも上がると思うんですけど、佐々木選手にしてみれば一度勝った相手、しかも佐々木選手はランカーで、渡辺選手はランク外ですから、渡辺選手の挑戦を受ける立場になるんですけど、そういう状況の中で、佐々木選手は何をモチベーションに変えて試合に臨むのでしょうか?
佐々木有生:ん・・・ただ自分が強くなりたいと思った時に、1日1日をどう過ごしたのか? ただその1日1日をどう過ごしてきたのか?っていうことが、渡辺選手との試合で出ると思います。心が、モチベーションが上がんないっていうのはしょうがないことだと思います。でも、じゃぁ、それで負けるのか?それは言い訳にならないじゃないですか。そこで、アルメイダに負けたり、アブダビで負けたりしたことで、自分がどういう思いをしてきたのか。この先自分はどうしていかなきゃいけないのか。それでここで負けるようだったら、その程度の思いしかなかった。悔しいとか、屈辱だったなって思った心が、多分その程度だったんだろうなって。僕は先に行きたいから。渡辺選手は、僕に勝って、僕へのリベンジだとするじゃないですか。僕は、自分がいかにこの先、先にいけるか? そのためにここで確固たるものができるかっていう、そういうものを築いていかなきゃいけないんで。そういう闘いだと思います。別にナメてないし、丁寧に丁寧に闘おうと思ってます。昔以上に。

わかりました。では、今回のVS渡辺戦から話題を変えて。佐々木選手がアブダビで闘っていらっしゃる時に日本で行われた、5/18横浜大会の菊田VS近藤戦に関してです。試合の映像はご覧になってると思いますが、菊田選手の闘いぶりは佐々木選手にはどう映りました?
佐々木有生:ん〜らしくなかったなって思いますけどね。

それはどのへんでそう感じました?
佐々木有生:いや、全てにおいて。1ラウンド、2ラウンド、3ラウンド、全てを通して、ペースは近藤選手だったと思います。近藤選手のペースだったにも関わらず、引き分けまでもっていける菊田さんの地力っていうんですか? それはスゴイなって思いました。

1ラウンド、2ラウンドは菊田選手のペースには見えませんでした?
佐々木有生:いや、そこまでもっていける菊田さんの地力がスゴイなって。1ラウンド、2ラウンド、どう見ても僕から見たら、みんなからは菊田さんのペースに見えるかも知れないけど、僕から見たら近藤選手のペースにしか見えないんですよ。でも、普通の選手だったら、あそこで負けちゃうんですよ。でもそれを断ち切るだけの実力があるっていうのはスゴイなって思いました。そこで粘れる強さっていうのはスゴイなって。らしくないのに。全然らしくなかったですね。菊田さんの良さって、もっと・・・ジワジワ、あわてないでゆっくりゆっくりやる。何かに焦っている、そういう展開でしたね。ん・・・浮ついてたっていうのが良い表現じゃないですかね。何かすごい浮ついてた。もっとこう、菊田さんは座っているような感覚でやるタイプだと思います。もちろんそれは、近藤選手がそうさせたのかも知れないですし。

わかりました。では、最後に今回の試合にまたお話を戻して。佐々木選手を応援していらっしゃるファンの皆さんに試合に向けてのメッセージをお願いします。
佐々木有生:そうですね・・・大阪で総合の試合をするのは初めてなんで(昨年8月・梅田大会でのVS大石幸史戦はキャッチレスリングルール)、ホントに自分の持ってるものだったりを極限まで出せたらいいなと。それは細かいことだったり、いろんなことだったり。15分間で出し切れればいいと思います。それを観て、みんなが、お客さんが楽しんでくれれば良いなって。みんなが面白いなって思ってくれるような試合をしたいなと思います。

佐々木有生選手database