今のお気持ちを聞かせてください。
稲垣克臣:寂しさはすごくありますね。あとホントにこれからというか、今日第1試合で、ウチの武重選手がああいう結果が出て、オレはもっとだから、稲垣組のみんなを強くしていかなきゃいけないなっていうのをすごく感じてますね。オレの次の仕事、仕事じゃないですけど、やるべき事が見えてきたって感じがすごくしますね。

10年間いろいろあったと思いますが、一番印象に残ったことというと何ですか?
稲垣克臣:藤原組のときの生活、道場での練習、すごい思い出しますね。自分はプロレスというのはホントにすごい世界だと思ってたんですけど、思ってた通りで、練習もホントにいっぱいやったし、ご飯もいっぱい食べたし、それをすごい思い出しますね。あとパンクラスになってからは、船木さんがヒクソンに負けたことですね。

悔いはありますか?
稲垣克臣:ないですね。次にやることがすごく(あるんで)。リングの上で國奥に「まだまだこれからですよ」って言われて、すごい実感しましたね。オレがやらなきゃいけないこと、もっとみんなを強くすることを、ですね。

引退を決意したのはどういう時でしたか?
稲垣克臣:肘を何回か剥離骨折していて、手術をして、だんだん稼動範囲が狭くなってきて、普通にスパーリングする時とかでも、ちょっと曲がったり、伸ばされたりするだけで、かなり痛くて、力も入らなくなって、その時にすごく感じましたね。この状態で、今のすごいレベルの上がったリングで、定期的に試合を続けていくことができるのかって。痛みがあったりして練習もままならないのに、こういうレベルの上がったリングで試合をするのは難しいって感じましたね。そういうこともあって引退を決めました。

10年目を迎えての引退ということで、感慨深いものはありますか。
稲垣克臣:10年、そうですね。ちょうど偶然なんですけど。でも10年やってきたっていうのはすごいことだなって感じますね、オレはこういう形で引退することになったんですけど、身体のほうがこの状態ではできないということになってしまったんで。でもまだ、一緒に旗揚げしたメンバーで頑張っている、鈴木さんも冨宅さんも、高橋さんも國奥もいるんで。ホントにこれからもパンクラスの力になっていきたいですね。

もし身体が大丈夫だったら、やりたかった事ってありますか?
稲垣克臣:やり残したことですか? 最近、何だろう? 最近思うのは、船木さんのかたきを取りたいっていうか。それはほんとに「もし」の話ですよ。あの時はそういうことは思わなかったですけど、今、そんなことをたまにポッと思いますね。あの時に船木さんが負けて、オレ、よっぽどの事がないと泣かないと思ってたんですけど、船木さんがヒクソンに負けて、みんなを控え室に集めて、「オレ引退する」って言われたときには、…泣きましたね。それをなんか、今、何でだろう?気になって。カタキ討ち、カタキ討ちっていうと変かもしれないけど、ありましたね。

10年間、ずっとルールの変遷を見てきたわけですが、その経過を見てきてどうですか?
稲垣克臣:UFCとか修斗とかいろんなものが出てきて、パンクラスも遅れてきたところが、 はじめはパンクラスは格闘技界の中では、先頭切ってたと思うんですけど、途中でいろんなことで置いていかれたと思うんですよ。そこで止まっていたら先がないんで、真似していたかもしれないんですけど、こうやって進化することは、すごい生き残っていくためには必要なことですよね。

その変化は楽しかったですか、苦しかったですか?
稲垣克臣:楽しい、楽しい…楽しいっていうのはないですね。逆に苦しいかっていうとそうでもないんですけど。技術が発展していく中で、負けたくないっていうそういう気持ちですよね。

改めて、國奥選手と初めての試合だったんですが、いかがでしたか?
稲垣克臣:強いですね。はじめからいろんな人に「國奥は強いよ」って言われて。で、今日 鈴木さんからも、「ホントに最近動きも速いし、力も強い。さすがに2冠王になっただけのことはある」って言われて。それでやってみて、強いですね(笑)。やられましたね。最後はタップしました。あそこで、あきらめないでなんとかしようっていのも大切だと思うんですよ。ただ、どうしようもない、極まったときに、負けを認める強さっていうのも、すごい大切なんじゃないかなって、思ってたことなんで。あのとき首を取られて、あのままほうっておいたら落ちるだけだったんで。そこで負けを認める強さですよね。ちゃんと「オレは取られた」って認めましたね。

今までで一番印象深い試合はなんでしょう?
稲垣克臣:難しいですね。ひとつには絞れないですね。その時々によって、思い出に、印象 に残っている試合があるので。その場面場面というか。

稲垣選手といえば、旗揚げ戦の第1試合という印象が強いんですが、今でも思い出したりしませんか?
稲垣克臣:結構思い浮かべますね。ちょこちょこと。

鈴木みのる選手がセコンドについてましたが、そのこととか意識しませんでしたか?
稲垣克臣:その時は國奥との試合に集中してましたね。そのことしか考えてなかったですね。

今日の試合で燃え尽きることはできましたか?
稲垣克臣:自分ができることは試合ではやりました。

石川選手(バトラーツ)が来られてましたが、特別なエピソードはあるんですか?
稲垣克臣:藤原組の時の先輩で、合宿所の時、一緒の部屋だったんで。

それ以来?
稲垣克臣:たぶん、会ったことは、空中さんが亡くなった時にお会いしたんですけど、それ 以来ですね。

10年間応援してくれた、ファンの皆様にメッセージを。
稲垣克臣:結構オレは何でもかんでも1人で、自分の力でやってきてると思っていた時期もあったんですけど、それは気付かないうちに、周りの人間が助けてくれたり、支えてくれたりしてくれてるんだな、っていうのをすごい思うようになって。今日もすごいこうやって応援に来てくれて。すごい、もちろん周りの人間もそうですし、ファンの皆さんにも応援してもらって、力をもらってきたんだなって思いますね。ありがとうございました。

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