稲垣選手の最後の相手ということで、感想はいかがですか?
國奥麒樹真:せつないです。

稲垣選手との思い出はありますか?
國奥麒樹真:たくさんありますよ。ずっと一緒でしたからね。15歳で入った時から、今までずっと一緒ですからね。思い出はたくさんあります。一番接した時間が長かったんじゃないですかね。いっしょに住んでたこともありますし。合宿所で。年の差も、僕は15歳でしたから、稲垣さんが21とかそれくらいで、だから最初、クソガキが入ってきたと思ったと思いますし、その頃から、ずっと今までやってきましたけど。2人でね。お互い頑張り合いながらこれたというのがありますね。1人だとここまでできたのかなっていうのもありますし。

今日の稲垣選手について闘いながら感じたことってありますか?
國奥麒樹真:やっぱり、大阪、自分の道場のある大阪ということで、道場生たちの声援に囲まれながら、ものすごい気合が入って、集中した稲垣選手だったなって思いますけれども。

先ほど「せつなさ」とおっしゃいましたが、それは試合中に感じたことですか?
國奥麒樹真:いや、終わってからですかね。やっぱり。ああいう、いざああいう姿を見て、みんな胴上げしたりだとかを見てしまうと、引退で、試合はしないんだなっていうね。そう思いますよね。

今回、対戦相手にというのは國奥選手から言われたんですか?
國奥麒樹真:いや、会社が決めたことですから。やらなければやらないままでも良かったと思うし。でも今、やって終わった後の感想としては、最後にやれて良かったなという思いでいっぱいですね。

やってくれないか、と言われた時はいかがでしたか?
國奥麒樹真:一瞬「えっ?」って思いましたけど、でもすぐ「いいですよ」という返事は出せたと思いますけど。

一瞬の「えっ?」には、どういう気持ちがあったんでしょう?
國奥麒樹真:うーん…、やっぱり「えっ?」ですよね…。

ある意味、介錯役じゃないですか?
國奥麒樹真:そうですね。エキシビジョンマッチじゃなくて、今回はちゃんとしたミドル級の試合ということで、そういう場が成立したと思うんですけど。

稲垣選手は、最初「國奥選手を殴れるかな?」という気持ちがあったらしんですけど、そういうやりづらさというのはなかったですか?
國奥麒樹真:お互い練習してきた仲ですから、練習でできて、試合でできないというのは、僕の中では違うのかな、という思いが少しはあるんですよね。同じ道場の人とやらないというのはまた違うのかな。単純に、その人とオレが、同じ道場にいるんですけど、どっちが強いのかなと思ったら、やっぱり試合をして答えを出さないと、それは出ないわけですし。試合の中ではですよ。練習の中では、いくらでもできますし。そういう結果ですよね。だから、そういうやりづらさも、お互いに練習してきてリングに上がれば、もう全然ふっとんでないですけどね。

稲垣さんに言葉を送るとしたら?
國奥麒樹真:今日で引退ということで、もう試合はしないということになりますが、これからまた、道場の方ですよね。大変だと思うんですけれども、新しい人を、人材を育てて、パンクラスに送ってくるという役割が、今度はまた次あるんで、そっちのほうをやっぱり、より頑張ってもらいたいなと思います。

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