8/31(日)両国国技館大会で、シュート・ボクセ・アカデミーのニルソン・デ・カストロ選手(ライトヘビー級4位)との対戦が決まった郷野選手ですが、シュート・ボクセと言えば、郷野選手が修斗で活躍していた時にムリーロ・ニンジャ選手と対戦していますので、今回で2人目のVSシュート・ボクセとなります。では、「シュート・ボクセ・アカデミー」というジムに対して、郷野選手はどういう気持ちをお持ちですか?
郷野聡寛:いや〜正直、非常に尊敬してますね。本当に、この総合格闘技の世界においてトップのチームですからね。で、そこにいる選手は誰もが強いと。練習もハンパじゃないって聞いてますし。やっぱりそういう中で生き残った選手の集団っていうことで、チームとしての結び付きも非常に強いみたいですし。そういうことも含めて、スゴイ尊敬してますね。まぁ、GRABAKAもかくありたいと。個人的にはそんな思いもありますね。

『格闘技通信』誌(2003年9月8日号 No.332)でのインタビューで、「ブラジリアン・トップ・チームよりキツイ」という旨の発言がありましたが、それは具体的に言うとどういうところがそうなんでしょうか?
郷野聡寛:(ブラジリアン・)トップ・チームの方が打撃の強さで確実に落ちますからね。で、総合格闘技は立った状態からはじまりますから、打撃の展開っていうのは避けられないじゃないですか。その避けられない状況の中で、プレッシャーを感じるのと感じないのとでは、その後の展開で大きな違いがあるんですよ。スタミナのロスにも影響してくるし。そういう意味で、トップ・チームよりはシュート・ボクセの方がキツイっていう意味で言ったんですけどね。

ニルソン・デ・カストロ選手に関しては、『K-1 JAPAN』での試合(2002年4月VS子安慎吾戦)も、また今年6月(ディファ有明)のVS KEI山宮選手との試合もご覧になってらっしゃると思いますが、郷野選手はカストロ選手をどのように分析してますか?
郷野聡寛:寝技をあまり見てないんで、寝技に関してはわからないですけどね。立ち技はもう、本当に一級品ですよね。で、普通のキック(ボクシング)とかに比べて技が綺麗じゃない分、より受けづらくて、それでアグレッシブだからホント性質(タチ)が悪いなっていう。自分に限らず、どの選手がやるにしても打撃に関してはスゴイ受け辛い打撃だろうなって。それがスゴイやっかいだなっていう印象ですね。ハイ。

6月のVS KEI山宮戦を観てて、あの首相撲のプレッシャーとそこからの膝蹴りというのが非常にやっかいだろうなっていうのを感じました。
郷野聡寛:そうですね。確かにあの膝と首相撲がなければかなり楽な相手なんですけど。まぁ、でも僕もタイに行って首相撲はしこたまやってきましたし、普段も練習の中でやってますから、そんなに対応できないとは思わないですけど。振り回されたりするようなことはないと思うんですけどね。だからその辺はそんなに心配してないですけどね。一番怖いのはやっぱり飛び膝ですよね。スゴイところから飛んで来るんで、気を抜けないっていうのがありますからね。やっぱりそれは注意するところですよね。

今回、総合格闘技のチームとしては世界でもトップに位置するシュート・ボクセ・アカデミーの選手であり、しかも打撃の強豪というカストロ選手との対戦にあたり、郷野選手の中で課題としていることはどんなことでしょうか?
郷野聡寛:ん〜・・・課題っていうのは自分の中でちゃんとあるんですけどね。それは〜言ってもアレですからね(笑)。まぁ、ただ・・・何て言うんですかね。馬鹿なことはしないって感じですかね(笑)。ハイ。やっぱり頭を使って。相手の得意なところに飛び込んでいくのはハッキリ言って頭の良くないことなんで。僕がカストロ選手と試合をして、勝つ確立が一番高いやり方っていうのがあると思うんですよ。それを実践しようと思ってるだけで。

わかりました。では、今回のVSカストロ戦は、『パンクラス旗揚げ10周年記念興行』の『VS世界のトップ・バァーリ・トゥーダー』の中にラインナップされている一戦になりますけど、そういう肩書き的なものがつく一戦ということで、試合に臨む意識にこれまでとは違ったものがあったりしますか?
郷野聡寛:まぁ、そんなに変わらないですね。正直。これまでも簡単な相手と試合したことはないですからね。試合の難易度で言えば、(両国大会の)全部で8試合ある中でも上位にあると思うんですよね。ただ、第4試合ということで、そういう評価しか周りからは得られてないっていうところにもどかしさはありますけどね。自分としてはこれまでで一番強い相手とやるっていう意識の中で、やっぱりスゴイ練習をしていて疲れもあるし、ストレスもあるし。そういう状況の中で迎える試合が第4試合にしか組まれないっていうのが正直ムカつきますけどね。ハイ。

今回、『VS世界のトップ・バァーリ・トゥーダー』という枠組みの5試合の中にGRABAKAの選手が郷野選手を含めて4人エントリーされていますが、そういう中で現在のジムの雰囲気っていうのはいかがでしょうか?
郷野聡寛:どうですかね? まぁ、最近練習の内容も少し変わって、より実戦に近い形態になってきたんで、今それをみんなでこなして。試合並みにキツイねって感じで。一つの辛いことをみんなでこなすってことで、良いムードではあると思いますけどね。みんなが厳しい試合に向かってるっていう意識があるので。そうですね・・・良いムードだと思いますよ。逆に試合が組まれてないヤツとか、ケガで休んでる人は乗り遅れてるのがスゴイ悔しいと思うし。

では、郷野選手と同じく、今回の両国大会で『VS世界のトップ・バァーリ・トゥーダー』に出場するGRABAKAの三崎選手、佐々木選手、菊田選手の3選手に対して、郷野選手がそれぞれに期待することをお聞きしたいと思います。まずはVSヒカルド・アルメイダ戦に臨む三崎選手から。
郷野聡寛:正直、勝てるとは思ってないですね。ただ、デビューして2年ぐらいでアルメイダクラスと対戦できるっていうのは、ホントになかなかないと思うんですよ。その〜僕らはコネとかで強いヤツとパッと対戦できるっていう環境にはいないですから。実績をつくらないと強い相手と対戦できないわけじゃないですか。だから(デビューして)2年ぐらいでそこまでいくっていうのはスゴイことだと思うし。でも、正直やっぱりキツいと思うんですよね。ん〜、多分まだ自分の闘い方も確立されてないと思うし。まぁ、先に繋げるために何か一つでも掴んでくれたらと思いますよね。ハイ。

では、エバンゲリスタ・サイボーグ選手と対戦する佐々木選手に対して。
郷野聡寛:佐々木は〜・・・相手というより自分自身の問題で、それを乗り越えられれば勝つと思うんで。だから、その日の佐々木のモチベーションというか、気持ち次第だと思うんですよね。まぁ、ハッキリ言って佐々木だったら問題なく勝てる相手だと思ってるんで、期待することって言ったら普通に勝つことしかないですから。ただ気持ちが入ってないと・・・。何となく試合して、最近負けちゃったりしてるんで。そうならないようにだけしてもらいたいと思いますね。

では、最後にエルヴィス・シノシック選手との対戦が決まった菊田選手へ。
郷野聡寛:いや、相手がどんなものかわかんないんで何とも言えないですけどね。まぁ、ジェレミー・ホーンから一本とったっていうことで弱くはないと思いますけど。まぁ、菊田さんは間違いなく世界レベルの選手ですからね。いや〜菊田さんに対して僕が期待することなんて、そんなおこがましくて言えませんよ(笑)。まぁ、菊田さんも最近新しい武器を磨いてるんで、その新しい武器を少しでも出してくれたら、NEW菊田になるんじゃないかなってことで期待してます(笑)。

ありがとうございました(笑)。では、試合の話題から離れて、ちょっと別のお話を。もともと野球少年だった郷野選手にこれは是非お聞きしなければと思ってたのですが、やはり今年の阪神タイガースの大躍進について。このことを郷野選手はどうご覧になってらっしゃいますか?
郷野聡寛:ん〜・・・どうでもいいですね(笑)。あの〜正直、野球は好きですけど、プロ野球の勝敗で一喜一憂しないですから、僕。所詮、他人事ですから(笑)。

野球をずっとやってたじゃないですか?そういうお気持ちになったのはいつからですか?やってた頃から結構そういうふうに一歩引いた感じてご覧になってたのですか?
郷野聡寛:ん〜中学生頃まではやっぱひいきのチームが勝つと嬉しかったですけど、高校ぐらいからは別にひいきのチームもなくなってきましたからね。ひいきのチームというより、好きな選手っていうぐらいで。

最近のプロ野球の選手で好きな選手っていらっしゃいます?お知り合いの選手は別にして、TVとかでご覧になってて「いいなぁ〜」って思う選手とか。
郷野聡寛:僕はやっぱりイチローですかね。何でもできるじゃないですか。

松井(秀喜)選手はどうですか?
郷野聡寛:松井選手は同じ年なんですよね。東スポとか見てると、東スポの記者とかに気さくに下ネタで笑い話をするっていう、その辺がスゴイ(自分に)ちかい気がしてい親近感を覚えるんですけど(笑)。でもまぁ、選手として尊敬するのはイチローですね。プロ野球の選手になる時点で、やっぱりどの選手も野球に関しての才能って飛び抜けてると思うんですよ。すごい競技人口も多くて、高いピラミッドじゃないですか。その中で更に自己研瑳を重ねて、妥協しないで。例えばすごいお金が入ってくるわけじゃないですか。プロに入る前と後とでガラッと生活が変わるわけじゃないですか。そういう中で自分を見失う人ってやっぱり多いと思うんですよ。でも、自分を見失わないで、コツコツコツコツ自分に何ができるのかとか考えながら練習してきたから今のイチローがあると思うんですよね。だからそういう中で自己管理というか、自分をコントロールすることがしっかりできて、目標を見失わないで、しかも目標がハッキリ見えてて、その過程で自分が何をすべきかもハッキリ見えてて、それがしっかりできる。野球の才能を持ってて、更にそういう才能も持ってる人があそこまでいくと思うので。そういう過程を経て、今、ああいう舞台でああいう活躍をしてるってことがスゴイ尊敬できるし、好きな選手っていうか、自分もかくありたいなって思う選手ですね。

わかりました。では、これで最後です。8/31(日)両国大会で郷野選手の勝利を期待しているファンの皆さんへのメッセージをお願いします。
郷野聡寛:夏ですね〜・・・。8月31日に試合があるっていうことで、ホント恨んでも恨みきれないですよね(笑)。何故なら8月いっぱい練習しなきゃいけないからです(笑)。だから今、練習の疲れと、対戦相手が強いっていうこととか、遊べないっていうストレスとかがひどくて。だから(試合)当日はそれを全て発散して、楽しい試合後を迎えられるように頑張ります。だからファンのためにっていうより、自分のために頑張りますって感じですかね(笑)。ホント、自分が楽しい試合後を送りたいから、こんなに苦しい、遊びたいのに遊べない、つまらない1ヶ月を送ってきて負けるわけにはいかないですからね。もう、自分のために頑張りますから。今回、あんまりファンの人のことは関係ないですからね(笑)。まぁ、僕のことを普段応援してくれている人は、僕が何言おうと応援してくれてると思うので。僕はもう、言葉でファンを惹きつけようとは思わないですから(笑)。笑いをとろうとは思いますけど、言葉で惹きつけようとうは思わないですね(笑)。



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