第1試合 ウェルター級戦/5分2R
▲アライ・ケンジ(2R 5分00秒、判定/0-1)花澤大介13▲

2003年最後のパンクラス主催試合です。10年経って、年末、その年を締めくくる試合の選手の顔ぶれというのも随分変って来たなというのが、この対戦表を見ての私の何となくの思いです。一般のファンの皆さんには、パンクラスの、ism・GRABAKAの睨み合いと言うんでしょうか、そういう部分が凄く云々と言われるのですが、これだけ総合格闘技界に、今回パッと見ただけで、国内でも、コブラ会・A3・チームRoken・SKアブソリュート、これだけの他団体の選手が名前を連ねています。その他に海外のチームも名を連ねて来ている状況で、ism・GRABAKAという状況は語る面白さはありますが、そんな事言っている場合ではないよ、というのが私の素直な気持ちです。そして、どこが強いというよりは、誰がちゃんとしているのか、誰が強いのかという事が私は大切な部分だと思います。ちゃんとしている人間がいる周りには、やはり強いちゃんとした人間が揃って来る、というのが一流の証です。そういう意味では、この大会には色々な団体の選手が名を連ねたというところでの注目が第1です。

さて第1試合です。花澤選手はここのところ、パンクラスの戦績は今一つという部分がありましたが、毎回体のライン等が変って来るので、私は今回のリングインした時の花澤選手に大変好感が持てました。段々使う身体になっているな、良く練習しているなというのが伝わってきます。対するismのアライ選手は、夏場の試合のケガが癒えての、少し何戦かこなしてのマットでした。試合は花澤選手が前に前に、“どうしても僕は勝ちたい”という姿勢です。アライ選手もそれを迎撃しながらという形で、真向四つに組んだ試合だと思います。軽いクラスではありますが、どちらかの攻撃がちゃんと当たれば1発で相手を倒せるという技術を持っての試合で、1Rは花澤選手、2Rはアライ選手がイニシアチブ取っていくという中で、お互い良く粘り、そして良く仕掛け、良く動くという展開でのドローでした。課題としては、アライ選手はもう少し出力を上げる事です。彼はバランスと物凄いスピードで動けます。それは良いのですが、まだまだ昔の言葉で“てねから”と言いますが、ただの筋力、腕力です。そういう力のみで未だに闘っています。もう日本の格闘技界はそのラインから脱しようとしています。一番解り易く言うと、近藤 有己の闘い方、になると思います。そういうイメージの中でアライ選手が一皮剥けるかどうかは、来年、1つの注目点ではあります。花澤選手は出力も出て来ましたし、バランスも良くなって来て、何と言っても試合になれて来てるというのが、私は来年、彼が名を上げる1つのチャンスではないかなと思っています。 いずれにしても今回はドローでした。来年、どちらが先に、パンクラスのリング上で勝ち名乗りを上げるのか、勝利者コールをしてもらえるか、その辺が楽しみです。

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