2月15日(日)梅田ステラホール大会で、パンクラスMEGATONとしては高森啓吾選手に続いてのパンクラスデビューが決定した保坂忠広選手ですが、その梅田大会でのVS北岡 悟(パンクラスism/ウェルター級4位)戦のお話をうかがう前に、まずはパンクラスMEGATONの前身、MEGATONに入ったきっかけからお聞きしたいと思います。
保坂忠広:大学を中退してフリーターをやってた時に、今のMEGATONのスタッフの方たちから「やってみない?」って誘われて、総合の試合、フューチャーファイトとかに出たのがきっかけで、その時に高森先輩なんかと重量級のチームをつくっていこうって話になって。そこが原点ですね。

初めての総合の試合というのは・・・
保坂忠広:一昨年(2002年)の5月の『IKUSA』っていう大会ですね。その時はまだフリーとして出場しました。それで2度目の『IKUSA』出場の時に、IRO関さんが自分の試合の前に出てたんですよ。その時にIRO関さんのセコンドに付いていたのが啓吾さんで。そこで初めて3人が出会ったんです。それが去年の2月、ちょうど1年前ですね。

では、高森選手、IRO関選手と出会ってからは1年ということですね。
保坂忠広:そうですね。出会ってからは1年なんですけど、啓吾さんは柔道の試合場とかで見てましたから。でも声をかけれるような方じゃなかったですね。啓吾さんが上っていくような全国のトーナメントのところまで自分らいけなかったですから。年齢も違いましたし。だから観客席から「大牟田の高森ってスゲェな」っていう目で見てましたね。

では、そういう方と初めて言葉を交わした時はいかがでした?
保坂忠広:もう、緊張しましたね。あの〜、やっぱり見てわかるように結構こわもてじゃないですか(微笑)。で、啓吾さんは日大に行ってて、自分の高校の先輩にも日大に行ってる人がいたので、その人の話題で切り出したんですよ。僕から。それが初めてでしたね。IROさんとは、その2度目の『IKUSA』でIROさんと対戦した人と僕が練習していたこともあって、その時は話さなかったですね。

保坂選手から高森選手とIRO関選手のお二人をご紹介していただくとしたら、どんな方たちですか?
保坂忠広:そうですね〜、共通して言えることは・・・頼れる兄貴的存在って言うんですか。やっぱり練習なんかでも、自分は不器用なんで疲れるとドンドンドンドン形が崩れてくるんですよね。そんな時もフォームのチェックなりなんなりを面倒見てくれたり。練習の後とかジュースを奢ってくれたり(微笑)。良いお兄さん的存在ですね。まぁ、オーラは怖いんですけど(笑)。

・・・(笑)。そういうお二人と1年前に出会って、MEGATONとして活動してきた中で、昨年後半に“パンクラスMEGATON"のお話がありました。その話を聞いた時の心境っていかがでした?
保坂忠広:まぁ、パクリになっちゃうかも知れないですけど、啓吾さんも言ってましたけど、「僕らでいいの?」っていうのが正直な気持ちですよね。あとまぁ、チャンスだなっていうのもありましたし。いろんな気持ちがあって複雑でしたね。パンクラスになる意味合い、いろんな意味、責任とかも含めて、そういうのが生まれるじゃないですか。以前の感覚のままでやってたら、もちろんこれまでのパンクラスの歴史に対して申し訳ないっていうのが出てきますし。パンクラスMEGATONの話を聞いた時は、まだ次の試合は決まってなかったんですけど、(今年)1月の『DEEP』でのVS石井 淳戦が決まった時は震えましたね。パンクラスっていう名前が付くことで、やっぱり他団体の選手には負けられないっていう責任感が出てきますし、負けたくないんで。

昨年の12月25日にパンクラスMEGATONの設立記者会見を行って、格闘技専門誌やスポーツ新聞でも大々的に報じていただいたんですが、そういう状況の中、パンクラスMEGATONとして一番最初に試合に出場したのが保坂選手で、それが今年1月、『DEEP』後楽園ホール大会でのVS石井 淳(超人クラブ)戦でした。結果としてはフルタイムでの判定負けという、初戦としては厳しいものになってしまったんですけど、あの一戦を少し振り返っていただけますか?
保坂忠広:ん〜、結果に関しては一言、僕が弱かったんだなっていうのに尽きるんですけど、やっぱりパンクラスに限らずプロの試合っていうのはお客さんの目があるじゃないですか。そこで自分の中でテーマを決めてやってましたけど、内容だけ見ると20点もあげれない内容だったと思うんですよ。20点でも甘いような。石井選手は確かに大きかったし、挿してからも倒せなかったんですよね。倒されなかったけど倒せなかった。自分のスタイルをさせてもらえなかったなって。だからそれが反省点で。でも、逆に(石井選手の方が)格上じゃないですか。(ジェイソン・)ゴドシー選手にも勝ったり、謙吾選手にも勝ったりして。そのビデオも毎日見てましたけど。だから胸を借りるつもりもありましたし。それでも闘うからには勝つ一点で試合には臨んだんですけど・・・。自分の中では膝蹴りと倒してからのパウンドというテーマがあったんですが、それを出させてもらえなかったですね。自分のキャリアの未熟さを痛感させられました。山田(学)さんにも練習を見てもらってて、そこで教わったことを出せなかったのがすごい申し訳ないなって。逆に言うと、まだまだ練習すればもっと強くなるんじゃないのって、くよくよしててもしょうがないよって切り替えはしたんですけどね。

試合の後の周りの反応はいかがでした?
保坂忠広:まぁ、辛いですよね、やっぱり。MEGATONのスタッフの方たちからは「初めての3ラウンドで、石井選手を相手によくやったんじゃない」って言われたんですけど、どう考えても泥(試合)だったんで(苦笑)、慰めてくれてるんだなって感じましたし。逆に気を使わせて申し訳ないなって思いました・・・。やっぱり石井選手とはスタイルがかぶってるところもあるので、石井選手の上手かったところを吸収して、他の選手と対戦する時に出せるようにしたいですね。そういう意味で言えば良い敗戦だったと思います。

わかりました。では、昨年10月の後楽園ホール大会で、MEGATONとしては一度パンクラスのリングに上がってますけど、パンクラスMEGATONとしては初めてパンクラスで試合をした高森選手の、先日のVSセハク(RJW/CENTRAL)戦に関してお聞きします。もちろん目の前でご覧になってたと思いますが、あの試合の感想をお願いします。
保坂忠広:いや〜、正直な話、石井選手との試合で凹んだんですね。自分はダメだなって。だからあの試合を見て背筋がブルブルブルって震えました。もっと練習しなきゃダメだなって。兄貴見習わなきゃなって。もう大手を上げましたね。嬉しくて。カッコ良いなぁ〜、ああいう試合をやらなきゃなって。強くなるためには、誰かの真似から入ってもいいと思うんですよ。コレだなって。啓吾さんの左フックなり、そういうのを吸収したいなって。まだまだ打撃とか全然できないんで、自分にないものを持ってる人を見習いたいって思いますね。でも、あのパンチには寒気さえしましたね。(練習で)ミットを持っててもキツイくらいなんですよ。あのグローブで殴られたら相当効くんだろうなって。セハク選手の心配までしちゃいましたからね(微笑)。いろんなことを思いました。

では、ちょっと話は元に戻るんですけど、山田学さんに練習を見てもらっているというお話がありました。先日の高森選手の試合ではセコンドにも付いてましたけど、山田さんと言えば、ずっとパンクラスの最前線で闘ってきた選手で、船木(誠勝)選手や鈴木(みのる)選手にも勝利している、本当にパンクラスの中でトップクラスの選手でした。そういう方と、今、一緒に練習していてどうですか?
保坂忠広:そうですね。毎週月曜日は山田道場、山田先生の指導のもと、ここ(P'sLAB東京)で練習してるんですけど、終わった後の充実感が違うんですよね。自分のレベルで今全力で山田先生に向かっていっても勝てないんですよ。だから教えてもらった後の充実感、「あぁ、やったなぁ〜。総合やったなぁ〜」っていう、そういう充実感。やる気にさせてもらえるっていうか、そんな感銘を受けるんですよね。褒めていただいたり、レベルを合わせていただいたりしてるんでしょうけど、とにかくやる気にさせてくれますね。山田先生は。あと、僕、10周年記念のDVD、2枚組みのものを持ってるんですけど、山田先生の現役時代の映像を見て、そういう方に直接教えてもらえるっていうのは、これもチャンスであり光栄なんだなって。

では、そういう山田先生との練習があって、遂に2月15日(日)の梅田ステラホール大会でパンクラスデビューが決まりました。対戦相手が、約50kgほど体重の違う北岡 悟選手。しかも、この無差別級の試合を望んだのが北岡選手で、「MEGATONの選手と闘いたい」ということなんですが、対戦相手に北岡選手の名前を聞いた時の心境はいかがでした?
保坂忠広:「えっ!そうなんですか?」って。それで寝技の上手い選手じゃないですか。パレストラにも通ってたっていうのも聞いてましたし、知ってましたし。それで50kgちかく軽いっていうのもその時点でわかるじゃないですか。でもまぁ、自分はあんまり・・・不器用なんでやること変んないかなって。相手が軽かろうが、重かろうが、スタイルを器用に変えるほど上手くないんで。じゃぁ、軽いなら軽いでやってやろうじゃないかって。そう思いましたね。パンクラスのホームページを見たんですけど、この対戦をちょっと煽ってましたよね。「ナメて痛い目にあうのはどっちだ?」みたいな感じで対決色を出してましたけど。でも、僕個人としては、それよりも前回の石井選手との敗戦を払拭することに集中したいので。そうすれば勝手に勝ち負けは付くんじゃないかなって思うんですよね。

北岡選手から「MEGATONの選手と対戦したい」という希望があったということを知った時に、正直ムカつきませんでした?
保坂忠広:ありましたよ。やっぱり。でもそれを出しちゃうとっていうのがあったんですけど、でも正直ありますよ、それも。50kgですからね。逆に負けられないってプレッシャーも出てきましたし。

この試合、負けた方にはすごいリスクが伴う対戦だと思うんですね。北岡選手が負けた場合、自らこのある種無謀ともとれる対戦を望んだというのがありますから、「そら見ろ」ってことになりますし、逆に保坂選手の場合、「50kgも軽い相手に負けた」って言われてしまう。そういう非常に辛いリスクを背負う対戦っていうことに関してはどう思われます?
保坂忠広:いやもう、その通りだと思います。僕も。実際MEGATONを名指しっていうのをスタッフから聞いた時に、ウッ!って思いましたし。啓吾さんは試合終わったばかりだからできないじゃないですか。あとキャプテンとしても。だからこれはチャンスなんだなって自分のことを考えてたんですけど。北岡選手は(ウェルター級の)ランキング4位ですよね。そういう選手に勝ったんだぜって言えますよね。今、僕は上るしかないんで。下の方から。軽量級の全ての選手に対して言うわけではないんですけど、こういう機会があったので、喰わしていただきますみたいな。山田先生とだいたい体格も一緒じゃないですか。まぁ、変らずいつもの自分を出して。普通にやれば普通の結果が付いてくると思いますし、体重が軽いからといっても技術を持ってる選手なんで、ナメてはかからないですね。ナメてかかれる人じゃないと思ってるので。僕がナメられる分には構わないんですけど。それでお互い燃えれば良いので。

勝ちパターンっていうのはもう見えてますか?
保坂忠広:そうですね。石井選手に自分がやられたように、北岡選手のスタイルを出させないつもりなんで。体重差を承諾してるんだから、その体重差に苦しんでもらおうかなと。それしかないですよね、やっぱり。

わかりました。では、今回、パンクラスデビューです。そして非常にリスクを背負った闘いでもあります。そういう状況の中、この一戦で保坂選手は会場のお客さんに何を見せたいのか?どんなところを見てほしいのか?
保坂忠広:そうですね〜、パンクラスMEGATONとしては二人目じゃないですか。もちろん僕個人としても見てほしいんですけど、基本的に地味なんで、僕(苦笑)。だからやっぱりMEGATONとして闘いたいので、闘うので、MEGATONは高森だけじゃないんだって、そういうのを見せたいですね。それと僕の気持ちを見てほしいですね。これだけは自信を持って言えますけど、僕は打たれても気持ちで負けてるつもりはないので。今まで。石井選手との試合でも。そういう部分でチキンな試合はしたくないので。ハートで勝負です(笑)。

わかりました。では、最後です。当日、保坂選手の試合を楽しみにしていらっしゃる皆さん、また、保坂選手を応援していらっしゃる皆さんへのメッセージをお願いします。
保坂忠広:そうですね・・・地元のみんなにも、MEGATON、そしてパンクラスのスタッフの皆さんにも、いろんな面でサポートしていただいてると思うんです。それに対する恩返しというのは、“勝ち"が一番だと思うんですよね。だから“勝ち"に拘って、勝って恩返ししたいですね。それに尽きますね。あとは・・・なかなか大阪まで観に来ることはできないと思うんですけど、ちゃんとTVでも放送してもらえるくらいの良い試合をしたいです(微笑)。「大阪行って、勝ってきました」って是非とも凱旋帰国したいですね。埼玉国へ(笑)

そのためには・・・
保坂忠広:勝ちます。絶対勝ちます!

保坂忠広選手database