3月29日(月)の後楽園ホール大会で、A-3の内藤征弥選手との対戦が決定している佐藤選手ですが、今回の試合は昨年4月の後楽園ホール大会(VS渡辺大介戦)以来、約11ヶ月ぶりの試合、ケガからの復帰戦ということになります。そこでまずは欠場することになったケガの現状なんですが・・・。
佐藤光芳:そうですね〜、ほぼ完治したって感じなんですけど・・・まぁ、こんなもんスすよって感じですか。

お話しできるところまでで構いませんので、何故この11ヶ月間を欠場することになってしまったのかを教えていただけますか?
佐藤光芳:練習中に腰をケガしまして、8、9、10、11と4ヶ月ぐらいもう動けなくて・・・それでまぁ、試合できなかったっていうのがあるんですけど。でもよく考えたら、ジョン・ローバー(チーム・マシーン)がバックれたからですね(笑)。(欠場期間の)前半は相手が試合を断ってきたからですね。

確か7月の後楽園ホール大会で決まってましたけど、試合直前のケガで欠場になったんですよね。
佐藤光芳:試合の2日前にその試合自体がなくなったんです。だから前半は相手のキャンセルだから、僕のせいで(欠場期間が)11ヶ月じゃないですから(笑)。相手半分、僕半分(笑)。

ケガをしたのはいつ頃だったんですか?
佐藤光芳:7月の後楽園ホール大会の1週間後ぐらいですね。8月の頭ぐらいですね。

では、これまでの11ヶ月間、佐藤選手は欠場選手という立場でパンクラスのリング上をご覧になってきたと思いますが、この11ヶ月間でGRABAKAにもいろんなことがありました。その辺のことを1つ1つお聞きしていきたいと思います。まずは大きなところで、GRABAKAのドン、菊田早苗選手が近藤有己選手(パンクラスism)と2度対戦して、1度目の5月はドロー、2度目の11月は近藤選手が勝利し、菊田選手にとってはVS日本人選手で初黒星を喫してしまいました。2度にわたる菊田VS近藤戦を佐藤選手はどうご覧になってました?
佐藤光芳:僕はもう、菊田さんが勝つと思ってたので・・・。でもまぁ、あの2人のレベルなんで、どっちが勝ってもおかしくない、それぐらいのレベルの2人ですからね。だからショックと言えばショックなんですけど、しょうがないと言えばしょうがないですね。そんな感じです。

では、2つ目ということで。昨年8月の両国大会から“パンクラスVS世界"というテーマの下に、パンクラス所属選手と世界レベルの強豪外国人選手の試合が結構組まれて、そこに登場するパンクラス所属選手はGRABAKAの選手が圧倒的に多い、GRABAKAの選手が“VS世界"で頑張っているというような状況でしたけど、その様子をご覧になってていかがでした?
佐藤光芳:あの〜、(GRABAKAの)みんながそんな高いレベルのところで頑張ってるのに、「俺は何をやってるんだ」って、ホントすごいショックでしたね。自分が情けなくてホント嫌でしたね。これ、もし僕が今学生だったら、登校拒否してる気分ですよ。もちろん応援はしてましたけど、その反面、ホント自分が情けなかったですね。何もできなくて。試合以前の問題で、試合できないからホント悔しかったです。

そういうお気持ちの中で、勝率も含めてGRABAKAの選手の厳しい闘いぶりをご覧になってていかがでした?
佐藤光芳:いや別に、どの種目だって・・・例えばサッカーだろうと野球だろうと、ほとんどの種目がそうであるように、世界の壁にぶつかって一度下がるけど、その差をどんどん縮めてきてるわけじゃないですか。だから簡単に勝てるレベルじゃないし、分が悪いのも、そんなの最初からある程度予測できてたことだし。だから今は勝率が悪いかも知れないけど、まだまだ先があるので。ちょっとづつでも世界との差を縮めていければ良いんじゃないでしょうか。結構マイペース。っていう感じです。

“GRABAKA vs世界"と言える数々の試合の中で特に印象に残っている試合って何かありますか?
佐藤光芳:僕は郷野(聡寛)さんのVS(ニルソン・デ・)カストロ、VS(マウリシオ・)ショーグンですね。やっぱり名前のある2人だし、カストロは『K-1』、ショーグンは『PRIDE』っていう大きな舞台で活躍してて、しかも体格差のある中での闘い。その試合が決まってからの緊張感とか、試合までの調整なんかも含めて、そういう全てを乗り越えて闘っている郷野さんを見て、「自分もそのレベルになんないとな」ってホント思いましたね。僕はGRABAKAの中で郷野さんと一番付き合いが長いんですけど、やっぱり郷野さんは凄いなと思いました。

わかりました。では、“VS世界"の話から離れて別の話題を。佐藤選手がGRABAKAの中でも非常に仲良くしていらっしゃる(笑)あの方が、昨年、6戦5勝1引き分けという戦績を残し大活躍しました。
佐藤光芳:誰ですか?(笑)

人気・実力ともに急上昇中の石川英司選手なんですけど(笑)、その石川選手の大躍進をご覧になってていかがでした?
佐藤光芳:そうですね〜、でも、正直あれだけ結果を残しているのは凄いことだと。そういう部分はホント素直に凄いなって思うんですけど・・・。でも僕は人間的に認めてないので(笑)。これまでアイツに負けてきた選手の悔しさを僕はすごい感じるので(笑)、その悔しさを僕が違う形で、僕の対戦相手にぶつけていければと思います(笑)。

・・・(笑)。では、もう1つGRABAKAの中での話題を。昨年11月の両国大会で、郷野選手の入場の際に山宮恵一郎選手が付いて来て、試合後の郷野選手のマイクアピールで山宮選手のGRABAKA加入が明らかになったんですけど、もちろんそのことは事前にご存知だったと思いますが、あの日の舞台裏も含めて、山宮選手のGRABAKA加入に関してどういうお気持ちでした?
佐藤光芳:あの日のことは最初聞いてなくて・・・でもちょっと不穏な動きがあったじゃないですか。ちょっとプロレスちっく(笑)で、郷野さんはどちらかというとプロレス否定派なのにプロレスちっくなことをしてるから・・・。僕的にはお客さんとかファンの方に近い、同じような感覚であの様子を見てましたね。でも、強い人が(GRABAKAに)入るというのは、僕にとっても今後のプラスになるからすごい喜ばしいです。

山宮選手がGRABAKAジムで練習をはじめた12月の頭からもう4ヶ月弱が経ってますけど、山宮選手がGRABAKAに加入したことによって佐藤選手の中での良い効果は出始めてますか?
佐藤光芳:そうですね。やっぱ選手はみんな動きがそれぞれ違うじゃないですか。だから新しい動きっていうか、いろんな人と練習するのが強くなるためには一番良いと思うので。山宮さんはレスリング出身でレスリングが上手いから。GRABAKAって柔道系の選手が多いじゃないですか。だから久々にレスリングの技術をちゃんとやりあえる、練習で出せる人ができたので、そういう面では楽しいですよね。スタンドレスリングの練習とか。僕がGRABAKAの中では一番レスリングでは強いんですけど、あらためてレスリングっていう部分でも良い練習になるし、寝技に関してもこれまでのGRABAKAのメンバーとは違う技術なので新鮮ですよね。新しい相手ですし。あと人間的にも良い人なんで(笑)。

わかりました(笑)。では、昨年5月からの約11ヶ月間、佐藤選手はリングの外からパンクラスの闘いをご覧になってて、その間に大きなケガもあり、いろいろなことを考える時間がたくさんあったと思いますけど、この11ヶ月間という非常に長い時間を振り返ってみて、ご自分的にはどのような時間でした?
佐藤光芳:ホントに、正直マイナス思考でいましたね。周りのみんなが頑張れば頑張るほど「自分は何なんだ?」とか・・・。しかもどんどん差ができたりして。だからこれからは対戦相手がどうのこうのじゃなくて、GRABAKAの他の選手に追い付くかとか、追い越すかとか、今はそっちのことばっかりなんですよね。(11ヶ月間で)ホントいろいろなことを考えて、結論も出つつあるので。ほとんどマイナス思考だったんですけど、今は良い兆しが見えてきた状態ですね。

では、そういう良い兆しが見えてきた中で迎える今回のVS内藤征弥戦ですが、内藤選手は昨年12月のディファ有明大会でハー・スン・ジン選手(ネオファイト)に一本勝ちでパンクラスデビューを果たした選手ですけど、対戦相手に内藤選手の名前を聞いた時の心境っていかがでした?
佐藤光芳:「へぇ〜」です。別に何か・・・(相手が)強いとか弱いとかで考えるんじゃなくて、もう自分の問題なんで。だから相手が内藤選手だろうが他の選手だろうがあんまり関係なかったですね。

ハー・スン・ジン選手との試合はご覧になってると思いますが、内藤選手にはどのような印象をお持ちですか?
佐藤光芳:しっかり一本をとったので凄いなと。それだけですけど。

試合のシミュレーションっていうのはもうしっかりできてます?
佐藤光芳:あの〜、そんな細かいところまでのではないですけど、一応こんな感じでいけたらいいなっていうのはあります。

では、今回のVS内藤戦の、佐藤選手の中でのテーマっていうのは何でしょう?
佐藤光芳:とりあえずまぁ・・・言い方がちょっとアホっぽいですけど、今までの自分を変えるっていうか・・・。とにかく相手どうこうじゃないんで。「昨日の私にさよなら」みたいな感じですね(笑)。ホント、相手どうのこうのじゃないんですよ。自分って、今まで気持ちで負けてる試合ばっかりなんで、自分に勝てれば相手にも勝てると思うし、もう気持ちの問題なんで。だから今回はちょっと頭おかしいんじゃないかってぐらいの闘いをしたいです。

新生・佐藤光芳みたいな感じで。
佐藤光芳:そうですね。とか言って変ってないかも知れないですけど(笑)。「変ってねぇじゃん」って(笑)。「言ってることとやってることが違うじゃん」って言われるかも知れないですけど。まぁ、郷野さんは技術で勝負みたいなことを言ってますけど、僕は気持ちで勝負と。あんま技術ないんで(笑)、気持ちで勝負と。そんな感じです。

わかりました。では、ガラッと話題を変えてユル〜いお話を。精神的にも肉体的にも非常に厳しい時間を過ごしてきた中で、何かプライベートでの喜びっていうのは見出せました?
佐藤光芳:そうですね・・・最近「江古田」が楽しくて(笑)。今の僕にはそれしか言えないんですよ(笑)。それ以上のことには触れられたくないんですよね(笑)。言いたいけど言えないみたいな。

江古田の何が良いんですか?(笑)
佐藤光芳:江古田は・・・まぁ、例えるなら、疲れきった体をそっと温めてくれるスープのような存在です。

江古田には頻繁に行ってるんですか?
佐藤光芳:そうでもないです。たまにですね。月に2回とか3回とか、4回とか5回とか・・・(笑)。ず〜っと行かない時もあるし、ちょこちょこ行く時もあるし。最近は行ってないですけど。プライベートは江古田にたまに行くぐらいで・・・。あとは何もないですね、最近は。

では、江古田が佐藤選手の中でマイブーム?
佐藤光芳:マイブームというか・・・マイライフ!

生活ですか?(笑)
佐藤光芳:昼間は練習して、夜はGRABAKAジムで指導して。で、帰りに江古田に寄って、それから家に帰ると。そういう規則正しい生活ですね。

3/29後楽園ホールで佐藤選手の試合をご覧になる皆さんは、佐藤選手のパワーの源にはそういう江古田の存在もあるということを認識してご覧になった方がいいですね。
佐藤光芳:そうですね(笑)。

わかりました(笑)。では、最後に恒例のメッセージです。11ヶ月ぶりの試合、復帰戦ということで、本当に待ちわびてらっしゃった方もたくさんいることと思います。佐藤選手を応援してらっしゃるファンの皆さん、GRABAKAファンの皆さんへメッセージをお願いします。
佐藤光芳:あんまりデカいことは言わないですけど、面白い、印象に残る試合をしますので。皆さんに元気が出るような試合、勇気が沸いてくるような試合っていうか。技術どうのこうのじゃないけど、気持ちを見せたいと思いますので。漢(おとこ)を見せたいです。殺るか殺られるか。そういう試合をしますので、是非会場に足を運んで下さい。



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