菊田早苗:(キース・ロッケル選手が)多分強いんじゃなかっていうのはわかってましたし、後楽園っていうのもあんまり得意じゃないって言うか(苦笑)、今回は厳しい闘いになるっていうのは思ってたんですけどね。やっぱり一言で言うと、まだちょっと改革できてないっていうのと、相手が強かったなと。かなりできましたね、今までの選手の中では寝技ができる選手だった。ただ、相手のデータは少ないんですが、自分のデータはずいぶんと出回ってるなと。下から動こうと思ったんですけどね。脇締めのスイープとかいろいろ考えてたんでが、やる前に完全にブロックされました。あんまりパンチが飛んでこなかったのでまだ良かったんですけど・・・。厳しいですね。『アブダビ・コンバット』とかなら良いんですけどね。ポジション取って勝ちなんで・・・。なかなかリングだとまだまだ表現しずらいものがあって。今日はお客さんにも申し訳ないし、自分も納得できてないし。

相手の強さは防御の強さですか?
菊田早苗:そうですね。鉄壁のガードでしたね。マウントでも横に返されたりとか、ちょっと小刻みなグリップだったりで、前にそのままボーンって投げられたりする場合もあるので。細かいところで足が利くから、たいがいは僕もパスして、パスしてから休むとかするんですけど、ガードでの時間が相当長くなっちゃいましたね。(相手は)足利くし、ランディ・クートゥアと同じで年齢は関係ないですね。全然力強いです、自分より。

攻めの怖さは感じましたか?
菊田早苗:ディフェンスを彼があそこまでやらなければ、もうちょっと攻めることができたと思うし、ちょっとした恐怖心も(自分に)あったと思うんですが、(相手は)ディフェンスが多かったから、それはちょっとわかんなかったですね。良い攻撃力は持ってると思うんですが。

この試合が復帰戦というのは?
菊田早苗:難しいですね。これからは上の人と対戦することでモチベーションを上げていきたいっていうのもあったんですけど。ただ、今回みたいな組み技系というか、僕と似てるんですが、そういうヤツとやって、勝つには勝つんですけど、今日みたいな試合になってもね・・・。勝ちゃ良いってもんじゃないので、やっぱり相手も考えないとなっていうのもありますね。なにしろ1ラウンドのチャンスにしても、「ラスト何十秒!」って言われた時に焦っちゃって(苦笑)。それがなければいけたかも知れないですね(苦笑)、クラッチとか(相手は)全然してなかったので。まだまだ(自分は)甘いですね。一度逃してしまうとなかなかチャンスが回ってこないというか・・・。何か柔術の試合みたいですね(苦笑)。

対策は?
菊田早苗:ただ勝ってもしょうがないので、ああいう時に一本取らなきゃいけないという意識はあるんですよ。今日も背水の陣で向かったんですけど厳しいですね。今日はいつも以上に緊張しました。ここ2年間、いろいろこんがらがちゃって、ちょっと休んだほうが良いかも知れないですね。(頭の中で)ぐるぐる回っちゃって、いかんですね(苦笑)。30試合ぐらいやってるんですけど、最初の10試合くらいっていうのは、怖さを知らない良さっていうのもあって上手くいく時もあった。でも30戦を超えると、逆に知ってる怖さっていうか、そんなのがごちゃごちゃになっちゃって。頭の中で。で、試合も『アブダビ』みたいになっちゃって。僕もパンチが出来ない選手だから・・・。パンチを振るだけで沸かせられる選手だったら良いんですけどね(苦笑)。寝技もパンチのKOと同じで、「極める」までいかないと全くダメだし。

結果次第では引退もという話もあったようですが?
菊田早苗:それもまんざらウソじゃないっていうか・・・。やっててつまんないなっていうのがあるのと、当然強いやつなら良いんですけど、強くて有名で、オレより強いんだよ、ってヤツとやる分には。もう半端な選手とは(精神的に)闘えない状態になってきてるので。自分のモチベーション的には強くて名前のある選手と対戦したいんですよ。もう僕も残りわずかになってると思うし。でも、実際はどうかと言うと、『U.F.C.』で勝ってきてるかけだしの、微妙な強さの選手と試合している。向こうは闘志満々できますけどね。でも、自分にはちょっとしらけてるところもあって。彼とやるために練習してきたわけじゃないので、そういう意味でジレンマがあるんですね。例えば、ホイス(・グレイシー)と対戦したいんですけど、ホイスとやれば、こういう試合にはならないと思うんですよ。たぶん絡んでくると思うんですよ。話が変わっちゃいますが、この間『からくりテレビ』でボビーがホイスと対戦してましたけど、相当うらやましかったですね(苦笑)。(ホイスと)やれるまで待とうかな(笑)。今の段階では、打撃系の強い選手と対戦して寝技で勝つっていうのじゃなくて、寝技で自分の方が強いと思ってるんだけど、何で向こうの方が有名なんだって、そういう選手と対戦したいですね。最後はそういうチャンスが欲しい。それだったら1年でも2年でもモチベーションを保って練習できると。そこで進退かけても良いし。とにかくそういうチャンスが欲しいです。

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