7月25日(日)後楽園ホール大会【NIGHT TIME】で行われる『パンクラスvsチーム・クエスト 対抗戦 3vs3 』の先鋒戦で、現在ウェルター8位のヒース・シムズ選手との対戦が決定している伊藤選手ですが、そのVSシムズ戦のお話しをうかがう前に、先ずは前回の試合、4/23後楽園ホール大会でのvs小沢 稔(V-CROSS)戦について振り返っていただきたいと思います。あの一戦を観てて感じたことは、以前の伊藤選手はスピーディーなレスリングを主体に試合を組み立てていたイメージがありましたけど、昨年10月・大阪大会での復帰戦以降、打撃主体のファイトスタイルを続けているなということなんですが、それは意識してのことなのでしょうか?
伊藤崇文: そうですね。意識してますね。

それはどういう心境からですか?
伊藤崇文: ケガで欠場している時に、それ以前の自分の試合映像を見て、自分に足りないところがあったんです。それは漠然と打撃が足りないというものではなくて、この場面でパンチや蹴り、膝があればいいなと思うところがあったんですよね。それで今、勉強してます。

打撃主体のファイトスタイルに変えつつある中で、復帰戦以降、4戦して3勝1引き分けという結果を残していますが、実戦を通してのファイトスタイルへの手応えという部分ではいかがですか?
伊藤崇文: まぁ、難しいですね。そうすぐには・・・。違う相手に対してもこの攻撃が出来るとか、そうなって初めて僕は身に付いたと思うんですよ。この間の試合で小沢選手に良い打撃を入れることが出来ましたけど、それが今度のヒース・シムズ選手に対しても出来るかといったらわからないですよね。もちろんKOは狙っていきますけど。今勉強中で、少しずつ少しずつですけど手応えは感じてますね。でもまだ途中だし、もっと覚えたいし。一つボンッ!って強い打撃を持ちたいですね。

小沢選手との試合で、伊藤選手的に良かった点、悪かった点はどういうところでした?
伊藤崇文: 悪かった点は、やっぱりあそこまでダウンに近い形で倒してるので、そこはきちっと自分がダウンを取るべきところだったと思いますね。良かった点は・・・2ラウンド目にちょっと攻め切れなかったんですけど、ちゃんと理由があったんですよね。そこですね。ダウンをとれなかったその理由がハッキリしたので、そこは直します。前のクセが残ってるからこそダウンを取れなかった。そこを矯正しながら新しい技術も取り入れていきます。


では、今回のvsヒース・シムズ戦に関してですが、チーム・クエストとの対抗戦に出場するということが決まった時の心境っていかがでした?
伊藤崇文: 別に対抗戦ということに関しては、僕の中ではそれほど意識してなかったですね。でもまぁ、パンクラスチームのメンバーを見ると、すごい気の合う仲間っていうか・・・。山宮(恵一郎)にしてもismにいたし、三崎(和雄)にしても遊び友達なので、良いチームだなって思います。僕が先ずはパチッと一発目で仕留めて、次の山宮にもっと盛り上げてもらって、それで三崎にバチッと締めてもらう。そういう流れになれば良いなと。対抗戦って括られたからには。あと、メンバーを見たら「一緒に頑張らないと」って思うメンバーですけどね。でもまぁ、僕はこの試合に勝つだけで、対抗戦だからっていうところでの特別なものはないですね。

パンクラスチームのメンバーは、ismの伊藤選手と、元ismで現GRABAKAの山宮選手、そしてGRABAKAの三崎選手ですが、ismとGRABAKAとの混成チームということに関してはいかがですか?
伊藤崇文: パンクラスという同じ旗の下にいる選手ですから、僕は勝たないとあかん試合だと思いますね。それもストレートで。僕が負けて、山宮と三崎が勝ったら、またGRABAKAの方がどうこうって話になるし、昼夜合わせてメインを取っているのは佐々木(有生)と三崎のGRABAKA勢なので、そういう意味では対抗戦って見方も完璧にはし難いですよね・・・。でも、今、僕の中でメインをはりたいとかっていうのは正直ないんですよ。自分の中で一個一個ステップアップを図れる試合であれば、第1試合でも良いし、それがメインでもどっちでも良いんです。その中で自分が出せれば。

対戦相手のヒース・シムズ選手はこれまでパンクラスのリングで2戦していて、佐々木選手、大石幸史選手を相手に1敗1分という結果を残しています。その2試合はご覧になっていると思いますが、試合でのシムズ選手の印象ってどんな感じですか?
伊藤崇文: しぶとい選手ですよね。だからこの間(VS小沢戦)のようなことをしてると、この間のような試合になって、まぁ、判定で勝つみたいなことになってしまうので、そこはしっかりと。パンチ、ストレートに直すところがあるので、そこが直ってれば、間違いなくこいつは倒れます。

今年2月(後楽園ホール)のVS大石戦がシムズ選手の前回の試合になりますけど、その試合をご覧になっている皆さんは、やはりどうしてもその試合内容等で伊藤選手と大石選手を比較する部分が出てくるのではないかと思います。その辺に関してはいかがですか?
伊藤崇文: いや、別にあまり気にしてませんね。だから第1試合だろうがメインだろうが、僕がそこで上に上がるだけであって。それが大事ですね。別に今、チャンピオンベルトが欲しい訳でもないから。「もう次にベルトに挑戦するのは伊藤しかいない」ってところで、ひょっとしたら僕は挑戦を拒否するかも知れないし、今はランキングから外れたって良いと思ってるので。

では、今回の試合で伊藤選手がご自分の中で一番大事にしたいことって何でしょうか?
伊藤崇文: やっぱりきっちりノックアウトしたいですね。KO狙いです。基本的にはKOですけど、展開によって寝技で仕留められるのであれば寝技にもいきます。でも、間違いなくKO狙いでいきますね。KOで勝つことが大事です。

先ほど、一つ強い打撃が欲しいとおっしゃってましたが、そう成り得る打撃っていうものの手応えは掴めてきてますか?
伊藤崇文: いや、まだ完璧には無理ですね。勉強中です。これが出来れば良いなって思う技が二個あるんですけどね。前回も出そうと思った技なんですけど、そういう展開にならなかったのと、やっぱりまだ練習不足なんでしょうね。体に染み込んでないから。2ラウンドの最初にちょっと出そうとしたんですけど、あれじゃまだ全然。

まだまだ必殺技に成り得るとことまでいっていない?
伊藤崇文: そうですね。

その技が完成したら、もちろん名前を付けますよね?(笑)。
伊藤崇文: もちろん(笑)。他の人と同じ形でも、俺が使うとこの名前に変わるってヤツですよね(笑)。もちろん。プロレスラーとして(笑)。何が違うって、俺が使うから(笑)。

では、先ほど「対抗戦という意識はそれほどない」とおっしゃった伊藤選手ですが、今回、vsチーム・クエストを一緒に闘う山宮、三崎、両選手に何かエールを贈っていただくとすれば、どのような言葉になりますか?
伊藤崇文: ん〜、まぁ、同じパンクラスという名の下に闘うので、確実に勝利して、リング上で3人で喜べたら良いと思うし、その後、三崎とお互い無傷で『Fujiロックフェスティバル』に遊びに行けたらなお更良いなと思います(笑)。


わかりました。では、今後のことに関して少しだけお聞きします。5/28後楽園ホール大会で、門馬秀貴選手(A-3)に勝利したSKアブソリュートの和田拓也選手が、伊藤選手との対戦をアピールしましたけど、それに対して「自分のステップアップになる試合を会社には組んでもらいたい」と伊藤選手はコメントしました。そこで、そのステップアップの先にあるもの、そこに見据えているものに関して教えていただけますか?
伊藤崇文: 三島(☆ド根性ノ助)選手に勝つこと。それと、その先にもう一つあるんですけどね。今はベルトには興味ない。全然興味ない。一昨年のトーナメント(初代ウェルター級王者決定トーナメント)の時が、この生活をやってて一番ベルトが欲しかった時ですね。すごいベルトに対して欲があったんですけど、今は自分が強くなることに、根本的にプロレスラーとして強くなることにしか興味がないので。魅せる云々というより、強さで魅せるようなことに興味がありますね。

三島選手との試合に関しては、闘う場所は問いませんか?
伊藤崇文: 出来ればデカい会場で。その方が良いですね。どの団体とか、大会とかは問いません。闘うことに今は興味があるので。

今年に入ってGRABAKAの郷野聡寛選手と三崎選手が『PRIDE 武士道』に出場して、ismの近藤有己選手は、8/15『PRIDE GP 2004 決勝』大会でvsヴァンダレイ・シウバ戦が濃厚と言われていますが、伊藤選手の『PRIDE』さんへのご興味というのはどうでしょう?
伊藤崇文: 興味はありますよ。でも、『PRIDE』さんよりも出たい所があるので。それはまだ・・・試合でノックアウトで勝ったら言います。

vs三島戦の先にあるもう一つが実現した場合、伊藤選手のファンの皆さんはどういう心境になると思います?
伊藤崇文: ん〜、僕のファンって・・・どうでしょう? 古いファンの方が多いですかね? 僕の頭脳をわかっている古いファンの方がいたら、「佐山 聡vsマーク・コステロ」戦を思い出すかも知れないですね(笑)。

では、更にその先に見据えているものって何かありますか?
伊藤崇文: ありますよ。あります、あります。でも、一個一個いかないといけないんですよ。それぞれが大きいから。

それはいつまでに実現したいと思ってます?
伊藤崇文: 僕がこの仕事を辞めるまでには。ん〜、今は目の前にあることでいっぱいいっぱいなので。

わかりました。では、伊藤選手ご自身のことから話題を変えて。7/25(日)後楽園ホール大会では『ネオブラッド・トーナメント〜フェザー級&ライト級〜』の準決勝、決勝が行われます。今回で記念すべき10回目を迎える同トーナメントですが、1995年の第1回優勝者として、今回トーナメントに出場する選手の皆さんにエールを贈っていただけますか?
伊藤崇文: 俺が優勝したから間違いなくこのトーナメントは10年続いているので、汚すことなくお前ら頑張れよと。それだけです。

伊藤選手にとって『ネオブラッド・トーナメント』って、どんな存在ですか?
伊藤崇文: とにかく無我夢中でしたね。あの時は。考えることがなかったですね。優勝して、それから上にいる人を喰ってやろうっていう大会だと間違いなく思いますね。これで名を上げて上に行くとか。それだけで十分な大会じゃないですか。その後のことはそっからの話ですから。

では、これで最後です。伊藤選手の試合を楽しみにしていらっしゃる皆さん、伊藤選手を応援していらっしゃるファンの皆さんへメッセージをお願いします。
伊藤崇文: この試合に勝つと、この先もっと変わった伊藤崇文が見えてくると思うので、勝つ姿を観に来て下さい。以上です。



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