前回の試合、5/28後楽園ホール大会でのvs瓜田幸造(掣圏会館)戦を振り返っていただきたいのですが、あの一戦は山宮選手にとってどのような試合でした?
山宮恵一郎: 半年振りに試合をして、半年間、ケガの治療と環境を変えて練習してきたものがそっくりそのまま出たような感じであって、特に試合前にこうしようとかは考えてなかったですし、自然とああいう形の試合になりました。「変わったね」と言ってくれる人もいれば、「変わってない」というお客さんのヤジも聞こえたし、まぁ、それは見る人側の意見ですからどっちもありじゃないですかね。

山宮選手としては練習してきたことが出せたと。
山宮恵一郎: いや、完璧には出せてないですけど、触りの部分くらいは出せたんじゃないかなという気はしてます。

それは例えばどういう部分ででしょうか?
山宮恵一郎: 偏った考え方というか、今までは「殴り合わなきゃ男じゃねぇ」とか、そんな感じで変に思い込んでいるようなところがあったんですよ。試合はスパーリングと違って思いっきり殴って良いわけだし、小さなグローブで顔面を思いっきり殴るようなところをお客さんは見たいのかなと思っていたし。自分も今まで打撃中心の試合をしてて、いつの間にか偏ってしまっていた部分があったので、そういうのを無くして、まっさらに何も考えずに試合が出来たと。試合前はいろいろ考えましたけど、試合の最中は感覚通りに試合が出来たので、そういうところですかね。

前回の試合にはどんな思いで臨みました?
山宮恵一郎: 半年間、GRABAKAのメンバーの試合を見てて、それがパンクラスだったり違う舞台だったりしたわけですけど、それを見ていてやっぱりパンクラスのファンというのはパンクラスの選手が勝つところが見たいわけであって、パンクラスの選手が他団体の選手に負けたりすると本当にガッカリするだろうと。そういうことを強く感じたので、5月の試合はとにかく何が何でも、どんな形であっても勝とうと。それだけですね。思ってたことは。

以前の山宮選手は、パンチを主体にしたイメージがありましたが、前回は山宮選手のタックルが冴え渡っていました。でも、試合後のインタビューでは逆に打撃に重点をおいて練習していたとコメントしていましたが、今回はどんなところに重点を置いて練習してきました?
山宮恵一郎: 特にはないですね。満遍なくというのでもなく、毎日の練習についていくので必死なので、もうちょっと試合が近づかないと、試合の方に頭がいかないですね。とにかく練習中、菊田早苗に寝技でやられないようにとか、打撃で郷野聡寛に翻弄されないようにとかっていうので必死なので(苦笑)。だから今度の試合に向けてどうこうというのはまだないですね。

今回の対戦相手ですが、盟友・郷野選手と昨年2月(グランキューブ大阪)に引き分けた強豪、チェール・シェノン選手ですが、その郷野選手との試合はご覧になりました?
山宮恵一郎: 直接会場で見てましたね。

シェノン選手の印象は?
山宮恵一郎: デカい、ゴツいなっていう印象がありますね。力も強いだろうし、郷野選手をテイクダウンしてましたし、そういった意味ではレスリングの実力が非常に高い選手なんだろうなってビビってました(笑)。

ダン・ヘンダーソン、ランディー・クートァー率いるチーム・クエストのファイトスタイルとして、レスリングをベースに打撃でも前へ前へしつこく向かってくると思いますが、同じくレスリングをバックボーンに、打撃にも力を入れてきた山宮選手はどんな展開を描いていますか?
山宮恵一郎: まず、自分がレスリング出身というのがあって、そこで1回相手を見てしまうところがあるんですよ。要するにシェノン選手がレスリング出身と聞いた時に、自分のアマチュアレスリング時代のレベルと相手のレベルを比べてしまって、今回明らかに相手の方が上なので、それでちょっとビビってますね。『うわ〜タックルとられそうだな』とか。まぁ、試合になっちゃえば関係ないんですけど。どんなふうにして勝ちたいかと言えば、タックルで倒して、山固め(山宮選手オリジナルのサブミッションホールド)か何かで勝ちたいんですけどね。

一本を取りたいという気持が強いと?
山宮恵一郎: いや、勝つのも厳しい相手なので、勝てればそこには拘らないですけど。

以前対戦している郷野選手からアドバイスなどは?
山宮恵一郎: アドバイスではないですけど、話を聞いたら「デカくて、力が強かった」と言ってたので、それが率直な感想なんだろうなという感じです。

今回は対抗戦という括りの中の一戦ですが、その意識はあります?
山宮恵一郎: ん〜、あるとしたら当日じゃないですかね。今はこの暑い中、どうやって脱落せずに練習についていこうかというのが先なので(苦笑)。

山宮選手としては、何をテーマにこの試合に臨みますか?
山宮恵一郎: テーマは・・・相手が絶対強いと思うので、自分がGRABAKAに移籍した理由が『強くなるため、世界の強豪選手と闘って勝つような力が欲しい』ということで行かせてもらったので、そういう意味ではこの半年間やってきたことの総決算とまではいかないにしても、まぁ、中間試験のような感じですかね。時期的には期末試験かも知れないですけど(微笑)。

今回は『ネオブラッド・ドーナメント』10年目ということですが、第3回の優勝者である山宮選手が振り返る『ネオブラッド・トーナメント』とは?
山宮恵一郎: 僕が出場した時はデビューしてちょうど1年くらいだったんですよ。僕らの一つ前の『ネオブラッド』には近藤有己選手が出場していて、そのあとの『ネオブラッド』だったので、テーマが見出しにくい『ネオブラッド』だったと思うんです。周りの人たちからすると。でも、自分としては同期に長谷川悟史選手(故人)がいて、彼とはお互い凄く意識し合っている部分があって、おそらく彼が決勝に上がってくると思ってたので、自分も絶対上がって決勝で闘おうというようなテーマがあったんですよ。その次の次の年(1999年)くらいから他団体の選手が『ネオブラッド』に出てくるようになったので、あのあたりが最後じゃないですかね。パンクラスの若手のためだけの登竜門的な大会だったのは。僕にとってあの時の『ネオブラッド』というのは、自分の中では凄く意義のあったというか、大きな大会でしたね。長谷川選手と決勝を争うことが出来たので。彼とは本当に「コイツだけには負けたくない」という意地のぶつかり合いというのがあったと思うので、それが良かったですね。

それでは最後に、山宮選手を応援していらしゃるファンの皆さんへメッセージをお願いします。
山宮恵一郎: 今度の相手は、ヘタしたら恐ろしく地味に強いヤツだと思うので、地味さでは自分も人に負けていないので(笑)、地味者同士が闘ってどっちが派手かということですね(笑)。そういう小さなレベルの闘いを見て下さい!



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