10月12日(火)後楽園ホール大会の第4試合で、約3年半ぶりのパンクラス参戦となる佐々木恭介選手(U-FILE CAMP.com)との対戦が決定している佐藤光留選手ですが、先ずは今回のVS佐々木戦に関してお話をうかがう前に、前回の試合、6月・後楽園ホール大会でのVS井上克也(RJW/CENTRAL)戦について、いくつかお聞きしたいと思います。試合自体は、1ラウンド3分53秒、グラウンドのパンチで井上選手のKO勝利という、佐藤選手としては非常に悔しい結果になってしまいましたが、あの一戦から3ヶ月ちょっとの時間が経って、今、VS井上戦に何を思いますか?
佐藤光留:え〜、憶えてません(苦笑)。いや、結構憶えてます。全然バラバラで、相手どうこうっていうのもそうですけど、自分も本当にバラバラで、全くダメでしたね。まぁ、その原因も、僕特有の勘違いに始まり・・・それがああいう結果になって。なるべくしてなったって感じですね。

佐藤選手特有の勘違いっていうのを具体的に教えていただけますか?
佐藤光留:昔から物事が上手くいくとすぐ勘違いをして、それでスッ転んでしまうので。小学生の頃に、好きな女の子からそれを言われて、直そう直そうって思ってたんですけど、やっぱり肝心なところではそれが出ますからね。ん〜、ダメだね。

今だから明かせるVS井上戦での作戦、考えていた闘い方っていうのを教えていただけますか?
佐藤光留:も〜、打撃。それがそもそもの間違いでしたね。(自分は)組み技の選手なのに、組み技の選手っていうのもおかしいですけど、組み技を軸に、所々で打撃を使うっていう(闘い方の)はずなのに、その前の3試合、VS外山慎平(和術慧舟會 東京本部)戦(昨年9月・『DEMOLITION』)、中村大介(U-FILE CAMP.com)戦(今年1月・『DEMOLITION』)、VS中西裕一(フリー)戦(今年3月・後楽園ホール)で、打撃が少しづつ良くなってきてたので、まぁ、「俺、打撃でカッコ良く勝とう」みたいな勘違いをしてしまったんですね。今、ヴァーリトゥードの世界では、打撃の強い選手が人気もあるし、勝ち方もすごい良い風潮があるじゃないですか? あの〜、あまり具体名を出すのも嫌なんですけど、『PRIDE』に上がっている(アントニオ・ホドリゴ・)ノゲイラ選手だって、本当に組み技の選手なのに打撃上手いし・・・。パンクラスのリングでも、ほとんどの選手が打撃を軸に置いてるから。それに何で自分が乗っかろうとして・・・。やっぱね、欲をかいちゃダメですね。流行に乗ろうとして。そもそもそんな選手じゃないだろうって。

前回の試合前には、「いかに近藤(有己)選手とは逆の自然体でいられるか?」っていう発言がありましたけど・・・。
佐藤光留:そんなことを言ってる時点で、もう僕じゃないですよね。誰かを引き合いに出してる時点で、自分っていうのを見失ってると思います。ん〜、ダサい田舎の兄ちゃんがノコノコ出て来て、何か急に都会人ぶろうとしてるんですよ。それが敗因ですね。岡山出身なら岡山出身らしく、葡萄と桃を食べながら頑張らないと。

・・・非常に反省の弁が多い前回の試合ですけど、そういう試合の中でも、何か明るい材料ってありました?
佐藤光留:なかったですね。

全く?
佐藤光留:全く。全くなかったです。井上選手がその後、僕に勝ったことをステップにして、この間(9月)の後楽園で一つ結果(※ウェルター級初戦でランカーに勝利)を出しましたけど、あの一戦で、井上選手が勝ってリングに立っている姿を見た瞬間に、(自分が)やられたのを思い出して、もう何か寒気がしましたね。自分との試合で、(自分が)殴られる前に、井上選手が左手を引いたのが見えたんですよ。で、「アッ!」と思った瞬間にパンチでガクッと下になって。その時はサブレフェリーが「後頭部を殴らない」って言ってるのも聞こえてたし、会場が「ワ〜ッ!」てなってるのもわかってたし、井上選手の息も聞こえてたし。全部わかってたんですけど、身体が動かないんです。その瞬間を思い出して・・・すごく寒気がしましたね。



では、ご自分の中で本当にダメ出ししながらも、でも、いろいろとまた自分を見つめなおす良い機会になったと思われるVS井上戦でしたが、その試合から3ヶ月半を空けての、今回のVS佐々木恭介戦。佐々木選手は、2001年5月(後楽園ホール)、キャッチレスリング・ルールでのVS伊藤崇文(パンクラスism)戦以来、約3年半ぶりのパンクラス登場となります。3年半という長い歳月が経ってますので、佐々木選手も当時とは随分変わってるのではないかと思いますが、最近の佐々木選手の活動とかってご存知ですか?
佐藤光留:雑誌で『U-style』しか見てないですね。あの〜、総合だと、僕が中村大介選手と対戦した時に、中村選手のセコンドに付いてたりとか。以前はいろんな会場で良く話してましたね。僕は『U-FILE』さんに目を付けられてたので(苦笑)。過去に長南(亮)選手(2001年5月・大田区体育館)や、大久保(一樹)選手(2002年2月・梅田ステラホール)と対戦していて、『U-FILE』のみんなが「誰か佐藤選手を止めないとね」みたいな話をしてたみたいで。でも、会場で知り合ったら、同じ年の頃の、格闘技を始めてプロで頑張ってる身だったので。『コンテンダーズ』の会場とかでも、何気に仲良く話したことがありますよ。長南選手も佐々木選手も。『U-FILE』の選手とは、うちのアマチュア大会とかでもよく会うので。でも、リング上のことで言えば、『U-style』に出てることしか知らないですね。あとは『PRIDE』に出場したってことと、『DEEP』のことは知ってますけど・・・。でも、佐々木健介選手のラリアートを喰らっている佐々木選手とか、田村(潔司)選手と試合してる佐々木選手とか。

どうですか? 最近の佐々木選手の印象は? 最近、総合の試合は少ないのかなって思いますけど。
佐藤光留:でもね、僕は総合とか、プロレスっていうのは分けない。だから、僕は立場的には自分のことをプロレスラーって思ってますから。そういう僕から見たら、佐々木選手が今やってることっていうのは、ちょっと、すごいなって思う部分あり、羨ましいなって思う部分あり。でも、俺の方が本物だって思ってる部分ありって感じですね。だから、たまにヴァーリトゥードとかの試合に出てる時は、レガースだけなんですよ。着けてるのが。ニーパットも着けろよって思うんですけどね。ホントに、“U”の選手なら。僕は今回、佐々木選手がどういう格好でも、レガースとニーパットを着けていくつもりですよ。もう、周りに何言われようと。多分、北岡(悟)には、「だからダメなんですよ、佐藤さん」って言われると思うけど(苦笑)。メールで(笑)。でも・・・今の佐々木選手から、僕の知っている“U”の香りっていうのは、あんまり・・・。“佐々木選手”っていうのは感じるけど、あれが“U”か?って言ったらちょっと・・・どうかなって。僕が知ってる“U”は、もっと“U”ですよ。

佐々木選手が所属している『U-FILE CAMP.com』さんの印象っていかがですか?
佐藤光留:ん〜、あんまりないですね。『U-FILE』だからって言うのはないですよ。

佐々木選手が、田村選手のお弟子さんということに関してはいかがですか?
佐藤光留:それは僕も鈴木みのるの弟子ですから。全然。そういうのもあるんじゃないですか。うちのP'sLABだって、僕の言うことを熱心に聞いてくれて、僕みたいな、本当に地べたを這うような(苦笑)闘い方をしてくれて、勝ってくれるアマチュアの選手もいますし。それはもう、どの人にもあると思います。我流でやってたら、師匠がいないことが自分のスタイルになるってこともあるだろうし。でもやっぱり田村選手には、田村選手にしかないものがあると思うし。それを真似てるだけの選手じゃ、上には行けないと思うんですよ。そこに何かプラスアルファを自分で見つける力っていうのがないと、『U-FILE』で頑張ってても、『U-style』に出てても、絶対上になんか行けないと思うんですね。だからそういう意味で佐々木選手っていうのは、あの〜すごい、芯が太いんだろうなって思いますね。僕も負けてらんない。

今回の試合では、レガースとニーパットを着けてリングに上がるとおっしゃってましたが・・・。
佐藤光留:これで裸足で、何も着けてなかったら笑うな〜(笑)。ルール上は何の問題もないからな〜。

・・・(笑)。今回の試合で、佐藤選手がご自分の中で大切にしたいと思ってることはどういうことでしょうか?
佐藤光留:いや、普通ですよ。持ち上げて落として。殴って勝つだけです。あと、足関節。やることは一緒です。

でも、出で立ちはいつもと違いますよね。
佐藤光留:変わんないですよ。僕の蹴り、レガースがあってもなくても、当たれば倒れますから。当たんないだけですから。うん(笑)。だって僕、「旗揚げルールでやらせてくれ」って最初は会社に言ってましたからね。この対戦カード。僕と佐々木選手がそんな唐突に試合したって、何にもないじゃないかと。だったらもう、佐々木選手は『U-style』で掌底の試合をやってるんだから、掌底ルールでやらせてくれと。この試合が終わった後の、次の試合も見据えてそうしてくれって。まぁでも、結局は通常のルールでの試合になりましたけどね。そのルールの枠の中で精一杯反抗して・・・あの〜、パットを着けてやってやります。

わかりました。では、対戦相手の佐々木選手とは、以前からよく話をする機会があったとのことなので、試合を前に、何か佐々木選手へのメッセージはありますか?
佐藤光留:佐々木選手にはない。でも、僕は、鈴木みのるの弟子として育ってきて、佐々木選手も間近で僕の試合を見たことがあると思いますし、そういう人間と闘う時に、どういう佐々木選手で来るのか?それを楽しみにしてますね。かなり。



それでは、ちょっと今回の試合から話題を変えます。前回のVS井上戦の時点では、ミドル級のランキング10位につけてましたけど、その試合での敗戦で、ランキングから外れてしまいました。
佐藤光留:短い命でしたね〜(苦笑)。

そこで、現在佐藤選手が考えている逆襲のプランみたいなものがありましたら教えていただけますか?
佐藤光留:今回の試合で勝って、次の11月のNKホール大会である人と闘うために、挑戦状を出したいと思っております。はい。

それは、今回のVS佐々木戦で勝った後に、リング上からアピールするんですか?
佐藤光留:本当は、9月の大会(後楽園ホール大会)で勝手にリングに上がって、喋ろうかなって思ってたんですけど・・・。でも、そういうのもあって、今回の試合が組まれたと思ってます。

挑戦状を叩きつけた後、どうなると予想してますか?
佐藤光留:何も考えてないです。でも、その人は受けてくれると思いますよ。

今、ご自分の中で、今後に関して考えているのは、その選手との対戦まで?
佐藤光留:そうですね。だってその後のことなんか考えたって・・・。体重もすごく増えてきていて、今86kgぐらいあるので、その人に挑戦するために・・・。その試合は、11月のNKホールじゃないとダメなんですよ。それを逃して、後楽園ホールでってなっても、何の意味もない人ですから。まぁ、○×○メンバーの人です。×○×ルールで。今回の佐々木選手との試合に挑むモチベーションが、その人なんです。

わかりました。では、その意中の人に挑戦状を叩きつけるためにも、絶対勝たなければいけない今回のVS佐々木戦ですが、佐藤選手の奮闘を楽しみしていらっしゃる皆さん、そして佐藤選手のことをずっと応援していらっしゃる光留マニアの皆さんへ、試合に向けてのメッセージをお願いします。
佐藤光留:え〜、試合はど〜でも良いので、僕のTシャツ(※光留塾Tシャツ)が出ましたので宜しくお願いします(笑)。しかも会社からは出してないっていうね。個人販売だからね、これ(笑)。嘘、嘘(笑)。え〜、どっちが強いかハッキリさせるっていうのはもちろんですけど、でも、どっちが、“U”っていうのを表に出している田村選手のお弟子さんと、「そんなモン知らねェよ!」って、『U.W.F.』のジャージをオークションに出しちゃった鈴木さんの弟子の僕が、どういう心を持ってるのか?それが形になると思います。今回ホントに。だから、皆さん『U.W.F.』のジャージを着て観に来ると良いです。持ってない? 買って下さい(笑)。『U-style』じゃダメですよ。『U.W.F.』じゃなきゃ。で、試合が終わった後に挑戦状を叩きつけるので、そこにも是非。「注目してくれ」とは言わないですけど、でも、ソワソワしといて下さい(苦笑)。



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