11月26日(金)後楽園ホール大会のセミファイナルで、白井祐矢選手(アンプラグド国分寺)との対戦が決定している佐々木選手ですが、そのvs白井戦のお話をうかがう前に、先ずは前回の試合、9月(後楽園ホール大会)のvsバック・メリディス(チーム・クエスト)戦について、いくつかお聞きしたいと思います。あの一戦の背景には、試合までもう10日前後という中で、元々対戦が決定していたエルヴィス・シノシック選手(マチャドブラジリアン柔術)から急遽相手が変更ということもあって、佐々木選手としては非常に厳しい状況で臨んだ試合でしたが、2ラウンドに下からの三角絞めを極めて、見事に一本勝ちという結果を残しました。このvsメリディス戦について、今、どのような感想をお持ちですか?
佐々木有生:まぁ、一本勝ち出来たってことはすごい嬉しい、良かったことですけど、内容に関して言えば、そんなに良い試合ではなかったですからね。自分としては。一本勝ち出来ましたけど、悪いところは反省して、またそれを次に生かしてっていう試合だったんじゃないかなと。

試合前にお話をうかがった時に、「とにかく今は自分を出すだけです」とおっしゃってましたが、その点に関してはいかがですか?
佐々木有生:自分が忘れてた、例えば関節技なり何なりの使い方だったりとかってあるじゃないですか。そういうところでは、まだ勝手に身体が動くんだなってことで良かったなって思いますけど。ん〜、「自分を出す」って、言ってる意味がちょっと違うんですよね。まぁ、自分がこれまでしてきたこと、磨いてきたものを、その試合で如何に出せるかってことなんですけど、それと同時に気持ち的な部分ですよね。そういうことで言えば、前回勝って、ちょっと、一歩進んだぐらいかなって気持ちですね。

その気持ちということに関しても、前回の試合前に「自分の気持ちを大切にしたい」とおっしゃってました。その点に関してはどうですか?
佐々木有生:ん〜、難しいんですけど・・・試合をしている自分とは別の自分がいて、その別の自分が試合をしている自分をコントロールするようなイメージで試合をしたいんですよ。自分が磨いてきたものを素直に出していくために。だから・・・緊張するとかじゃなくて、何で緊張するのかと言ったら、やっぱり勝ちたいだとか、怖いだとか、そういういろんなものに囚われるから緊張しちゃったりするわけじゃないですか。そういうことを少しずつ自分で理解していって、取り払っていった時に自分らしさっていうのが出てくると思うんですよね。そういうのを求めてるんですよ。だからまだまだ模索中ですね。さっきの「自分を出すだけ」っていうのは、そういう意味だったんです。

2002年5月のvsジョン・グローバー戦以来、実に2年5ヶ月ぶりの一本勝ちという結果に関してはいかがですか?
佐々木有生:嬉しかったですけど・・・勿論お客さん的には良かったっていう部分もあると思いますけど、自分としてはもっと頑張らなきゃっていう感じですね。勝つってことは勿論大事なことだし、わかってることなんですけど、今は勝つことよりも、もっと先に進みたいんですよ。勝ち負けじゃなくて、もっとその先にあるものが欲しいんですよね。

「自分からGRABAKAの連勝街道を作っていきたい。自分がその火種になりたい」ということも前回の試合前におっしゃってましたが・・・。
佐々木有生:何でしょうね? やっぱりみんな負けたりする時もあるし、それは僕にだってあるし。そういう時にみんなが元気になって、「頑張らなきゃな」って思えるような試合がしたいって思うんですよ。昔はそうだったんじゃないですかね。だからそう在りたいなって。みんなの活力源になりたいなって。そういう意味では、まだこれからじゃないですかね。今、何となく「こんな感じかな」っていうのがだんだんわかってきて、でもまだそれが具体的な感覚ではないから。難しいですけど。

では、一本勝ちという勝利でも、試合後には反省の弁が多く見られたvsメリディス戦でしたが、佐々木選手の中ではどのような意味を持つ試合になったのでしょうか?
佐々木有生:ん〜、いろんな意味で・・・成長させてもらってるなっていうのはいつもありますよ。試合を乗り切って、そこでいろんなこと、例えば人の話の意味が「こういうことだったんだな」ってわかったり。1つ乗り越えることで、人間的にも少し成長させてもらったなっていうか。あの試合に関して言えば、試合前に熱が出たんですよ。8度5分ぐらい。そういう調子の悪い中でも何とか一本勝ちで乗り切ったってことで、自分を褒めてあげたいなって思いますね。

前進出来たと捉えていますか?
佐々木有生:そうですね。でもまぁ、これは考え方なんですけど、負けても前進していると思えば。だから後退はしてないですね、いつも。最後にどこへ行きたいのか?っていうことが、僕にとって大事ですから。




わかりました。では、そのvsメリディス戦から2ヶ月を経て臨む今回のvs白井祐矢戦ですが、白井選手との対戦が決まったという連絡を受けた時の心境はいかがでした?
佐々木有生:良い選手だなって思ってましたからね。柔道の下地もあるし。自分にはそういうものがないから、自分がこれまでやってきたことがどれだけ通用するのか、自分の何が秀でてるのかっていう、そういう判断が出来る試合なのかなとは思ってますけど。

9月の後楽園ホール大会で佐藤光芳選手(パンクラスGRABAKA)に勝利していますが、その試合をご覧になっての印象はいかがですか?
佐々木有生:スタミナがあって動けて、元気があって。元気が一番って言うじゃないですか。だから元気があって良いなって。

前回の試合で佐藤選手に勝利して、それで今回佐々木選手との試合ということで、白井選手としてはvsGRABAKA2連戦、そしてランカーへの挑戦というテーマがある試合になると思いますが、逆に佐々木選手は、9月にチームメイトの佐藤選手が負けたこととか、ランク外の選手の挑戦を受ける立場であるとか、そういったことは意識していますか?
佐々木有生:ん〜、ないですね。自分の方が上だっていう意識もないし。だから守るっていう感覚もないですね。自分が挑むという気持ちの方が強いです。あと、自分がやってきたことを如何に出せるかっていう、そっちの気持ちの方が強いです。光(佐藤光芳選手)が負けたことに関しては、そりゃやっぱりチームとしては悔しいですよ。自分の後輩だし。GRABAKAは一筋縄ではいきませんよって、そんな簡単じゃないですよって気持ちは勿論あります。でも、それも大事だけど、自分を出して勝つことの方がもっと大事なことかなって。光と僕は全く違うタイプだし。まぁ、僕は僕の出来ることをやるだけですね。自分を上手く表現できるか出来ないか。ん〜、今、無理に何かを付け加えても、それは表面だけになってしまう。今は中身が大事なんです。






わかりました。では、今回のvs白井戦からちょっと話題を変えて。今年ももう11月で、残りあと一月というところまで来てしまいましたが、今年、佐々木選手は3試合に出場していて2勝1敗という戦績を残しています。この戦績をご覧になって、どのような感想をお持ちですか?
佐々木有生:ん〜、まぁ、大変だなって。地道にちょっとずつちょっとずつ苦しい闘いをやってるんだなって思いましたね。1勝っていうのは大変なことなんだなと。まぁ、だんだん良くはなってるんじゃないですか。そう思いますけど。それぐらいですね。

もっと出来たんじゃないかとか、そういうお気持ちはありませんか?
佐々木有生:そりゃ、ありますよ。でも、止めたんですよ。そういう考え方は。もっと佐々木有生は出来るんじゃないかとか、昔の佐々木有生だったらもっと出来たんじゃないかとか。ひょっとして昔の佐々木有生だったらもっと勝ててたかも知れない。でも、それじゃダメなんですよね。もし昔の自分のままでここで勝ててたとしも、結局それは自分にとって見栄なんです。見栄を張って、ここで勝ちたいからと言って昔のスタイルを貫いたとしても、そこから先には絶対進めないです。ここはもう、プライドを捨てても良いから、新しいものを自分で備えにいこうと思ったんですよ。新しいものをつくっていくには、一回下がってでもいくしかないんですよね。これはどんな競技でもそうだと思いますけど。だから良いんです。爆発するために今は溜めてるんです。

わかりました。では、これで最後です。今回の佐々木選手の試合を楽しみにしていらっしゃる皆さん、そして佐々木選手を応援していらっしゃるファンの皆さんにメッセージをお願いします。
佐々木有生:はい。みんなの元気が出るような試合をしたいと思ってます。みんなが観て「明日頑張ろう」とか、「佐々木有生も頑張ってるから俺も頑張ろうかな」って思えるような試合が出来れば良いなと思ってますので、応援よろしくお願いします。

佐々木有生選手database