11月26日(金)の後楽園ホール大会がいよいよ迫って来ましたが、今大会のメインイベントへの出場、そして“世界の強豪”と呼ぶに相応しい実力と実績を持つグスタボ・シム選手(グレイシー・バッハ・コンバット・チーム)との対戦が決定している山宮選手。そのvsグスタボ・シム戦のお話をうかがう前に、GRABAKAへ移籍してからちょうど1年というところで、先ずはこの1年間をザックリと振り返っていただきたいと思います。早速ですが、GRABAKAへ移籍してからのこの1年間を、今、山宮選手はどのように感じていますか?
山宮恵一郎:まぁ、第2次新弟子期間と言うか。自分の中ではそういうつもりでいたんですけどね。勿論パンクラスの所属選手なので試合をするのは当たり前なんですけど、自分の中ではホントに修行期間というつもりでいたので・・・。まぁ、これからもそうですけど(苦笑)・・・。そういう意味で本心を言わせてもらえれば、今回もいろいろ試したいことがあったので、メインという責任あるポジションじゃないところで試合をしたかったというのもあるんですけどね(苦笑)。まぁ、でも、NK(ホール大会)後で人が少ないながらも、会社からせっかくこういうチャンス、出番をいただいたので、精一杯やろうとは思ってます。

昨年12月の頭にGRABAKAへ移籍して、これまでの1年間で3試合に出場していますが、その3試合を、移籍したことでの山宮選手の中の変化という観点から1試合ずつ振り返っていただきたいと思います。先ずは移籍してから1ヵ月も経たない中で迎えた、昨年12月21日・ディファ有明でのブレッド・ブレグマーク選手(シーザー・グレイシー・アカデミー)との試合から。
山宮恵一郎:あの試合に関して言えば・・・まぁ、こっちはこっちで変に気負って作ってたというか(苦笑)、そんな感じでGRABAKA移籍どうこうっていうのは全くないと思いますね。普通にただ試合をして、たまたまセコンドに郷野(聡寛)選手がいただけっていう。

でも、闘い方に変化、それまでの直線的な闘い方から、相手の攻撃をかわしてかわしてっていう、どこか郷野選手を彷彿させるような闘い方に変わっていたように見えましたけど?
山宮恵一郎:あの時は単純にケガをしてて(笑)、ドカ〜ンとぶつかることが出来ない状態だったので、ああせざるを得なかったというか。

移籍後第1戦ということで、お客さんの注目度もかなり高かったと思いますけど、その辺はいかがでした?
山宮恵一郎:逆にそればっかり気にしてしまった感じで・・・。自分が移籍した最大の理由っていうのは、去年の6月に(ニルソン・デ・)カストロに負けた時に、(パンクラスの)内部でちょこちょこやるのも良いけど、世界の強豪と呼ばれるような選手に勝てる力が欲しいと思ったからで。そう思って移籍したからには、もっとその部分を意識して練習と試合をすべきだったのに、周りの視線ばかりを気にしてしまった感じで・・・。だから本当に僕の中であの試合は、GRABAKA移籍云々というところでは捉えてないんですよね。自分の中では数に入ってないというか。

では、第1戦を終えてから約5ヶ月という時間を経て迎えた第2戦、今年5月の瓜田幸造選手(掣圏会館)との試合ですが、そのvs瓜田戦に関してはいかがですか?
山宮恵一郎:ん〜、たまたま5月28日の後楽園ホールでその瓜田選手との試合が決まりましたけど、あの試合に向けて何かをやったというのは全くなくて。まぁ、ケガも治ってようやく練習も出来るなという中で、自分が知らなかった技術とか、非常にレベルの高い選手たちとの練習なので、毎日が本当に精一杯で、練習についていくのでホントに精一杯だったんですよね。だから試合に向けてどうこうしたっていうのは一切なかったですね。で、自分の中での変化という意味では・・・まぁ、あの時のこともあまり憶えてはいないんですけど、あの時点での毎日やってきたものは出たような感じはしましたね。試合の中で相手のガードをパスしましたけど、あれもここ(GRABAKAジム)で毎日揉まれながらやってきたことが自然に出ただけであって。

試合映像はご覧になっていらっしゃると思いますが、ご自分の試合を客観的にご覧になって、どのような感想をお持ちになりました?
山宮恵一郎:ん〜、良かった部分っていうのは・・・ホントにその・・・偏った意識が出なかったっていうのは良かったと思うんですよね。実際に映像を見たら、「もっとここはこうすれば良いんじゃないか」とか、「みんなこうしてるのに何で俺は出来ないんだろう」とか、そういった部分での反省はありましたけど。でも、試合っていうのはこういうものだって感じの、自分の中での今までの偏った考え方は起きなかったので、それはそれで一歩進んだかなって気はしましたね。

では、3戦目となった、7月のvsチェール・シェノン選手(チーム・クエスト)との対戦ですが、5月のvs瓜田戦からは2ヶ月、そして移籍してからは8ヶ月が経っての試合でした。
山宮恵一郎:あの試合は、ちょっとホントに反省が多かったですね。それまで意識して練習してきたことが、試合をしながらわかってるんだけど出来なかったんですよ。「こういうふうにやってきたんだろ」って自分で思いながら、だけど相手のプレッシャーだとか、元々持っている力だとか、そういうのがあって、それで自分でブレーキをかけてしまって行けなかったところがあったので。だから「違うだろ、違うだろ」って思いながら試合をした感じでしたね。結果として勝ったから何とか一歩進んだと思いますけど、負けたら終わり、後退だと思ってるので。勝ったから良かったものの、あの試合は反省だらけですね。だけどやって良かったです。

今だから明かせる、あの試合で考えていたことってどんなことですか?
山宮恵一郎:あの〜、まぁ、今度の試合でも考えていることなので、あんまり言えないんですけど・・・。やっぱり寝技の状態でのことですね。

試合前のインタビューで、確か「中間テストみたいなものです」というような発言があったと思いますが、ご自分で100点満点で点数をつけるとするなら何点の試合でした?
山宮恵一郎:ん〜、赤点が30点とするなら、35点ぐらいですかね(苦笑)。勝ったってことで赤点ではなかったですけど、せっかく試験に向けて勉強して覚えたことを、ちょっと忘れちゃったよって感じの試験だったので。何とか赤点にはならなかったけどって感じでしたね。

GRABAKAの選手の皆さんって、誰かが試合をする時は、セコンドに付けない人もみんながリングの周りにいて、声を張り上げて声援を送ってたりするじゃないですか。そういう輪の中にいることで、何か気持ちの変化ってありました?
山宮恵一郎:あの〜、ホントに厳しい練習を毎日みんなでやってて、それでみんなが一生懸命やってるのを見てるだけに、試合に出てる人にはホント頑張って欲しいって気持ちがあるんですよね。だから、自然とああいうふうに応援してしまうと思うんです。それをよく結束力とか、団結力とかって言われますけど、あれは別にパフォーマンスじゃなくて、自然とああなってるだけなんですよね。よくGRABAKAの結束力とかって記事とかも見ますけど、GRABAKAの選手の人たちは全く気にしてないと思います。あれはホントに自然な姿であって。

昨年12月の移籍から、ここまで3戦して2勝1分けという戦績ですが、この結果に関してはいかがでしょうか?
山宮恵一郎:まぁ、とりあえずGRABAKAの看板にまだ土はつけてないので、良いんじゃないかとは思ってますけど。

GRABAKAに馴染む、馴染んできたという点ではいかがですか?
山宮恵一郎:そうですね・・・まぁ、郷野選手の発言があって、それに乗っかるような形で自分もここに来ましたけど、その他の人は実際どう思ってるのかなって、逆に言えば「何だよ、ホントに来たのかよ」って思ってるのかなって、ちょっと不安というか、ビビリはあったんですけど(苦笑)。でもまぁ、ホントありきたりなんですけど、みんな良い人が多いので、そういうようなアレもなく、すんなりと。いろんなことも教えてもらったので(笑)。

ここで練習することに関しては、もう全く違和感はないと?
山宮恵一郎:そうですね。まだまだここで練習したいこともいっぱいあるので、もう暫くはいさせて欲しいなって(笑)。






わかりました(笑)。では、赤点ギリギリの中間試験を4ヶ月前に終えて、その反省点をご自分の中できちんと把握して練習を積んできた中での今回のvsシム戦ですが、シム選手との対戦が決まったという報告を受けた時の心境っていかがでした?
山宮恵一郎:そうですね・・・やっぱり、グスタボ・シムっていう名前を聞いて真っ先に思い浮かんだのは、『DEEP』での佐々木(有生)さんとの試合(2002年3月・愛知県体育館)でしたね。あの時、自分は謙吾(パンクラスism)の応援で会場に行ってたんですけど、「おっかね〜外国人と試合をしてるな〜」っていうのが第1印象で、その当時は「出来ることならこういう選手とは交わらないような人生を送っていけたら良いな〜」って思ってたんですけど(苦笑)。でも今は、やっぱり世界の強豪って言われる人なので、単純に今現在の自分を試してみたいっていう気持ちがあるので良かったですね。まぁ、勿論いつものように怖いですけど(苦笑)。

佐々木選手との試合も会場でご覧になっていますし、その佐々木選手からも情報が入ってると思いますが、シム選手のどんな点を一番警戒していますか?
山宮恵一郎:ん〜、警戒しているのはハッキリ言って全部なんですけど、佐々木さんから言われて一番印象に残ってるのは、「今まで受けたローキックで一番痛かった」っていうのがあるので、蹴りは相当強いんだろうなって。頭なんかに受けたら大変なことになるなっていうのが、正直なところですね。

シム選手がこれまで勝ってきた選手の中には、田村潔司選手(U-FILE CAMP.com)やジュルジ・パチーユ・マカコ選手(シュート・ボクセ・アカデミー)、ニルソン・デ・カストロ選手(シュート・ボクセ・アカデミー)などがいて、錚々たる実績を持つ選手なんですけど、そういう選手を相手に、今回はどういうテーマを持って試合に臨むのでしょうか?
山宮恵一郎:あの〜、例えば田村選手に勝ったことがあるとかっていう、そういうのは一切ないですね。昔のアレだし。ただ、グスタボ・シムという名前を聞いて、あの人のことを弱いって言う人はいないわけなので、そういう選手に対して、とりあえず自分の実力がどのくらいの場所にあるのかとか、そういうことを測る恰好の相手だと思ってます。あとは、やっぱり移籍の一番の理由っていうのが、世界の強豪と呼ばれる選手に勝つ実力をつけるというのがあるので、そういう意味で自分の中ですごく意味のあるカードだと思ってますから、本当に勝ちたいですね。今は。勝ちたいという気持ちが一番強いです。

勝ち方という点ではいかがでしょうか?
山宮恵一郎:ん〜、理想を言えば・・・まぁ、当たり前ですけど、判定以外の勝ち方で勝ちたいですね。

スタンド、グラウンドという点には拘らない?
山宮恵一郎:全部ですね。ん〜、いや〜、難しいな〜(苦笑)。この前のNK(ホール大会)を見てて、郷野選手の試合を見たらKOで勝ちたいと思ったし、その後の菊田(早苗)さんの試合を見たら関節で勝ちたいと思ったし。難しいですね〜。その後に、たまたまテレビで全日本プロレスの試合を見てたら武藤(敬司)さんがムーンサルトで勝ってたから、ムーンサルトで勝ちたいなって思ったりもしましたからね(笑)。まぁ、でも、この試合で全てが終わるわけではないですから。自分の中では。この試合はあくまで、自分が格闘技をやっていく中での一つの通過点としか捉えてないので、ここで勝って、ドンドン次へ次へと進んでいくつもりでいますね。

わかりました。では、昨年6月のvsニルソン・デ・カストロ戦以来のメインイベントいう点に関してはいかがですか?
山宮恵一郎:ん〜、一番最後に登場っていうことで、どちらかと言うと苦手ですね。僕はどっちかと言うと、写真に写る時なんかも端っこが好きなので(苦笑)。真ん中に写るのはあまり好きじゃなくて、苦手で。だからそういった意味で言えばむいてないですね。でも、せっかく・・・まぁ、今回メインなので、この試合を目当てに会場に来る人もいるかも知れませんから、そういう人たちには「強くなったな〜」っていうのを観てもらいたいし、逆に「どうせ負けるんだろうな〜」って思って会場に来る人もいると思うので、そういう人たちには勝ってビックリさせたいというか・・・。これはいろんなところで言ってるんですけど、最近パンクラスの選手が負ける姿を観る機会が多いと思うので、パンクラスって名前の付いている選手が勝って、お客さんがホッとしてくれれば良いなという気持ちもありますね。






わかりました。では、先ほど今回の試合は通過点という発言がありましたけど、今回のvsシム戦の先に見据えているものって何でしょうか?
山宮恵一郎:ん〜、まぁ、やっぱり・・・実力を付けた上で闘える選手とかがいると思うので、そういう選手たちと闘いたいですね。

自称“ノミ心”の山宮選手的には、益々おっかない相手になるんじゃないですか?
山宮恵一郎:そうですね。ヤバイですね(苦笑)。でもまぁ、当たり前だと思うんですよね。格闘技をやってて、それでパンクラスっていう、表に出るような場所でやってますから。もっともっとデカい勝負をしたいですね。やっぱり。でも、これは自分だけじゃなくて、誰もが思ってることだと思うので。そのためにはしっかり練習して強くなって、それで結果を出していかないといけないと思ってます。あとまぁ、僕の年代だと、みんな生活に追われて大変な思いをしながら生きてたりもするので、そういう人たちの目を覚ますようなモノを見せてやりたいですね。

わかりました。では、これで最後です。今回の山宮選手の試合を楽しみにしていらっしゃる皆さん、そして山宮選手を応援していらっしゃるファンの皆さんにメッセージをお願いします。
山宮恵一郎:そうですね・・・まぁ、とりあえずこの1年間の集大成になるような、まだまだドンドンこの先続いていきますけど、とりあえずの集大成になるようなモノを見せますので、NKホール大会が終わって「今回はいいかな」って思ってる人もたくさんいるかも知れないですが、来て下さい(笑)。

楽しみにしてて下さいと?
山宮恵一郎:はい。

期待してて下さいと?
山宮恵一郎:まぁ、ほどほどに期待してて下さい(笑)。

山宮恵一郎選手database