尾崎社長:今日の興行はいろいろポイントありましたけど、良かったのはシム選手で、強くて技術的にも素晴らしい選手で、今後、ライトヘビー級戦線の中で、これからどんどん(試合が)組めるんじゃないかと思います。あと良かったのは、アライ(ケンジ)ですね。彼がどんどんすごい伸びてるなという気がしました。だから、もうひとつ上のレベルの試合をして欲しいと思います。

廣戸審判部長:本日の審判会議の中で、ロープのホールディングについて議題に上がりました。前回の高阪選手とウォーターマン選手との試合の中で、ウォーターマン選手が倒れかかって、つい手をロープにかけてしまってましたけど、あれを離すと倒れてしまうので、(レフェリーが)手を離してっていう動作の繰り返しになって。その後の展開で、ウォーターマン選手が上になるということがありましたから、反則を犯した選手が有利なポジションについてしまうことが今後良いのかどうかということになって、だから今回はロープのホールディングについてはきつく審判団としては行ったと思います。今後はホールディングによってイエローカード、減点というのが出るケースもあると思います。あとは第2試合、太子郎選手の試合のフィニッシュに関しては、やはり自分自身でもう立てない、スタンドから自分自身の脚力ではなくロープに掴まらないと立てない状態、もしくは相手に背を向けて自分のペースで試合をしようとする時点で、消極的という判断をしたんだと思います。大変難しいジャッジだったと思いますが、レフェリーの判断の下で、そこで試合をストップしました。息も上がっていて、もう動けなかったんだと思いますけど、今後そういう選手がリングに上がらないように考えなきゃいけないのかも知れないですし、そういう試合が起きないように考えなければいけないかも知れません。

試合中に太子郎選手が座り込んでしまって、廣戸レフェリーの『立て!』という怒鳴り声がありました。
廣戸審判部長:あの場合も反則を犯したわけですね。消極的な行為によって試合を止められて、注意をされているわけです。注意をされているのに、レフェリーに背中を向けてくつろいでる。『お前を休ませるために試合を止めたのではない』ということをはっきり言わなければならないということですね。ですからあの場面では、メインレフェリーは正面を向かせてきちんとやらせるべきだと思いました。

あの重さの選手に、2ラウンド闘わせるというのはどうなんでしょうか?
廣戸審判部長:それはどうかなと思います。初めから選手ありきでルールが決まるべきなのか。初めからルールが決まっていて、例えば、手の小さな野球選手が一人いて、ボールが握れないからボールの小さなリーグを作ってくれっていうのはいかがなものかと。それと同じだと思います。相手も同じ体重で来る訳ですから、それで息が上がらない練習をすべきだと思います。

闘えない状態の選手をリングに上げないようにするべきではないでしょうか?
廣戸審判部長:それは審判団としての領域なのか、それともプロモーションとしてのことなのか、それとも選手を管理している選手サイドの問題なのか。僕はどちらかというと審判団の領域というよりも、選手のモラルの問題だと思います。ここ数年でレベルというのは数段上がっている訳じゃないですか。ですから、要求されていることもすごく上がっているので、それに応えていくことだと思います。ただ勝った負けたではなくて、お客さんに勝利以上のものを伝える、それがプロの部分だと思うので、そういう意味の自己の上昇と言うか、自己変革みたいなものも踏まえて練習してもらえれば良いんじゃないかと思います。ただ、決して太子郎選手が体力的にまだまだ不向きです、と言っているのではなく、ああいう展開になって、自分のラッシュに耐えられた後の対処もきちんとしておくべきだと思います。あれで息が上がっても良いんです。彼がテイクダウンして上になって、相手をコントロールしながら自分を休ませれば自分の試合になる訳ですから。そういうことを言っているんです。体力的な問題として息が上がったりだとかではなくて、試合を成立させる能力があるかどうかということです。ですから、それはどちらかというと選手サイドの問題だと思います。