第1試合 フェザー級戦 5分2ラウンド

志田幹
(パンクラスP'sLAB東京)

山本篤
(KILLER BEE)
2R 4分36秒、KO/ヒザ蹴り
■志田幹(63.2kg) セコンド:北岡悟、大場裕司
■山本篤(63.9kg)
レフェリー:和田良覚

何故この試合が第1試合なのか? 軽量級、キャリア、という部分だと思いますが、この2人のマッチメークであれば、後半であってもヒートアップして面白かったのではないかと思います。ここのところ連勝中の両選手であり、しかもそれぞれ技量の高さを、志田選手はKOで、山本選手はファイト振りで十分アピールして来たので、注目していました。山本選手は、昨年の「ネオブラッド・トーナメント〜フェザー級〜」で圧倒的な動きの良さをアピールをしながら、勝利を重ねていった選手ですが、今回は速くて細かい動きでフェイクを絡めながら自分のペースを掴もうとするのに対して、相変わらずきちんと自分の構えで、間合いを詰めて詰めて相手を追い込んで行く志田選手という、試合展開になりました。序盤から目を引いたのは、いつもは射程距離を長めにして打ってくる志田選手が、今回は距離を短めに設定して、その代わり右の蹴り自体を凄く強く出してきました。立ち上がりから右ローキックが走っていて、山本選手が前足に体重をかけて前へ出ようとするところを、ことごとく回りながらのローを繰り返し、しかも強打だったので、これが効を奏して山本選手は中に入れなくなってしまいました。

その効果が表れたのは2ラウンドに入ってからです。ラウンド間のインターバルが終わり、山本選手は前足に体重を乗せられず、パンチ、タックルがどうしても浅くなってしまい、それを凄く冷静に切った志田選手は、その中で強いパウンド、蹴りを入れたり等、下に意識を持たせ、手で隙を作り、逆に山本選手は前足を機能させられないために頭が動いてしまい、その頭の入り際にタイミングを合わせた、志田選手の飛び膝蹴りでした。映像で見ていただければわかりますが、顎先から入り、当たった後に、脛がミドルキックの様に肋骨にも当たっている、素晴らしい蹴りでした。ああいう蹴りが出ていると、もし空振りしたり浅く入っても、次の足が効いてるので、次の展開に移行出来ます。最後まで自分の形を貫いた志田選手の強さが出て、変幻自在に動ける山本選手が逆に自分のペースで動けなかったところに、“強い”志田選手、“上手い”山本選手という図式が映りました。あくまで自分の闘い方を貫いたことが志田選手の勝機だったと思いますし、この姿勢が2004「BRAVE TOUR」の総決算の様な気がしました。大変良い試合でした。

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