2月4日(金)の後楽園ホール大会まで残り僅かとなりましたが、今大会の第4試合で倉持昌和選手(フリー)との対戦が決定している伊藤選手。そこで2005年の闘い始めとなるvs倉持戦についてお話をうかがいたいと思いますが、先ずはその前に、昨年一年間を全体的に振り返っていただきたいと思います。伊藤選手にとって、昨年・2004年はどんな1年だったのでしょうか?
伊藤崇文:まぁ、今年のためにネタを振った1年だったなって思いますけどね。色々と。後半はちょっと2連敗したりとかありましたけど、キックのプロテストも受けたし、それは多分、今年のネタ振りになってるんで。自然に。

2003年の10月に大阪で復帰戦をしてから、昨年2連敗するまでは調子が良かったように見えましたが・・・。
伊藤崇文:そうですね。3勝1分けで。

それで7月のvsヒース・シムズ(チーム・クエスト)戦、10月のvs門馬秀貴(和術慧舟會A-3)戦に連敗して、そのvs門馬戦の試合後に、リング上からキックへの挑戦を表明しました。そこでこれは私の勝手な憶測ですが、7月のvsシムズ戦と10月のvs門馬戦は、やはりどこか心の中にキックへの強い思いがあったために、試合に集中出来てなかったんじゃないかなと。そんなことはないですか?
伊藤崇文:集中出来てなかったと言うより、打撃で倒そうって思ってましたね。良い形でキックに繋げるためにも。もうその頃には、キックのリングに上がりたいって言うか・・・その辺でちょっと迷ってはいたんですけど。でも、試合中に別に迷いはなかったですよ。打撃で倒そうっていうのがあったから、ああいう試合になりましたけど、別に後悔はしてないですね。あの2試合とも最初からKO宣言してますし。作戦に関しても、別に間違ってはなかったと思います。

では、キックの方に意識が向いていたというわけではない?
伊藤崇文:別にそれが負けた理由ではないですね。打撃を使って倒そうとしてたってことはありましたけど。まぁ、生涯初のKO宣言ですからね、あの時は。

では、その後の話になりますが、11月に『全日本キック』さんのプロテストを受けて、そこできっちり合格しましたけど、現時点ではまだキックの試合には出場していません。
伊藤崇文:そうですね。もうちょっと時間をかけても良いんじゃないですかね。

前回の試合が10月のvs門馬戦ですから、既に4ヶ月近くが経過していることになります。
伊藤崇文:まぁ、この間に試合の話もありましたけど、それもなくなってしまいましたから。でも、それも良かったんじゃないですか。練習はコンスタントにやってきてますし。

今回のvs倉持戦は、元々は1月9日に予定されていた『東京【DON'T】NIGHT』というイベントで行われるハズでしたが、そのイベント自体が中止になってしまって、それで今大会にそのままスライドしたという経緯があります。対戦相手は変わりませんが、試合自体がおよそ一月遅れたということで、何か影響が出たりはしませんでした?
伊藤崇文:いや、別に良いんじゃないですか。このカードで。今のところ2回負けてるってことを考えたら、ランキングに入ってる選手じゃなくてもっていう気持ちもあるので。まぁ、別にナメてるわけではないですけど。こっちから別に要求することはなくて、これで勝てばまたガツンと言わせてもらおうかなって思ってるので。昔は「『勝ったら100点。負けたら0点』ではない」って言い方だったと思いますけど、今の僕はそういう考え方でやってるので。勝てば100点。負けたら0点で。

対戦相手の倉持選手は、パンクラスではまだ1試合しかしていませんが、『修斗』さんでのキャリアは15年もある選手です。その倉持選手に対してはどんな印象をお持ちですか?
伊藤崇文:ん〜、これと言ってないんですよね。だから対戦相手に対しては今のところ別にテーマはなくて、自分に対してですよね。結果を出したいとか、まぁ、やりたい事じゃないですけど、試合中にこれは使おうかなって考えてる技があったり。小さなことですけどね。それを観て他の人がわかるかって言ったら、多分わからないと思います。この対戦相手だから、その先何かに繋がるっていうのはないですね。

では、今回の試合で得た勝利というのは、伊藤選手にとってどのような意味を持つ勝利になるのでしょうか?
伊藤崇文:先に進める、間違いなく大きな一勝ですね。僕にとっては2005年をスタートさせるにあたって、満塁ホームランを打てる要素を含んだ一勝だと思います。この一勝は。勿論勝てばね。負ければ逆ですよ。だからスタートダッシュ出来る試合ですよね。対戦相手が誰であってもそういうコメントは残してたと思います。




今大会のメインイベントは、【第2代ウェルター級王者 決定4人トーナメント】の第1試合、ヒース・シムズ選手(チーム・クエスト)と井上克也選手(和術慧舟會RJW)の対戦ですが、初代ウェルター級王者を決める時のトーナメント準優勝者である伊藤選手の名前が、今回のトーナメントには入っていません。この現状をご本人はどう捉えていますか?
伊藤崇文:昨年の2連敗がそれに響いてると思いますけど、別にこれが新陳代謝だとは思わないですね。まぁ、シムズ選手には負けてますから。確かに井上選手も強いとは思いますけど、別に2人ともベルトを巻いたところでカッコ良い選手ではないし。だから僕の中では焼きもちを焼くような2人ではないです。ただ単純に僕はベルトが欲しい。勿論シムズ選手には借りも返したいし、井上選手も僕が勝っていけば必ずあたるでしょう。でも、どちらかが巻いてカッコ良いから僕が獲り返したいっていうベルトじゃなくて、ただ僕が巻きたいっていうベルトですよね。

去年の前半から中盤にかけては「ベルトの前に1つやりたいことがある」とおっしゃってて、それがキックだったんですが、昨年11月のキックのプロテストに受かった日に、「ベルトもいただく」と発言しました。それはどういう心境の変化からだったのでしょう?
伊藤崇文:欲しいから(笑)。まぁ、ず〜っとチャンピオンのいないウェルター級もね。そういうのもあったし、タイトルマッチもなかなかウェルター級では組まれなかったじゃないですか。誰かがポ〜ンと目立つほどズバ抜けてたわけでもなかったし。で、昨年の前半は「ベルトはまだ」って言ってたんですが、これだけ空いてるのももったいないじゃないですけど、普通に欲しくなりましたね。「これ、目指したいでしょ」みたいな。まぁでも自分の中では、みんな自分がそう思うかも知れないですけど、ウェルター級の選手の中でベルトを巻いて似合うのは、どう考えても僕なんですよね。入場の姿で比べても、手を挙げてる時も、血を流した時の顔も、それこそどんな顔をしてる時も、あのベルトが似合うのは俺かなとしか思えないから。だから獲りにいこうと思いました。

今年の前半戦で第2代王者が決定しますが、その第2代王者に挑戦する第一候補にっていうお気持ちはありますか?
伊藤崇文:ありますよ。今年中にはチャレンジしたいですね。僕自身10周年だし。だからそこまでちゃんと歩を進めないと。納得するように進めないとダメなので、今は自分の中で、そう話題を持っていくためのアングルを作ってるところです。

ただ、ウェルター級には伊藤選手以外にも、ismの選手で大石(幸史)選手、北岡(悟)選手、アライ(ケンジ)選手がいますけど・・・。
伊藤崇文:もう仕方ないですね。あたりますね、今年中に。

タイトルを争うのであれば仕方ない?
伊藤崇文:それは仕方ないですね。覚悟もクソもそれしかないですから、それは望むところです。まぁ、みんなタイトルがかかれば試合すると思います。

わかりました。では、今年伊藤選手が目指すべきもののもう1つということでキックに関してですが、1月4日の郷野(聡寛)選手の試合はご覧になりました?
伊藤崇文:観ました。

伊藤選手より先にあのリングに立ったという事に関してはどのように思いました?
伊藤崇文:いや、そこまでは別に。試合に勝った事に関しては、同じパンクラスを名乗っている選手が『全日本キック』のリングに上がって勝ったということで、おめでとうございますと。技術を見せたと思うんですよね。それぐらいです。キックに関して先を越されたとか、躍起になって「俺が一番に出る」とかっていうのはないですね。勝つ自信とか、もうちょっとスキルアップした時に僕は出たいので、春先、春以降でも良いと思ってますから、別に焦ってはないです。勢いで勝ちたいとは思ってないので。ちゃんとしたものを提供して勝ちたい。パンクラスでデビューした時、僕はそういう形でデビューしたから、キックの時もそういう形でデビューしたいですね。

郷野選手はキックのタイトルを1つの肩書きにして、その先に近藤(有己)選手との対戦や、『K-1』という言葉もチラホラ出てたりしますけど、伊藤選手は何故キックなんでしょうか?
伊藤崇文:先ず最初にキックをやろうと思ったのは、パンクラスで活用出来るかなって思ったからですね。だから最初は、勿論プロの選手として試合をやろうなんて気持ちはなかったんですけど、何か急に色気付いてきて、プロでもやってみようかなって。それで去年のプロテストですね。だから先ずはデビュー戦なので、今はチャンピオンベルトのこととか全然頭にないんですよね。勝っていけば見えてくると思いますけど。自信を持ってデビュー戦のリングに立つっていうのが今は大事です。




わかりました。では、ちょっと伊藤選手個人の事から話題を変えて。昨年11月の東京ベイNKホール大会で、近藤(有己)選手が「勝つパンクラスで歴史を創っていきたい」と発言しました。この発言をismの道場長である伊藤選手はどう思いました?
伊藤崇文:思ってる事は全く一緒です。そうじゃないと。パンクラスの興行で言えばパンククラスの選手が主役になるべきだし、最近はメインもパンクラスじゃない選手が出てたりしているので、そういうところから1つ1つ。第1試合からパンクラスの選手が盛り上げて、メインもパンクラスの選手が締めるっていうのが理想といえば理想なので、そういうところからしっかりやっていきたいと思います。で、パンクラスで結果を出して、それで外に出たいっていう選手がいれば、それはそれで全然良いんじゃないですかね。

近藤選手のNKホールでの発言以降、道場の中で何か変わった事とかってありますか?
伊藤崇文:変わった事なんて特別ないですよ。逆に変わるわけがないと思うんですよ。「勝つパンクラス」でいきたいってみんな思ってるから。だから「だよね」って感じで。ああいう場所でああいう相手に近藤が勝って言ったから、「そうだそうだ」って気持ちはもっと盛り上がったと思いますけど、変わったか変わってないかって言ったら、当たり前の事を近藤がお客さんの前で言っただけなので、気持ち的には変わってないですね。だから気持ちは近藤のあの発言と同じです。そこは多分、全員一致してると思いますね。

わかりました。では、これで最後です。今回の伊藤選手の試合を楽しみにしていらっしゃる皆さん、そして伊藤選手を応援していらっしゃるファンの皆さんにメッセージをお願いします。
伊藤崇文:ポーカーフェイスでいきます!

伊藤崇文選手database