桜木裕司:今回はパンクラス3戦目にして、(ヘビー級)前王者でもある高橋義生選手と闘えることになって、また、僕も今、パンクラスのヘビー級のタイトルに向かって頑張っていってる段階で、その偉大なる前王者と闘う機会を与えてもらった尾崎社長、並びにパンクラスの関係者の皆さまに深く感謝の気持ちでいます。
 高橋選手も『PRIDE』等で活躍して、今回は「原点に返って、もう1度やろう」という、そういう意志の中で、そのパンクラス第1戦目で僕が選ばれて、その気持ちに対しても精一杯、高橋選手達が築いてきたパンクラスという、格闘技の今のブームの先がけでやってきた、そのパンクラスを代表する選手の意志をしっかり受け継ぎたいと思います。『リアルジャパン』並びに掣圏真陰流というものは、本物を求めているので偽者はいらないと。格闘技でもプロレスでも「本物とは何なのか?」という部分の闘いを追求している上で、今回、僕は「リアルジャパン」の中では闘いませんが、掣圏真陰流を代表して、パンクラスの高橋義生選手と闘って、本当の闘いとは何なのか?というものをお客さんに示していきたいと思います。
 高橋選手も「原点に戻って」自分と闘うという事で、自分の最初の、パンクラスを始めた時の熱い部分というか、そういうものを取り戻そうとしている部分では、僕も逆にそういうのを見て今の世界に入って、そういう男達に憧れて、今、僕もまたこうして闘う場にいます。その中で先人たちの意志を受け継ぎたいと。それに対しては僕も精一杯返さなければいけないし。そういう男と男が闘うということは、必然的に激しい試合になるっていうのも覚悟しています。その中で高橋選手の背中を見て育ってきた選手が今こうして頑張ってるんだという部分も見せて、高橋選手達にも、先輩達にも安心してもらいたい。自分達の意志を受け継ごうという人間がいるということを示したいと思います。

ある意味、勝ち負けとは違う部分での闘いになるのでしょうか?
桜木裕司:いや、それはもう勝って示さなければ意味がないと思ってます。勝って、また高橋選手が置いていったそのベルトを、出来ることなら高橋選手に勝って、ランキング1位の野地選手と争いたい。野地選手とは、元々『極真』で同期だったので。それが色々、お互いに道を外れて、また同じ所に戻ってきて。もう一度、野地君と拳で確認し合いたいというか。お互い、違う道を歩いて来たけど、どうなんだ?っていう部分も。そこの確認をするためにも、まずは高橋選手を倒す。高橋選手を倒さない限りはチャンピオンなんて思えないと思うので。まず高橋選手をしっかり倒して、その上で野地選手とタイトルマッチが出来るならば、それが最高ですね。

同期ということは、野地選手と一緒に練習をしていたのですか?
桜木裕司:僕が最初に東京に出て来た時、城西(支部)の、三軒茶屋の道場に僕が少しだけいたんですね。その時に一緒に練習して。その後、僕が城南支部に移って、キックに移って、掣圏道に移ってからも何回か会う機会があって。それで野地君が『極真』を辞めた時も話を聞いたりして。それでこの間、また久しぶりに。3月の横浜文化体育館大会の時に控え室が一緒だったので。その時にお互い頑張って、いずれ闘おうという話をしました。

高橋選手の試合を見ていたとの事ですが?
桜木裕司:そうですね。藤原組の時から。タイ人の選手と異種格闘技戦やってたり。やっぱり、ああいう時代が僕にとって凄い好きな時代というか。今ある格闘技って、まぁ、盛り上がってて良いと思うんですけど、何て言うんですかね、共感を持てるとかって、そういう部分があまりないというか。逆に、あの当時の『K-1』なり『PRIDE』でもパンクラスでも、総合、何でもそうだったと思うんですけど、みんな一生懸命、格闘技というものを世に出そうという部分で、凄く純度の高い格闘技の試合をしていたと思うんですよね。今と比べると技術的にはまだまだ低かったかも知れないですけど、気持ちの部分でやってきたというか。やっぱりそういうものを見て格闘技に憧れて、それでこの世界に入って、その中でもそういう男達を見て、自分もそうなりたいと思って。それで今の、現在に至る訳で。その中で、だんだん先輩達も引退して、今は残り少なくなってきたと思うんですよ。世代交代という風には僕は思ってないんですが、ある意味、意志を受け継ぎたいと。
 今回の『リアルジャパン』の旗揚げにしても、最近プロレス界が「昔は良かった。でも今はどうだ?」って言われてますけど、いずれ格闘技もそうなる時が来るような気がするんですよね。みんながみんな、ヒーローになりたがって。まぁ、それはそれで良いんですけど。でも、その大事な部分を忘れて、プロレス界同様、冬の時代が来るっていうのは凄い悲しいじゃないですか。そういう部分でもしっかり、最後の部分で高橋選手と闘えるという、今回のチャンスをしっかり活かして、その中で拳で語ってもらいたいなと思います。僕もしっかり拳で返します。気持ちで返します。それでまた自分を上に持っていって、もっともっと高みを目指して行きたいなと思います。

※5月24日(火)、東京・水道橋のファイティングカフェ・コロッセオで行われた、『リアルジャパンプロレス』旗揚げ戦、掣圏真陰流トーナメント発表記者会見の中で。


取材協力:格闘魂