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セミファイナル ミドル級戦 5分3ラウンド
ランキング2位
×佐藤光留
(パンクラスism)
佐藤光留 vs ブライアン・ラフィーク ブライアン・ラフィーク
(ジュカオ・アシル・チーム/bodog)
2R 2:16、KO/グラウンドのパンチ
■ 佐藤光留(81.9kg) セコンド:川村亮、鳥生将大
■ ブライアン・ラフィーク(81.9kg) セコンド:
レフェリー:岡本浩稔
試合を振り返って。
佐藤光留:まあ、負けですね。根負けって感じですね。状況は一緒だったんですけど、互いに上になって、下になって、パンチを打ったけどかわされて、疲れる条件は一緒だったんですけど、相手のほうが後先考えずに前に出てくる勇気があって、僕はそれに対応しきれずに動けなくなったって言うところですね。細かいチャンスは幾つかあったんですけど、それは相手も同じで。完璧な負けです。

勢いで持っていかれた感じもありますけど。
佐藤光留:その中にも、すごい繊細な感じはありますね。最後、相手は「このヤロー!」って無酸素で息止めて、ハァハァきているんですけど、逆に勢いでいってもちゃんとわかってて殴っているんですよね。拳で殴るんじゃなく、鉄槌でどう相手が動いても必ず僕の顔面を捉えるっていうところできているので、あれが考えてやっているんじゃなくって体に染み付いているっていう感じですね。まあ、勢いに任せる部分もあったんですけど、打ち合いの後もす〜っと引いたんですけど、そこで僕は勢いじゃ勝てなかったっていうことですから。あそこで行っていればもっと違った展開になったんですけど、行けなかったっていうことは僕に勢いがなかったっていうことですから、勢いで負けていたっていうことですね。

佐藤選手も前半勢いがあったように思えましたが。
佐藤光留:前半は元気だったっていうだけですから。気合は最後まで入っていましたけど。気合入っていたもの同士、こうなるとは思っていたんですけどね。戦前にビデオを見たら、体は鳥生、技は北岡って思ったんですけど、実際に会ってみたらテンションが川村なんですよ。本当に。川村本人にも言ったら「ウザイですね」と。本当にそういう感じでしたね。だからそういう者同士で戦ったら相手の意識を断たないと、レフェリーが危ないと思う形にさせないと勝てないというのはわかっていたことですから。そこに踏み込むには勇気がいるから、向こうにはその勇気があったっていうことですかね。何度目かのチャンスが交互に、野球でいうと裏表みたいに相手の攻撃のときに、ガムシャラに、でも的確な技術で攻めてきたっていう感じでしたね。

気持ち的には最後まで持っていったんですかね。
佐藤光留:そうですね。最後ストップって言われて、うわ〜って思って、立たなきゃって思ったんですけど、動かなかったですね。リング上で「大丈夫か?」って言われて、大丈夫ですって言ったら、(顔の右側)ここをたくさん殴られて、顎と首が痺れて、体には力が入っていたんですけど、動けるところまでいかなかったですね。すごい圧力とパンチ力でしたね。

そのダメージは今は?
佐藤光留:やっぱり殴られてボーっとしている感じはありますね。ところどころ忘れているところもありますし。人前に出ると喋るので。向こうはパンチの技術を磨いて、僕は(口の)こっちばかりやっていたっていうことですね。…悔しいですね。ホント悔しいですね。

対『bodog』ということで注目もされていましたけど、その意識はありましたか?
佐藤光留:「ジャイアンツにタイガースが全員移ったらジャイアンツになるのか?」っていうのと一緒で、あの人が『bodog』か?って言われたら違う話だと思うんですよね。ただ、さっき吉朗に風呂場で会ったら、顔も腫れてましたし、「効きました」って言っていたので。やっぱり、組織の力でそれに吸い寄せられて「俺が、俺が」って来ている人たちだなあと感じましたね。ただ、川村にしろ北岡にしろ近藤さんにしろ、そういう人間にしても引けを取らない面子がウチにはたくさんいるので、その中で自分がどういう位置にいるのかって考えましたね。本当はリング上でいう機会もあるかなって思っていたんですけど、僕は本当はこれで総合の試合を最後にしようかと思っていたんですよ。っていう時期が実際にあって、戦う場所を変えることが頭の中にあったんです。布団の中で何十時間も夜寝れずに、練習も手がつかず、結構長い間考えたんですけど、でもやっぱりこのリングに上がるのが近づいて、相手のビデオを見て練習しているときに「なんて格闘技って、パンクラスismの練習は楽しいんだ」って。これをなくしたくないってすごく考えたんですよね。そんな何十時間も悩んだのを吹き飛ばすくらいのものがここにはあったので。やっぱり今日試合をして間違ってなかったんだなって思いましたし。ただ、練習と試合は別物だって思いましたし。鈴木さんに、みんなには言ったとは思うんですよ。近藤さん、渡辺さん、川村、任せたよって。あの時、一昨年5月に言ったのはあったんですけど、でも直接リング上で肌を合わせて「任せたよ」面と向かって言われたのは僕ですから、そんな易々と引けるかっていう気持ちでやったんですよね。でも守りきれなかったのは悔しいし残念です。だからこれ以上…これで総合のリングを辞めたら、それはプロレスラーのやることじゃないですよ。

もう一丁ですね。
佐藤光留:これで次「勝ちました!」「また勝ちました!」ってやっても、いつか負けますから。僕は無敗でいってカッコいいだけの選手じゃないですから。背も小さいし、バックボーンが何かあるわけでもないし、巨大な組織に守られているわけでもない。でも、人間誰しもが持っている諦めない気持ちがある限り、僕にもありますから、「また変な格好をして出てきて、会場をざわつかせて、それでKOで負けやがってあのヤロウ」って言われて、そこで引き下がったらもう…自殺ですよ、それこそ。どんな醜態さらしても、人前に出続けます。その方が恥ずかしいし、苦しいんですけど、そんなの避けて自分から命を絶つことは僕にはできません。…悔しい。悔しいです、ホント。…だから、メイドの格好も辞めません。どんなにゲンが悪くても、メイドの格好は辞めないし、誰がなんと言ってもどこかのリングに行きたいっていうほどのものはないですね。まだまだこのリングにしがみついて、噛り付いていきます。