2002.2.17:梅田 vs窪田戦


2002.3.30:DEEP2001 vs滑川戦


2002.7.28:後楽園 vs山本戦

今年ももう11月に入り、残すところあと一月ということで、まずはこの一年を振り返っていただきたいと思います。そこで最初の質問ですが、今年の年頭に「今年はこうしたい」というような目標は立てられましたか?
渡辺大介:そうですね・・・、去年はいっぱい試合をして、強い選手とたくさん試合をしたので良い経験ができたと思うんですけど、結果としては勝ち星が少なかったので、今年はプラス勝てるようにということをすごい意識したというか、「勝つ」ということが頭にありましたね。しょっぱい試合じゃなくて、「良い試合をして勝つ」ということを目標というか、意識してました。

そのような目標を持って臨んだ今年の第1戦が2月のVS窪田幸生戦だったんですが、窪田選手とは2度目の対戦(1度目の対戦は1999年5月)、しかも同じismの選手ということでやはり闘い辛いところもありました?
渡辺大介:これでいきなりしょっぱい試合をしちゃったんで・・・。あの〜、なかなかいきづらい部分もあったんですよね。お互い分かってるんで。あと一度目の対戦で判定で負けてるので、また負けるわけにはいかないなっていうのもあって・・・。それでなかなか思い切ったこともできなくて。はっきり言って出し切れなかった試合でしたね。去年の試合を含めても一番出し切れなかった試合でしたね。ダメだな、これじゃダメだなって思いました。

ではそういう反省もあって臨んだ今年の第2戦が3月のDEEP2001大会でのVS滑川康仁戦ですが、この対戦カードを聞いた時はどういうお気持ちでした?
渡辺大介:いや〜、チャンスだなとは思いましたけど・・・。こういうカードはどう?って聞かされた頃にちょうど滑川選手と知り合う機会があったんですよ。それでちょっとだけ食事に行ったりしたこともあったんで、また知ってる人と試合をするのかというのがありましたね。向こうにもそういう意識がちょっとあったみたいで・・・。まぁ、でもそんなことも言ってられないので、闘うからにはこう、ガツン!とやろうかなって思ってて。

実際対戦してみてどうでした?
渡辺大介:滑川選手はすごい体が大きいので、試合の時は4kgぐらい減量してきたみたいですけど、だから本当にすごい気合を入れていかないと厳しい試合になるなというのは分かってたから、やられる前にやろうと思って最初から殴りにいったらなんか倒されちゃいましたね(笑)。(滑川選手が試合前に)「ボコボコの殴り合いを」って言ってたので、「じゃぁ、受けてたってやろう!」とか思って(笑)、殴り合いにいこうと思ってたら一発目で滑川選手の拳にヒビが入ったんですよね、この時。僕は気付かなかったんですけど、その後あんまり殴ってこなかったんで。一発目で僕の頭にあたったパンチで右の拳にヒビが入ったみたいですね。でもそれでもずっと試合をしてたので、すごいなと(後から)思いましたね。僕も試合中は全然気付かなくて、(滑川選手が)試合後「いやぁ、折れちゃいましたよ」とか言ってたので、「あぁそうなんだ」と。「それで俺に判定で勝ったのか、すごいな」とか「チクショッ、悔しいな」とかそういう感じだったんですけど。まぁ、でも内容的に前回のVS窪田戦と比べたら、僕の中ではすごい出しましたね。ただいまいちそれが観てる人には伝わってなかったみたいで、なかなかこう、ちょっと上手くいかずに空回りしてる感じでした。

初DEEPというのはどうでした?
渡辺大介:初DEEP・・・。まずはこの試合に関してはすごい疲れましたね、やっぱり。あと緊張しました、すごい。あの〜、去年はあまり間隔を空けずに試合をしてたので、そのペースでの試合に慣れてきてて、緊張するんですけど、それが良い感じの緊張でいけてたんですよね。でもこの試合に関してはすごい緊張して、あぁ、ヤバイな〜とか思いながら(試合前は)控室にいましたね。

滑川選手が元リングスの選手というのもその緊張の中の一つにはありました?
渡辺大介:そうですね。試合前「うわぁ〜、緊張してる」とか思いながら控室にいて、鈴木(みのる)さんと話をしてる中で「ヤバイですね、すごい緊張してますね」みたいなことを言ったら、「あんまりパンクラスとかリングスとか考えないで、お前個人の試合なんだからそのへんのことは考えないでいいよ」みたいな感じのことを言われて。まぁ、そういうことを鈴木さんに言っていただけると、ちょっと楽にはなりましたね。

対戦相手の滑川選手が拳を折りながら闘い抜いたという試合だったんですけど、まさか今度は自分がその立場になるとは思ってもいなかったであろう、7月・後楽園ホールでのVS山本孝夫戦が今年の第3戦目です。
渡辺大介:ですね。

山本選手はこの前にはまだ1試合(2002年3月)しかパンクラスのリングで試合をしていなくて、以前のヘビー級からライトヘビー級に体重を落として臨んだ一戦でした。この対戦カードを聞いたときの心境はいかがでしたか?
渡辺大介:(この試合が)決まった時は全然断る理由もなく、もう「やります」の一言ですね。この時は、ネオブラッドとウェルター級のトーナメントがあって、やっぱりそっちが注目されてましたよね。あと山本選手がパンクラスでまだ2戦目だから、(山本選手を)知らない人の方が多いじゃないですか。だから良い試合をしないと忘れ去られちゃうなと思ったんで、それで初っ端からとばそうと思ってました。この時も全部出し切るつもりでいましたね。打撃から、組んで寝技にいった時もとりあえずその時にできることを出し切ってやるというそれだけしか、もう考えてなかったですね。

禅道会の選手ということで何か思うところはありました?
渡辺大介:あぁ〜、まぁ、ちょっとありましたね。何かの雑誌で(山本選手は)練習で一番強いって書いてあったので、へぇ〜そうなんだと思って。それじゃホントに気合を入れてやんないとボコボコにされるなと思いましたね。

試合自体はものすごい殴り合いで、山本選手も顔が思いっきり腫れてたんですけど、そういう試合展開の中で、渡辺選手が自分の拳に異変を感じたのはいつだったんですか?
渡辺大介:一番最初のラウンドですね。初っ端の10秒か20秒ぐらいで、殴り合いの時に拳がいっちゃったのが分かったんで膝蹴りに変えたんですけど、その膝蹴りにいってる時にタックルで倒されてるんですよね。あの時パンチ出したらあたってたので、ここが倒し時だからここで倒せば一皮剥けると思ったんですよ、やってる時に。今が倒し時だと思って。ここで倒せば一段階上にいけるなと。それでバーッていったら、すごい手が痛くて。でもそのまま殴ろうとしたんですけど、パンチを出したらすごい痛かったので、「何かおかしい、あっ!これはいったかも」って思って膝蹴りに変えて、それで膝蹴りをしながら「あぁ、これはいったな」と思いましたね。そういう中で倒されて、倒れた時にクラッチ組もうとしたらもう痛くて組めなくて。あぁ〜、どうしようかなって心の中で葛藤してました。

そういう葛藤の中で1ラウンドを闘い抜き、そしてインターバルが入りますよね。その時はどんなことを考えてました?
渡辺大介:とりあえず1ラウンドの初っ端で折れたのが分かって、その時に3月の滑川選手との試合のことを思い出したんですよ。「あぁ、滑川選手も拳をやっちゃったな〜。この状態であの人は闘ってたんだ」って思って。スゲぇな〜って。「俺もここで頑張らないと滑川選手には勝てないな〜」って思って。まぁ、滑川選手と闘ってるわけではないんですけど、滑川選手はこの状態で闘って勝ったんで、僕もできるはずだと。インターバルに入って、セコンドには「折れたかもしれないからとりあえず右は掌底でいくかもしれない」と言いましたね。それで2ラウンド目がはじまって。この試合の時、ミドルとかローとかを全然出してないんですよ。あの〜、試合前に練習で足をちょっと痛めちゃったんで、この試合では蹴りはもう全く出さずに打撃はパンチと膝蹴りだけでやろうと最初から決めてて。それで蹴りが出せなかったんですよね。だからもう2ラウンド目は左(手)一本と膝蹴りだけでいこうと思って。だから左で倒そうと考えてたんですけど、相手もちょっとバテてたみたいで、なかなかこう前に出てこなかったんですよね。左のパンチを出しながら、(相手が)前に出てきた時にカウンターで(左の)フックとか膝蹴りをあわせようかなって思ってたんですけど、なかなか前に出てきてくれなかったので、だからいろいろ挑発したんですよ、この時。挑発したら前に出てきてくれるかなと思って、ノーガードにしたりとか、(右手で)来い来い!とかしたりしたんですけど、出てこなくて。でもそれがファンの人には不評だったみたいで(笑)、「かっこつけんじゃねぇ」とか思った人が結構いたんですよね。「そんなことしてんだったら攻めろ!」みたいな。確かにそうなんですよね。僕も他の選手の試合を観て、「来い来い!」ってやってる人の試合を観ると、そんなことやってるんだったら自分から攻めろ!って思うんですけど、あの時は僕やっちゃいましたね(笑)。

拳が折れてたからとりあえずカウンター狙いで相手を前に出てこさせようとして。
渡辺大介:そうですね。カウンター狙いでしたね。

苦肉の策の挑発だったんですね。
渡辺大介:右手はもう挑発しかできなかったんですよ(笑)。右手でこう(来い来い!)やったんですけど。

試合後、病院での診断でその拳のケガはなんと言われたんですか?
渡辺大介:骨折ですね。拳というか、甲ですね。あの〜、小指の甲です。骨折してたんですけど、でもあんまり骨がズレてないんで、そのままの安静で治すということらしんですけど。