前回の前編では、プロレスラー・佐藤光留を語る上で決して外せない、重要な3つのアイテムと、拘りの“足関節”についてお話を聞きましたが、後編となる今回は、佐藤選手の趣味・嗜好の方に話題を広げて、このインタビューをご覧の皆さんを、よりDEEPな世界に誘おうと思ってます(笑)。
佐藤光留:半分ぐらいの人は途中で読むのをやめると思いますよ(笑)。ホントにね・・・最後まで読んでいただいた方は『男の中の男だよ』って書いといて下さい(笑)。



了解しました(笑)。では早速ですが、佐藤選手と言えば、そのコスチュームがプロレスパンツ?というところからもうかがい知れるんですが、プロレス大好きっ子ですよね?
佐藤光留:大好きっ子って言うかね〜、子どもの頃からマニアでしたね。

しかも、メジャーよりかインディー好きという。
佐藤光留:そんなことないですよ。でも、全日本さんの中では田上 明選手が好き。新日本さんの中では平成維新軍。しかもバリバリの越中ファンとか、小原ファンでしたね。

1選手としてではなく、1マニア(笑)として、最近のプロレス界をどうご覧になってますか?
佐藤光留:最近は・・・夜の新日本さんとか、この前TVで放送してたW1とか、そう言った、ん〜何て言うんでかね? 格闘技系の選手が、ん〜純プロレスをやるって言うんですかね。その姿にホトホト呆れますね。あの〜、僕、バトラーツさんの原 学選手と知り合いなんですよ、ちょっと。一緒に長崎に行って、同じ会場で試合をしたことがあるんですよ(2002年7月・Kushima's Fight2)。それで、その原選手が2月の『U−STYLE』に出場したんですけど、実はここだけの話、このDEEPな世界を読んでくれてる方だけにお話しますけど、実は僕も『U−STYLE』にすごい興味があるんです。で、そのことを原選手に話したら、「光留さんはあってると思いますよ」って言ってくれたんですよ。だから何て言うんですかね・・・。美濃輪さんの公開スパーリングの相手をした時に(2002年11月・横浜大会の前)デスバレー・ボムを喰らってみたりとか。実は、僕、ロープワークもできますからね(笑)。ちゃんと。ただ走るだけじゃなくて、ちゃんとできるし。

それはどなたに習ったんですか?
佐藤光留:美濃輪さんです。あとは、華☆激のKAZE選手とか。誠ジムの片瀬慎二選手とかといろいろ話をしてる中で、やっぱね、その、何て言うんですかね・・・プロレスがいつの間にかホント顔見せになってるんですよね。だから、東京ドームのメインに出るってことは、頭を坊主にして練習生からはじめて、地方でデビューして何とかかんとかやってきた人間が行き着く、日本で一番デカい舞台だと僕は思ってたんですよ。それがこの間の、ん〜「有名だから出れるんだぜ」みたいなところを見た時に、“これじゃいかん”って思いましたね。その〜今のプロレス界の非常に納得できないところは、面白ければ良いっていうのが一番上にきてる人が多いんですよ。あれがやっぱダメですね、僕の中で。まぁ、昔もイレギュラーなことがクローズアップされたりしてきて、例えばそれが誰かの乱入だったりとか、覆面を剥いでみたりとか、そういうのしかないんですよね。今って。違うんですよ。やっぱ本道がきちんとあって、その中でそういうイレギュラーなことがポコッポコッて出るから印象に残るのに、今はみんなそれと同じことをコピーしようとしてるだけのプロレスが、僕はすごい嫌ですね。まぁ、だからそれがパンクラスで僕がやっていることにも繋がってると思いますけどね。みんなが、前にも言いましたけど、船木さん、鈴木さん、菊田さん、美濃輪さんとかを目指してる。それがもう、非常に気に喰わない。「いや、そんなことはない。オレは誰々だ」って言っても、違うんですよね。どこかやっぱり・・・。まぁ、それは才能かも知れないんですけど、目指してなくてもそう見える人もいるかもしれないですけど・・・。GCMさんの『DEMOLITION』に出場した時に、試合前に会場で流す紹介映像用の撮影があったんですけど、「いろいろポーズをとって下さい」って言われて、みんなはガッツポーズとかシャドーをしたりして、それで僕がいろいろやってたら、「いやぁ〜、さすがプロですね」って言われたんですけど、違うんですよ。それ、僕の素なんですよ。それが作ってない僕なんですよ。逆に、他の人と同じようにファイティングポーズをとったり、腕を組んでグッと睨んだり、シャドーを普通にしたりとかっていうのが、すごい作った自分になるんですよね。以前、鈴木さんに「リング上で作ったってすぐにボロが出るんだから、お前の思ってることをやれば良いんだよ」っていうようなことを言われて、だから入場もあんなですね(笑)。

では、そんな佐藤選手がお薦めするプロレス団体さん、注目しているプロレスラーの方はどなたでしょうか? もちろんパンクラスを除いてですが。
佐藤光留:いやぁ、僕なんかがお薦めするなんておこがましいですけど・・・。

ちょっとだけ少年時代に気持ちを戻して、1プロレスファン、1プロレスマニアとして見て、面白いと思う・・・
佐藤光留:昔の自分が今のプロレス界を見て、絶対面白いなと思うのは闘龍門とZERO−ONEですね。この2つだと思いますね。

どんなところが良いんでしょうか?
佐藤光留:ZERO−ONEさんには、あの〜何て言うんですかね・・・今、数々のプロレス団体があるじゃないですか。僕が1ファンとしてプロレスを観ていた当時は、ちょうどプロレス団体が乱立し始めた頃だったんですよ。例えば、SWSが潰れてなくなった時に、WARとNOWともう一つできたんですけど、そこはみんなSWSをつくろうとしたんですよ。で、結局残ったのがやっぱ天龍源一郎選手のいるWARで。FMWが分裂した時も、WMFとWEWになって、でもやってることはやっぱりどこもFMWなんですよ。そういう中でZERO−ONEさんって、周りのことに左右されないで、本当にこれがやりたいっていう人たちが、それをやりたいってだけで創った団体だから、やってることはすごい飾ってないし、ホントに素のままの橋本真也選手だし、そのままの炎武連夢の方々だし。だから本当にそういうところが逆に目立ってるんですよね。みんなが色めき立っている中で、白いスーツを着た人がビシッとして見えるのと一緒ですよね。実はお笑いプロレスだったりとか、コテコテのプロレスだったりとか、怪しいレフリーがいたりとか(笑)、自分の息子をリングに上げちゃう外国人選手がいたりとかするんですけど、もちろんプロレスとしてのレベルは高いと思うんですけど、プロレス界で一際目立ってるのはZERO−ONEさんと闘龍門さんだと思いますね。あと個人的には、まぁ、どうせこのインタビューなんか誰も見てねぇやっていうことで言うと(笑)、KAIENTAI-DOJOの方々ですね。真霜拳號(ましも けんご)選手っているんですけど、この選手も含めて、KAIENTAI-DOJOの方って格闘技の試合とかに結構出ちゃうんですよ。それがPRIDEさんとかじゃなくて、僕が観たのはZSTに出場した真霜選手と、ウィンディー(智美)さんのセコンドで行った「SMACK GIRL」のトーナメントに出てた高橋エリ選手なんですけど。ずっと前にTAKAみちのく選手も一回パンクラスのリングに上がってるじゃないですか(1997年4月・東京ベイNKホール)。そういうのを考えると、ちょっと地下プロレス的な匂いがあの青いリングにはあるのかなって。KAIENTAI-DOJOのプロレスは一回も観たことがないんですけどね。真霜拳號選手は、この間(獣神サンダー)ライガー選手とも試合をしてたんで、パンクラスでも試合をしてほしいですね・・・。何かプロレスの話をはじめたら急に真面目になるな、オレ(笑)。

では、プロレス話のまとめということで、現在のプロレス界に、昔の、1ファンとしての気持ちで物申すとすれば、どんなことを?
佐藤光留:そうですね・・・昔あったことの繰り返しはいいから、今、これがいいんじゃないかって思ったことをどんどんやっていった方が面白いんじゃないかなって思うんですけどね、僕は。まぁ、いいです。純プロレスって言い方はおかしいですけど、ああいう、新日本さんには新日本さんのプロレスがちゃんとありますし。そういうことは僕が言うことじゃないですし。まぁ、ファンに戻ったらいろいろ出るんでしょうけど、それは言わない(笑)。もう、ファンじゃないもん。