第7回『Monthly interview』にご登場いただくのは、この『Monthly interview』も含まれる【core pancrase】で新たに連載がはじまった『北岡サトルッテンの格闘徒然草』の著者であり、パンクラスismの選手の中で様々な格闘技を一番ご覧になっているであろうと思われる、北岡 悟選手です。 来月・9月で丸10年を迎えるパンクラスは、その興行数も130近くに及びますが、その全ての興行・試合を、ビデオと生で観ているという北岡選手に、このパンクラスの10年を各年ごとに語っていただくと同時に、その年その年で北岡選手の最も印象に残った出来事などについて話を聞きました。


1996年の「バス・ルッテンVS船木誠勝」戦(9月・東京ベイNKホール)をご覧になってプロの格闘家を志したとのことですが、リアルタイムでパンクラスをご覧になりはじめたのはいつ頃ですか?
北岡悟:リアルタイムで追っかけはじめたのは1997年からですね。

試合映像っていうのは・・・?
北岡悟:全部観てますね。ハイ。全部観てると思います。誰と誰が何処でやったとか、何回やったとか、すぐに言えると思います。

では、そういう北岡選手にパンクラスのこの10年を振り返っていただきたいと思いますが、全興行、試合をご覧になっていらっしゃるということですので、先ずは前半の5年間、1993年の旗揚げの年から1997年までのパンクラスを各年ごとにお話ししていただこうと思います。




では、先ず、旗揚げの年の1993年。この年は4興行を行っています。ちなみにこの年、北岡選手はお幾つでした?
北岡悟:13歳ですね。

格闘技への興味というのはいかがでした?
北岡悟:ん〜・・・そこまで興味はなかったんじゃないですかね・・・。でも、オリンピックで柔道を観てたので、それ以降、ちらちらと雑誌とかを立ち読みしてた記憶がありますね。でも、パンクラスっていうのが旗揚げしたんだぞっていうのはハッキリとは憶えてないですね。当時、『週刊少年サンデー』を買って、その本にパンクラスの選手が出てたことがあって・・・それは記憶がありますね。その時は、普通のプロレスの人が載ってるものだと思ってました。

この年の試合映像をご覧になったのは?
北岡悟:1997年ぐらいですね。船木VSルッテン戦の後ですね。

今から6年ぐらい前のことですから、完全に一ファンとしてご覧になってたんですね。
北岡悟:そうですね。でも、当時柔道をやってたから、寝技のこととかは分かりましたね。まぁ、見方はわかりましたよね。ん〜・・・当時はやっぱり(選手の)身体がスゴイって思いましたよね。あと、プロフェッショナルな香りがしましたよね。あと、もう1つ言えるとすれば、これは語弊があるかも知れませんけど、ガチンコのプロレスなんですよね。総合格闘技じゃなくて。そういう感じはしますよね。ガチンコのプロレス。結構適切な表現になると思うんですけど。


旗揚げ戦の9月から年の終わりの12月までに4興行を行ってて、1興行で5、6試合を行ってますから、20数試合あったわけですが、どの試合が印象に残ってます?
北岡悟:ん〜・・・もちろんルッテンの試合とかどれも印象にありますけど・・・あえて言うなら、船木さんと高橋さんの試合(1993年12月・博多スターレーン)ですかね。当時、船木さんがアバラを痛めてて、『ここを蹴れよ!』とかやったり、試合前の高橋さんの睨みも凄くて。今観て思うのは、喧嘩にちかいものがありますよね。技術のある人の喧嘩みたいな、そんな感じはしますよね。それはやっぱり面白い部分ではありますよね。まぁ、僕がそれをやりたいとか、それが理想とは思わないですけど(笑)。技術のある人が、ルールある中で喧嘩をやってるっていうのにちかい部分はあると思います。当時、1993年11月にちょうどU.F.C.が出てきたりして、大きな流れが出きてきた頃だと思うんですよね。そういうのもあって、それにちかい感じはしますよね。

この年の11月に船木選手は全日本キックボクシングのリングでモーリス・スミス選手とも試合(東京ベイNKホール)をしてますが、この試合をご覧になっていかがですか?
北岡悟:ん〜・・・モーリス・スミスと試合したっていうのはスゴイことだと思うんですけど、やっぱり今振り返れば、月一でガチンコでメインクラスでやってるっていうのがスゴイですよね。注目される中。スゴイ消耗だったんじゃないかなと思いますね。モーリス・スミスと試合したってことだけではないと思いますね。大変だったんだろうなと。

鈴木選手もモーリス・スミス選手と試合(1993年11月・神戸ワールド記念ホール)してるじゃないですか?
北岡悟:そうですね。それもまたスゴイですよね。キックルールでやってますからね。いやぁ〜よくやるなぁ〜と。

どうします? 北岡選手にそういうチャンスがあったら? まぁ、ヘビー級のキックボクサーっていうわけにはいかないと思いますが。
北岡悟:ん〜・・・以前だったらアレなんですけど、その時より打撃も総合的に理解できるようになってるので・・・いや、やってもいいじゃん!って感じにはなってますよね。そういうのを自分的にも1回ぐらいは経験してみたいとは思いますね。ただまぁ、強いヤツとやりたいっていう単純な欲求はわかるので。それは何となくわかりますよね。でもそれで、鈴木さんにしても山田さんにしても、肉体的に負ってるところもあるから、その欲求とか夢とかの代償的なものをはらわなければいけないっていうのも含めて、やってみたいっていうのは、良いんじゃないかなって思いますね。


当時は当時のパンクラスルールでの試合が通常行われていて、鈴木選手や山田(学)選手がモーリス・スミスと闘った(1995年9月・日本武道館)ようなある種特別ルールでの試合もいくつかありましたが、そういう特別ルールでの試合に北岡選手は興奮したりしました?
北岡悟:ん〜パンクラチオンマッチとかも実際そうだったわけですよね。でも、通常のルールっていうのをスゴイ大事にすべきだと思いますよね。ちゃんとその時その時のパンクラスルールっていうものがあるから。それでやれば。それが一番強いヤツを決めるルールだって言ってやってるわけだから、他のはいらないって思いますよね。あくまで本道はパンクラスルールってわけで、それを大事にすべきだと思いますけどね。

鈴木選手や山田選手のキックルールでのVSモーリス・スミス戦は、プロレス団体を名乗っているパンクラスが持つある種ダイナミズムだったと思いますが、そのへんに関してはいかがですか?
北岡悟:そうかも知れないですけど・・・ん〜・・・ちょっと傲慢な感じはしますよね。当時なりに確立された競技・ルールの中で、それを壊してまでそこでそれをやっちゃうというのは・・・、ん〜その分代償を負うってことですよね。確実に。ダイナミズム・・・? ん〜、昔、立嶋篤選手(全日本キックボクシング)が言った「オレとやりたかったら、ちゃんと全日本キックのランキングを勝ちあがってこい」っていうのは、あれはもっともなことなので。僕もパンクラスのランキングに入っている選手なんですけど、今いろいろある総合格闘技の小さな大会で、そこで1戦ぐらい勝った選手がいきなり僕とやりたいって言っても、やっぱり「ちゃんとパンクラスのリングでアライ(ケンジ選手)とかに勝ってからにして」って思いますからね。だから僕も、もし打撃だけの試合をやるとしたら、ちゃんとそこのリングに上がるべきだと思うので。ん〜・・・だから僕的にはちょっと違うかなと。

わかりました。