じめじめした天気が続くとともに湿度もあがり、体&心の古傷(?)が痛んだパンクラスism、北岡悟です。『格闘徒然草』第2回目は、6/4(水)六本木・ベルファーレで行われた『SMACKGIRL〜ThirdSeason-IV〜』に出場したウィンディ智美選手(全日本キックボクシング連盟・AJパブリックジム)の試合リポートです。

昨今専門誌を賑わしている女子格闘技。日本NO.1の女子キックボクサーであるウィンディ選手は、昨年7月『AX』での星野育蒔選手(現在引退)との試合前に、全日本キックボクシング連盟の宮田充さん(パンクラスリングアナウンサー)からの紹介で、パンクラス横浜道場、昼のismの練習に出稽古に来るようになりました。しかしウィンディ選手は体重55キロぐらいしかない上に、忘れてならないのは女性であるという事です。ismの選手は平均体重80キロ以上、また練習も軽く混ざれるような内容ではありませんし、最初は組技の技術も知らない状態で、いくら女子キックの猛者で体ができているとはいえ、使う筋肉もキックとは別物の部分も多くあります。そのため当初は本当に大変そうでした。にも関わらずウィンディ選手は必死に食らいつき、現在まで最も定期的に出稽古に来ている他流派の選手です。練習も途中で抜ける事などなく、俺達と同じメニューをやりこなしてしまいます。そのフィジカル、キックのテクニック、何より精神は一緒に練習させてもらって大変勉強になります。現在、女子総合のルールは前回紹介した『ZST』でも採用してるグラウンドの顔面パンチなしのKOKルールに非常に近いもの。そこに寝技の秒数制限(30秒)が加わった形が主流です。今回ウィンディ選手が出場する『スマックガール』のルールもそれに準じています。『SMACK GIRL』は前身である『ReMix』から数えて3年目なので今年は“〜Third Season〜”とサブタイトルをつけてます。我らがパンクラスも毎年ツアー名をつけてますよね。沖縄の『武∞限』もつけてますし。でも、最近パンクラスはツアーと言っても首都圏以外は大阪しか行きませんし、「ツアーじゃないじゃん!」と内心個人的に思っています。パンクラシストととしては最もプロアマ問わず格闘技観戦している俺ですが、実は女子総合の会場に行くのは初めての事です。

今までウィンディ選手の総合の試合は、自分自身の試合前や諸事情で一度もセコンドや観戦に行けずにいました。今回初めてセコンドとして行きます、ismから一緒に付くのは伊藤(崇文)さん。セコンドに付く為、六本木駅で降り、雨降る中で一人ベルファーレに向かった俺。しかし、いっこうにベルファーレに着く気配がありません。そこに救いの一声が! 「北岡君〜こんなトコで何してるの?」「あっ!石井さんっ(涙)」。そうです!六本木といえばこの人!石井大輔さんです。偶然にもばったりです。パンクラスを退団されてから軽くご無沙汰でしたが元気な様子。相変わらず超ド級に親切丁寧で、全く正反対の方に向かっていた小バカな俺を正しく導いてくれました。“ありがとう!石井さんっ(感涙)”。そうしてベルファーレに到着。そういえば一度ここに来たのは石井さんが出場した昨年8月の『ウルフレボリューション』でした。ウィンディ選手の控え室に行くとすでに伊藤さんが。AJパブリックジムのトレーナーの方もいらっしゃってて、3人でセコンドに付くという事に。ジムのお仲間も戦前の激励に訪れてきます。ウィンディ選手が試合仕様なのか、髪の毛を編み込み&ウイッグしてたのに対して、ジムのお仲間が「お前ホントに可愛いなぁ(爆笑)」とかましていたのには正直衝撃が走りましたが、ウィンディ選手も「んもうっっ(微笑)!」と返していたので、おそらく普段からこんな感じなのだなと安心しました(?)。選手入場式の前に第0試合としてナナチャンチン選手(チーム南部)VS羽柴まゆみ選手(bcgizm.com)が行われました、この試合は羽柴選手が一方的に殴る蹴る。ストンピングも見せました。そのままTKO。俺はあまり知らなかったのですが、羽柴選手、軽いグラビアアイドル(?)らしく可愛かったです。控室から試合会場を見てた時、たまたま羽柴選手が俺の隣にいて、会場が暗転してレフェリーの和田良覚さんが見えたため、「和田さん、電球みたいだなぁ。」と俺が言ったら、「うふふ、そうですね♪」と返してくれてました(照)。「ありがとう!和田さん!」。ダシに使わせていただきましたm(__)m。

第1試合にマスクをかぶった15(いちご)選手(所属が不明?)が出場してました。DEEPではよく見るマスクなんですが、俺の個人的見解では格闘技では危険だと思います。単純にズレて視界がさえぎられる恐れもあり、レフェリーから見て表情(顔色)が見えません、頭部というのは人体でもっともデリケートな部分です。打撃によるダメージで万一の時、救護の妨げになるのではないかと考えられます。今後淘汰されていくと思いますが、大事が起きないうちにと願います。そうして大会は進んでいき、メインのウィンディ選手の試合まであと少し。ステージ裏で備えていると、セミで勝利した渡邉久江選手(TEAM LIMIT)の涙のマイクアピールが聞こえてきました。女子格闘家の方々、意外とよく泣かれます。この日は涙のマイクアピールが他にもありました。また、渡邉選手にKOされた外国人選手も必要以上(?)に泣いてました。俺がウィンディ選手に「ウィンディさんは泣かないで下さいね。」と言うと、「泣かないですよ(ニカッと笑顔で)。」と答えてくれました。う〜ん、男前です、ウィンディ選手。そうこうしてるうちに入場です。肩で風切ってます、ウィンディ選手。男前度はさらに上昇。メインの赤コーナー選手ですから、場内の期待もおのずと高まります。“暴走ハリケーン!”とコールされるウィンディ選手。女の子に生まれて“暴走ハリケーン”って言われるのはどのような気分なんでしょうか・・・? 残念ながら本人には聞けてません(微笑)。対戦相手は真選手(峯心会)。ウィンディ選手の対戦相手の外国人選手が、大会一週間前に練習時の怪我で欠場した為、急遽の試合だったみたいです。プロフィールによると打撃主体の選手と推測され、こちらウィンディ選手サイドからすればやりやすい相手。かくして試合はワンサイドな内容になりました。真選手が非常にタフで心が折れなかった為、より凄惨になりました。凄惨といってもウィンディ選手の打撃のフォームは大変きれいです。対角線のコンビネーションを放っていきます。真選手の足の色がみるみるうちに変わっていきます。こういう試合展開になると、俺のセコンドとしての出番はすこぶる少ないです。ウィンディ選手の専門分野なわけですし、専門のトレーナーの方もいますし。差し合い、相手がくずれてガードポジションをとった時のみ声を飛ばしました。しかしウィンディ選手、組んでも大変力強く、見ていて安心です。まぁ普段80数キロの男子と組んで練習してるのだから当然ちゃー当然です。試合はなんとか真選手が2Rまで粘るも、最後はボディへの膝蹴りで前屈みになった真選手にウィンディ選手が顔面膝を叩き込みフィニッシュ。TKO勝ちをおさめました。ウィンディ選手は試合後も舞い上がる事なく、次の本業であるキックの試合への決意を高めており、その姿には風格を感じました。

ウィンディ選手、言わずもがな“本物”です。ただ、ウィンディ選手は普段からちゃんとした清潔感のある女性です。服装や言葉遣いはもちろん、立ち振る舞いに好感がもてる立派な方です。と、最後にバッチリフォローを入れつつ(笑)。また、ウィンディ選手の今後の活躍を期待しつつ。では、また追って〜。