第1試合 ミドル級戦 5分2ラウンド
○井上克也(2R 5分00秒、判定/2-0)金井一朗×

RJW/CENtrALには比較的好きな選手が多いです。アグレッシブにいく事、下地がレスリングであったりするという事もあるし、身体能力も高いです。レスリングという競技自体、積極的に自分から仕掛けていく事が基本ですから、そういう意味ではパンクラスのリングが求めているタイプの選手が多いと思います。それに対して金井選手は、今回久しぶりのパンクラスのリングです。彼はパッと見、雰囲気を持っていますが、性格上と言いますか、あまり喜怒哀楽を表に出さないタイプで、寡黙であるし、プライベートでは好青年でもあります。ですが、一度リングに上がったら変わっていく自分を求めないと、そろそろ駄目な時期に来ています。プロとアマチュアの違いはそこにあり、私生活とリングに上がっていく自分の違いです。典型的な好例は近藤有己選手です。普段は物事に拘らず、飄飄と気楽に生きているという感じですが、一度リングに上がった時は、表情こそ崩しませんが、相手を倒す事に意識が徹底していて、大変イメージの変わる選手だと思います。そして、それに影響される様に、普段と闘う時の自分を作っていくのが、金井選手のキャリアで言う所の、練習内容の意味です。その様な事を十分考えて、金井選手は闘って欲しかったなと思います。

試合は終始井上選手が積極的に仕掛け、対して、返していく中で技を取りにいこうとする金井選手という構図でした。これはプロとしてキャリアを積んでいくのであれば、金井選手が先に攻めていく事が必要です。お互い攻め合っていきながら、相手を退け、その中でカウンンターで一本を取る、と言うなら解りますが、はじめからカウンターを取りにいくのは受けの試合です。それはなかなか出来るものではありません。あくまでも試し合いです。試合という事で、やはり自分が何をしに来たかを考えるべきです。勝つ、負けるに拘り過ぎて、若しくは負けない事に拘り過ぎて、何しに来たのかわからないのであれば、リングに上がるべきではないと思います。この試合に関しては、井上選手の方が「絶対に何かしてやろう」という姿勢が見えていたという所で、判定の差になったのではと思います。アグレッシブな部分で井上選手が優ったという事です。技術的にはほぼ互角でしたから、そういう意味では同じ対戦を数ヶ月後、若しくは1年後、2年後に行なったならどちらが進歩しているか?という事を、今後の練習課題にしてもらいたいなと思います。

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