2/15日『PRIDE 武士道 其の弐』でのVSマウリシオ・ショーグン(シュート・ボクセ・アカデミー)戦から4ヶ月ちょっとを空けての試合、VS栗原 強(team ROKEN)戦が、6月22日(火)後楽園ホール大会で決定しました。今大会のポスターのコピー、「栄誉を担う者がいる。逆襲を誓う者がいる。」の言葉通り、今回の一戦は郷野選手にとって、VSショーグン戦の敗北からの逆襲となる大事な一戦だと思いますが、再起戦となるそのVS栗原戦のお話を伺う前に、先ずは前回の試合、VSマウリシオ・ショーグン戦を少し振り返っていただきたいと思います。結果として、2001年12月のVS近藤有己戦以来の敗戦となってしまったVSショーグン戦は、郷野選手ご本人としてはどのような意味を持つ試合になったのでしょうか?
郷野聡寛:あ〜、まぁ、俺自身は別に何とも思ってないですけどね。まぁ、大きい舞台に出て、あぁいう負け方をしたので、俺がそれまでの2年間ずっと勝ってたことを知らないヤツは、あの試合だけで評価するわけだから、その辺に関してはもったいないことをしたなと思いますけど。ただ試合内容とか、試合で出た技術とか、その時の状況とか考えると、別に・・・。これから先、プラスにはなるけど、マイナスになることはないんじゃないかっていうぐらい、収穫はありましたよね。

その収穫の部分に関して、何か具体的にお話しできることはありますか?
郷野聡寛:まぁ、(昨年)11月から2月までの間で、えらいディフェンス・テクニックは向上したなと。(試合で)スタミナが切れるまではほとんど有効打をもらわなかったわけだから。全部かわして。その辺はもう、最近あらためてビデオで見ても、「いや〜、上手くなったな」って思うぐらいで。これから先、あそこまで圧力と手数で来るヤツって、そうそういないじゃないですか。だから大抵の相手はもう大丈夫だなって。立ってる状態では。まぁ、そういう思いがあったので、その点では収穫がありましたよね。

再出場への意欲はどうですか?
郷野聡寛:声が掛かればいつでも行きますよってぐらいで。やっぱり「出たい、出たい」って言って出るよりも、俺を使いたいって思って、声を掛けてもらってそれで出る方が、俺としては満足感を得られますからね(微笑)。だからまた声が掛かるまで、きっちり自分を磨いて待ってますよ。はい(笑)。

では、ショーグン選手へのリベンジの意欲は?
郷野聡寛:まぁ、いろいろと言いたいことはあるんだけど、ここで言ってもね・・・(苦笑)。今度の大会パンフレットのロング・インタビューが俺らしいので、そこでいろいろ言いますから(笑)。

大会当日までのお楽しみということで(笑)。
郷野聡寛:そうですね。俺の言い訳を聞きたかったら、早めに会場に来てパンフをもらって読んでくれと(笑)。




わかりました(笑)。この郷野選手のインタビューをご覧の皆さんは、是非早めに会場に行って、パンフレットの郷野選手のインタビューを熟読して下さい(笑)。では、ちょっと郷野選手ご自身の話題から離れますが、2月の『PRIDE 武士道』以降、郷野選手がオーバーホールでお休みになっていらっしゃる間にも、チームメイトのGRABAKAの選手たちは、それぞれが様々な闘いに臨んできました。その一つ一つを郷野選手はどのようにご覧になっていたのかをここでお聞きしたいと思います。先ずは、3/29後楽園ホール大会で、約1年ぶりの復帰戦に臨んだ佐藤光芳選手から。試合自体は残念な結果(三角絞めでの一本負け)に終わってしまいましたが、復帰戦に向けた練習からずっと佐藤選手をご覧になっていた郷野選手には、佐藤選手のあの一戦はどのように映りましたか?
郷野聡寛:まぁ、正直、一番練習が足りないからね(苦笑)。まだ、負けても「しょうがねぇかな」って思うぐらいの練習しかしてない、できてないと思うし。相手(内藤征弥選手/A-3)の情報もあの時はそんなになくて、この間(5/28後楽園ホール)の佐々木(有生)との試合を見ても、下からの攻撃が相当上手かったから。まぁ、不運な面もあったと思うけど、その不運もきちんと練習してれば普通に跳ね除けることができたようなものだから。だから彼にはより一層の奮起を促したい、期待したいですね。

では、続いて石川英司選手です。今年に入って2連勝で、昨年から数えると、1引き分けを挟んでの7連勝中ですが、この石川選手の快進撃をどうご覧になってますか?
郷野聡寛:まぁ、エ〜ちゃんが今まで対戦してきた相手っていうのはほとんどが日本人選手で、外国人選手にしても強敵っていうほどの選手ではなかったわけだから、そういう選手たちと試合をして、普通に危なげなく勝つレベルにはいると思うので。今度(6/22後楽園ホール)、ネイサン・マーコートと試合をするけど、これからが、俺とか佐々木とか菊田さんが、それこそ何年も前から味わっている苦しみの領域に入って来る第一歩だなって。今、そういう位置ですよね。だから、この間の勝ちまでは、別に何の不思議もなく、普通に勝てる相手に普通に勝ってきたということだと思いますけどね。

この快進撃の中で、郷野選手からご覧になって、石川選手に変わってきた部分ってありますか?
郷野聡寛:やっぱり『DEEP』(昨年5月・後楽園ホール)で桜井隆多と試合してから変わったんじゃないかなって。一皮剥けたっていうか。あれで自分に自信を持つことができたんじゃないですか。それまでは・・・例えば押さえ込まれてもジッとしてて、セコンドの菊田さんとかに「動け!」って言われてやっと動くみたいなところがあったんだけど、あの試合を乗り越えたあたりから、言われなくてもドンドンドンドン自分から攻撃を仕掛けて、自分のスタイルっていうのがわかってきたと思うし。だからあの辺から独り立ちし始めたって気がしますね。

わかりました。では続いて、4/23後楽園ホール大会で、昨年11月のVS近藤有己戦以来の試合に臨んだ菊田早苗選手。状況としては今回の郷野選手に似ているところがあって、パンクラス入団(1999年6月)以降、初のVS日本人選手での敗戦、そしてそれがタイトルマッチという、前回の試合からの再起戦でしたが、試合前には弱気とも取れる発言が菊田選手から出ていました。試合自体は菊田選手がグラウンドで圧倒し、期待された一本は取れなかったものの、大差での判定勝利を上げ、菊田選手本人は満足できる結果ではなかったようですが、再起戦を勝利で飾りました。試合前や試合後の菊田選手の発言を含めて、菊田選手のあの一戦をどのようにご覧になってました?
郷野聡寛:ん〜、まぁ、そうですね・・・。今、総合格闘技って、ほとんどの選手が何でも出来るようになってきてますけど、その中で菊田さんは一芸で勝負してるわけじゃないですか。寝技で。だからそこで、菊田さんが出来ないところを突かれて、VS近藤戦も負けちゃったりとかしてて、本人もいろいろ考えて悩んであの試合に臨んだと思いますけど、それでもやっぱりVS近藤戦の後に言ってた通り、菊田さんには寝技しかなくて、今から新しい技術を憶えようというつもりはないようですからね。だからあの試合だけに限らず、これから先も苦しいと思うんですよ。みんな菊田さんのスタイルをわかってるし。ただ、それでも自分の一芸を信じて、それだけで勝負するって選手がいても良いじゃないですか。これからも菊田さんは、新しいことをそんなに憶えようとはしないと思うし、自分の得意分野を磨いてそれで勝負していくっていう道を選ぶと思うので。まぁ、その中であぁいう寝技のガードが上手い選手と試合したら、あぁなっちゃうのもしょうがないと思うんですよね。菊田さんもあのままで終わるとは思わないし、これからまだ一芸の寝技をもっと磨いて、誰とやっても自分の土俵に引きずり込んで勝負できるように努力すると思います。まぁ、その苦しみの一端が垣間見えましたね。あの試合で。しょうがないと思うんですよね。

試合前に菊田選手は「満足できる結果が出せなかったら・・・」と発言してましたが、あの試合から1ヵ月ちょっとが過ぎた現在の菊田選手の様子はいかがですか?
郷野聡寛:そうですね・・・まぁ、もう、闘わなくても食べていけるだけのものを菊田さんは持ってますから、そういう点で、多少闘いに対するモチベーションっていうのを上げ辛い状況にはなってると思うんですよ。だからもう、ホントに・・・ホントに闘いたいって自分が思う相手じゃないとモチベーションが上らないっていうか・・・。試合のための試合っていうか、そんなんじゃなくて、試合を越えた後にいろんな大きなものが見えないとやりきれないんじゃないですかね。




それでは次に、郷野選手と同じく『PRIDE 武士道』に出場した三崎和雄選手です。5/23『PRIDE 武士道 其の参』では、シュート・ボクセ・アカデミーのジュルジ・パチーユ・マカコ選手を相手に、完封と言っても過言ではない判定勝ちをおさめました。あの一戦をご覧になっていかがでしたか?
郷野聡寛:まぁ、硬かったですよね。俺と佐々木が『PRIDE』の初戦で負けて、『PRIDE』の初戦を落とすのと拾うのとでは大きな違いがあるっていうのを傍で見ててわかってると思うので、自分は落とせないっていう、そういうプレッシャーが大きかったと思うんですよね。それで非常に手数も少なく硬くて。俺としてはやっぱり、和雄はもっと出来るっていうのがわかってるわけだから。普段の練習とかを見ていて。だからこの間(2月・後楽園ホール)のVS國奥(麒樹真)戦みたいな完勝とか、あそこまで相手に何もさせないような試合を期待しちゃってたので(笑)。まぁ、勝ったから良いんですけど。『PRIDE』で初めて和雄を観たお客さんには、和雄をあんなモンだと思われたらね、何か俺も悔しいですから。その点でちょっと・・・ん〜、もうちょっと物足りないなっていう、そんな感じはありましたけどね。

では、チームメイトに関してはこれで最後です。郷野選手より一足早く、5/28後楽園ホール大会で復帰戦に臨んだ佐々木有生選手と山宮恵一郎選手。両選手それぞれの闘いは、郷野選手にどのように映ったのでしょうか?
郷野聡寛:山宮さんは、もう練習でも積極的にパスガードを狙うようになってるし、それが出た試合だったと思いますよね。やっぱり極めとかはなかなか・・・よっぽど極めの上手い佐々木とかでも、試合では極めきれなくなってきてるし。そういう中で山宮さんが、GRABAKAに来てまだ半年で、きっちりと極めるところまで持っていくっていうのはキツイと思うんですよね。だからパスしてポジション取って、上から殴るっていう、ちょっとエ〜ちゃんチックな試合が出来たっていうことでも、俺としてはセコンドで見ていて満足しましたけどね。まぁ、「変わってねぇぞ!」っていう野次がありましたけど、その前に「お前の見る目がないだけじゃないか」って思いましたけど(笑)。だから山宮さんは、一歩目としてはあれで良かったと思いますよ。それで佐々木の場合は、もう、精神面だけですよね。真面目過ぎるところが、今、裏目に出てると思うんですよ。例えば試合前に練習を詰めてやっていて、それで疲れてても休めないっていうか。疲れていても「やんなきゃ、やんなきゃ」で練習に来て、それであんまり良い練習が出来なくて、また疲れがもっと溜まっちゃうっていう。まぁ、今までそれで強くなってきたんですけど、もう年齢的なモノもあると思うし、それで無理に練習してケガしたりとかしてもつまらないんでね。その辺を少しずつ、もうちょっと肩の力を抜いて練習をやれるようになれば良いと思うんですけど。まぁ、でもこればっかりは性格ですからね・・・。すごく真面目なところが良いところでもあり、悪い面として出る時もあるので。真面目に頑張ってるだけに、それが裏目に出ると、一緒にやっていて見てる方も辛いですよね。

わかりました。では、今回の郷野選手の戦線復帰で、GRABAKAのメンバーが全員リングに戻って来ることになりますけど、ここ最近のチーム全体の状況をどのようにご覧になっていますか?
郷野聡寛:まぁ、みんな力は上がってると思いますよ。上手く結果に出なかったりもしてますけど、長い目で見た場合、絶対的な実力っていうのは上がってますからね。「停滞してるように見える」っていう声をよく聞くんですけど、実際にやってる身としては、そんなこと全然ないですよね。だから最近、自分と観てる人の温度差というか、ギャップをすごい感じて。お客さんを沸かせるためには真面目に市場調査して(笑)、お客さんの感性っていうものを理解しておかないと難しいなって思うようになってきて。だから、それぐらい今の質問の答え一つとっても、観る側とやる側とではギャップがあるんだなっていうのを感じますよね。まぁ、確かに菊田さんが戦績的にはちょっと躓いちゃってますけど、今までが良過ぎたしね(苦笑)。逆にエ〜ちゃんは7連勝で頑張ってるわけだし。チーム全体として見たら、決してマイナスにはなってないと思うんですよね。




では、ここからは郷野選手ご自身のお話に戻して、6/22後楽園ホール大会でのVS栗原 強戦に関してお聞きしていきます。今回の対戦相手の栗原選手ですが、パンクラスではこれまで山宮選手、近藤選手、渋谷選手の3人と対戦していて、まだ勝ち星がない状況ではありますけど、入場時のパフォーマンスと、どんなに劣勢になっても試合を諦めない、その心の強さが目を引く選手です。今回の再起戦の相手に、その栗原選手が決まった時の心境っていかがでした?
郷野聡寛:そんなんで良いのかなっていう感じでしたけどね(苦笑)。まぁ、いきなりデビッド・テレルとか言われるかなって思ってたんですけど、言われた相手が日本人選手ってことで、そんなんで良いのかなって思いましたね。まぁ、自分もオーバーホール明けみたいな感じですけど、完全に治ってるわけでもないですから(苦笑)。治りきってないところもあるので、そういう中ではちょうど良かったかなってぐらいに思うところもありますよね。

栗原選手にはどんな印象をお持ちですか? 試合もご覧になっていると思いますけど。
郷野聡寛:ん〜、全部見て思ったのは、まぁ、耐えてるだけだなって。自分が主導権を握ることはそんなになくて、ただひたすら耐えてるって感じで。そんな印象ですかね。

郷野選手としては、栗原選手との接点も何もないですから、対戦相手自体になかなかテーマを見出し辛い試合ではありますけど、やっぱりファンの皆さんにとってみれば、ここで郷野選手がきっちり勝って、今年2月までの勢いをまた取り戻せるのか?という感じで試合をご覧になると思います。そういう状況の中で、今回郷野選手ご本人としては、どういうお気持ちで試合に臨むことになるのでしょうか?
郷野聡寛:ん〜、練習でやっていることをそのままやれば良いかなぐらいにしか思ってないので。まぁ、それが出れば普通に倒せると思うし。あの〜、俺と初めて手合わせする相手にとって、俺のパンチって見えないと思うんですよね。そういうものを磨いて来た自信はあるし。だから、そういう見えないパンチを当てたいなって楽しみはありますよね。まぁ、それぐらいかな。見えない所からパンチを出してビックリさせたいとか、それぐらいですかね。

では、今回のVS栗原戦の先のことに関してお聞きします。今年ももう、残り半年になりましたが、年末までに描いていらっしゃる青写真って何かありますか?
郷野聡寛:いや〜、何も考えてないですね。取り敢えず・・・万全の体調で試合に臨めるようになりたいですね。なかなか小さいケガも多いし。100%の体調でっていうのはそんなにないと思うんですけど。去年(8月)、一度目のVS(ニルソン・デ・)カストロ戦の時って、すごい調子が良かったんですよ。だから、あの状況、状態にもう一度持っていきたいなって。それで試合に臨みたいって思いはありますよね。

例えば誰々と闘いたいとか、何処何処のリングに上がりたいというような、そういう具体的なものはありませんか?
郷野聡寛:そ〜ですね・・・まぁ、いろいろ出たいですけどね。例えば・・・次にまた『PRIDE 武士道』に出るなら、さすがに93kg契約じゃ試合しないですけど(苦笑)、82、83kgぐらいまで体重を削ってやったら、俺、相当上まで行けるんじゃないかって、そういうことは漠然と思いますけど。まぁ、まだまだ何となく思ってるだけですからね。次の試合が終わったら、また何か見えてくるんじゃないですかね。結果如何によって。

わかりました。では、これで最後です。郷野選手の試合を楽しみにしていらっしゃる皆さん、そして郷野選手を応援していらっしゃるファンの皆さんへメッセージをお願いします。
郷野聡寛:ホームページ(オフィシャル・サイト)の対戦カード紹介文の中に、「完全オーバーホールして」とありますが、これは看板に偽り有りでございます(笑)。まだまだね〜、体調は・・・そ〜だな〜、去年の一度目のVSカストロ戦を100としたら、50とか、いっても60ぐらいにしかなってないんですけど・・・。まぁ、100%の体調で、半分以下の力しか出せない時もあれば、60%の体調でも、100%出せば60出るわけじゃないですか。100%の半分以下よりも良いわけじゃないですか。だからそういうふうに持っていけるように、(試合までの)残りの時間を使って何とか調整するので、俺の見えないパンチが相手に当たるのを期待して観に来て下さいと。観る側との温度差を出来るだけ埋めるようにしますので(笑)。観る方も頑張って下さい。



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