10月12日(火)の後楽園ホール大会で、名古屋ブラジリアン柔術クラブのホープ、宮田卓郎選手とのキャッチレスリング・ルールでの対戦が決定している矢野選手ですが、今回のVS宮田戦についてお話をうかがう前に、先ずは最近の矢野選手の活動に関して少しお聞きしたいと思います。今年1月の『ZST・GP決勝大会』での試合を最後に、それ以降は試合に出場してないこともあって、最近の矢野選手にはパンクラスMEGATONのコーチ、指南役としてのイメージが強いように感じてしまいますが、そのMEGATONのコーチを引き受けるに至った経緯を先ずは教えていただけますか?
矢野卓見:いや〜、秋庭さん(※秋庭勝教氏:MEGATON顧問)に「やってくれ」って言われて、それでやってるだけですけど(笑)。

最初にお話を聞いた時の心境っていかがでした?
矢野卓見:「嫌だ」って言いましたよ(笑)。面倒クセ〜し、みんなデカいから。でも、「ど〜しても」って言うからやったんですけど。

MEGATONの存在は元々ご存知でした?
矢野卓見:いや、知らないです。あ〜、でも、何かチームを作ったとか、何だかんだってゴチャゴチャ言ってた気はしますね。ただ、誰がいるとか、そういうことは全然わかんなかった。

コーチを引き受けられて、実際にMEGATONのメンバーとお会いになった時の感想ってどんなものでした?
矢野卓見:忘れちゃいましたね(苦笑)。どんなだったっけな〜? まぁ、でも、最初は山田(学)さんもついてたので・・・。(自分の)ケガの前だったのかな? 引き受けたのが。去年の12月ぐらいですかね。ちょうど『ZST』のグランプリ前ぐらいで。まぁ、印象は・・・デカいぐらいですかね(苦笑)。

昨年の12月から指導するようになったとのことですが、最初の頃は、実際にMEGATONのメンバーに指導していてどのようなお気持ちだったのでしょうか?
矢野卓見:まぁ、だから・・・単純に身体のデカさが違うから、使える技と使えない技があって。デカい人が使いやすい技はこういうのかな〜とか、そういう感じで気は遣ってましたね。

矢野選手が指導を始めて10ヶ月が経とうとしていますが、メンバーの皆さんのレベルアップに関してはどう感じていますか?
矢野卓見:そうですね・・・最近、○×君を見ないんですよね(苦笑)。まぁ、でも、スパーリングでも随分上手くなってきてるし。最初はやっぱり、ちょっとぎこちない人が多かったけど、もう普通に寝技とかをやってますよね。

昨年12月に、それまでのMEGATONというチームがパンクラスMEGATONになるという発表があり、その時のメンバーは高森啓吾選手、IRO関選手、保坂忠広選手の3名だったんですけど、今年に入って野地竜太選手、若翔洋選手、そして太子郎選手の加入があり、更に、パンクラスMEGATONからパンクラスMEGATON-TOKINが派生して、三浦広光選手がそこからデビューを果たしました。そういう、どんどん選手が増えていく状況を、矢野選手はどういうお気持ちでご覧になってました?
矢野卓見:まぁ、いないよりはいた方がね、練習も活気が出て良いかなと。



では、コーチ、指南役の矢野選手からご覧になった、MEGATON、並びにMEGATON-TOKINの、選手それぞれの人となりをちょっとお聞きしていきたいと思います。先ずはMEGATONのリーダー、高森啓吾選手からお願いします。

矢野卓見:高森君は・・・どうかな・・・? そういうことをあんまり深く考えたことがなかったから(苦笑)。いや、普通の子かな。とりあえず酒を飲むのが好きですよね。前、骨折したにも関わらず飲みたがってから(笑)。

練習に対しての取り組み方とかっていうのはいかがですか?
矢野卓見:練習は・・・まぁ、マイペースじゃないですかね。多分、自分が持ってるスキルに合わせた練習っていうのを自分で考えてやってると思いますけど。あとは・・・結構、細かいケガが・・・。その点はみんな体重が重いから、気をつけてもらいたいですね。

これまでの試合では、なかなか寝技にいく機会もなかったんですが・・・。
矢野卓見:一生ないんじゃないですかね(笑)。まぁ、性格的なものもあると思いますけど。この前の試合(9月・後楽園ホール大会)の時も、トレーナーについてもらってボクシングの練習をしてましたけど、いざ試合が始まるとね、も〜関係ないですから(苦笑)。まぁ、試合になると、まだ冷静さを欠いちゃうっていう。そこが良い所でもあるとは思うんですけど、これから1ランク、2ランク上を目指していくのであれば、その辺は冷静に闘えるようにならないと、なかなか難しいのかな〜って。

わかりました。では続いて、パンクラスではまだ1試合だけのIRO関選手。以前、野地選手が「チームのムードメーカー的な選手」というようなことを言ってましたけど。
矢野卓見:まぁ、そうですね(笑)。今はまだなかなか難しいところがあるかも知れないですけど、いないと困るって感じじゃないですかね。

では、3人目は保坂忠広選手。
矢野卓見:試合をやる気はもの凄くあるんですよ。試合を。あと・・・何か2枚目キャラっぽい感じですよね。性格的に。見た目はちょっと太ってますけど(笑)。

・・・(苦笑)。では、続きまして、7月の後楽園ホール大会でパンクラス・デビューを果たした野地竜太選手。
矢野卓見:まぁ、野地君は、ほっといても勝手に練習してるってタイプで。ホント練習熱心。まぁ、極真であそこまでいった選手ですから。練習しないとあそこまでいけないでしょうし。だから当たり前って言えば当たり前かも知れないですけどね。

寝技の上達具合に関してはいかがですか?
矢野卓見:今はもう、ホント普通に出来てますね。

寝技のセンスっていうことではいかがですか?
矢野卓見:基本的にセンス云々ってタイプではないと思うんですよね。だから、本当に練習量でカバーするって感じで。ん〜、1教えて10を知るみたいなタイプじゃなくて、10教えて、その中の3つ4つが身に付くみたいな。で、それを止めずに、何回も繰り返して、10に持っていくと。

わかりました。では、野地選手に続いて、同じく7月の後楽園ホール大会でパンクラス・デビューを果たした太子郎選手。
矢野卓見:寝技は、もう最初っから出来てましたよね。柔道をやってたんですよね? 寝技はやけに動きが良いですよ。

ちょっとそれは以外ですね・・・。7月のデビュー戦が僅か15秒での勝利ということで、全く寝技の機会もなかったんですけど。
矢野卓見:まぁ、これからもあまりなさそうですけどね。出がお相撲さんだから、テイクダウンされるってこともあまりないだろうし。ド突き合いになったら、もうKO必至みたいな感じですから。まぁ多分、あまり寝技になる機会もないでしょうね。寝技になる展開があるとすれば、相手に殴られてちょっと効いちゃってとか。そんな感じで下になっちゃうと、ほとんど「レフェリー、ストップしてくれ!」ってぐらいの状態だと思うから。普通にやりあってる中では、なかなか下にはなんないと思いますよ。

では、最後の選手ということで、こちらも7月の後楽園ホール大会で、ある意味衝撃的なデビューを果たした、MEGATON-TOKINの三浦広光選手。
矢野卓見:まぁ、今、ボクシング技術の向上に余念がないみたいで。寝技はもう最初から・・・珍しく、下でも足が利くタイプ。ただホントね、試合中に手を振る癖さえ治せば・・・(笑)。

デビュー戦で、あそこまでの動きが出来るっていうことは、試合前に予想してました?
矢野卓見:まぁだから、スタミナが切れることぐらいじゃないですか? 心配してたのは。テイクダウンされても足が利くので、やられることはないだろうなって。実際、投げとかのテイクダウン能力は三浦君の方が上だったので。だから心配なのは、打撃の打ち合いで相手の方が上回っている時が怖いですよね。でも、相手の方が怯んでる時は、「こりゃ、イケるだろうな」って思ってたんですけど、最後の最後にいきなり手を振り出したので(苦笑)。お母さんに手を振ってたんですかね?(笑)。

・・・(苦笑)。三浦選手の才能とかセンスというものは、矢野選手にはどのように映ってますか?
矢野卓見:まぁ、今後の打撃の向上が、そのまま糊しろになるなって。

わかりました。では、今お話しいただいたような、MEGATON、並びにMEGATON-TOKINのメンバーの皆さんを指導していらっしゃる矢野選手ですが、その中で喜びや楽しみっていうのはどの辺にあるのでしょうか?
矢野卓見:そうですね・・・ん〜、まぁ、やっぱり試合とかで勝てば嬉しいし。でも一番は、上手くなってくれるとやり甲斐がありますよね。

では、今後もずっと続けていかれると。
矢野卓見:いや、わかんないですね。こればっかりは。いつ首を切られるかわかんない(笑)。まぁ、いらないってなったら、潔く身を引きますよ。



では、以上でMEGATONのコーチ、指南役としてのご質問は終わりにして、これからは、ファイターとしての矢野選手へのご質問になります。今回、今年1月の『ZST・GP決勝大会』以来、10ヶ月ぶりの試合に臨みますが、対戦相手の宮田選手は、これまでパンクラスのリングで3試合に出場しています。そのどの試合もご覧になったことがないとおっしゃってましたが、ここにある簡単なプロフィールをご覧になっての宮田選手の印象ってどのようなものでしょうか?
矢野卓見:いや〜、十段が「強い」って言ってましたよ。今成(※今成正和選手:team ROKEN)が「強いっスよ」って。で、「あッ、強いんだ」って。そんな感じですね。

今成選手から「こうこうこういう選手だよ」って感じでお話はありました?
矢野卓見:いや、「強い」って(苦笑)。

それだけ?(苦笑)。対策とかのお話はしませんでした?
矢野卓見:「強い」って言われただけなので、こっちも「強いんだ?」って。それだけですね。

特に矢野選手から深く突っ込んでは聞かなかった?
矢野卓見:まぁ、聞いてもしょうがないですからね。もう、試合はとにかくやってみないと。強い弱いもあるでしょうけど、相性みたいなものもあるので。スタイル的に。

矢野選手は、試合前に対戦相手のことはあまり気になさらない?
矢野卓見:まぁ〜、気にはなるんですけどね。いちいち調べるのが面倒臭いんですよ。

ず〜っとそんな感じで、これまで来ていらっしゃる?
矢野卓見:まぁ、結局、自分が強ければ勝つだろうし、相手が自分より強ければ、相手が勝つだろうし。それを考えたら練習するしかないですよね。

今回はキャッチレスリング・ルールでの試合になりますけど、試合自体は10ヶ月ぶり、また、パンクラスのリングでは、昨年10月の大阪大会以来、1年ぶりの試合になります。それだけの試合間隔が空いた中で、試合を目前に控えた現在の心境はいかがですか?
矢野卓見:いや〜、もう、忘れちゃいましたよ。ど〜やって試合に臨めば良いか(苦笑)。この前のパンクラスの興行を観てて、ああいう舞台に立つのはちょっと怖いなって(笑)。ほとんど素人状態(笑)。

試合まで、もう1週間もありませんけど、気持ちの高ぶりとかはいかがですか?
矢野卓見:いや、もう、試合に出る感覚を忘れちゃったので、普通にアガっちゃうんじゃないですかね(笑)。

・・・(苦笑)あの〜、矢野選手のお名前聞くと、やはりグラウンド、“センタク挟み”に代表されるような奇想天外な絞め技、関節技っていうのが思い出されますけど、やはり組み技・寝技限定の試合の方がご自分の中でも楽しいですか?
矢野卓見:ん〜、まぁ、それしか出来ないですからね(笑)。

“センタク挟み”のような、誰もなかなか想像出来ないような技って、矢野選手の中にはあとどれぐらいあります?
矢野卓見:そんな大してないような気がしますけど。いや、まぁ、普通にやってる中の1個が、たまたま珍しかったぐらいで・・・。要は、技をかけるポジショニングでかかる技っていうのが決まってくるので。たまたまああいうポジションで出来る技っていうのがアレってだった訳で。

では、本当に久々の試合となる今回ですが、矢野選手ご自身の中で、今回の試合のテーマと言うか、大切にしたいと思ってることはどんなことでしょうか?
矢野卓見:そうですね・・・とりあえず試合をやってみるっていう(苦笑)。今回のテーマは。試合をやってみる(笑)。やってみてどうかな?って。だから、どうなるかわかんないですね。

何か考えてる技とかってありますか?
矢野卓見:いや、ないですね。ホントそんな、「これを極めてやろう」みたいな、そういうふうにはいかないですから。大体相手に主導権を握られてしまうみたいな。展開的に。

では、今回の試合のことからちょっと話題を変えて、矢野選手の今後についてお聞きしたいと思います。今後、「こういう事をやっていきたいと」いうようなことが何かありますか?
矢野卓見:まぁ、とりあえず今回試合をやってみて、まだ出来そうだったらやるし。逆に今回大ケガとかしちゃったら引退かなと(笑)。そんな感じですかね。

いつぐらいまで現役でいたいと考えてますか?
矢野卓見:ど〜なんですかね。いつ引退してもおかしくないような気もするんですけど。年齢的に。周りからも、「あぁ、試合やるんだ」ぐらいの(苦笑)、「引退しないんだ」ぐらいの感じで(笑)。

今後に関して、何か具体的な目標とかってありますか?
矢野卓見:そういうのはないですね。TK(高阪 剛選手:チーム・アライアンス)みたいにね、いろいろ目標とかあれば良いんですけど。TKは同じ歳ですから。まぁ、試合をやってみて、ケガとか何も問題なかったら、またペースを上げてって感じで。

わかりました。では、これで最後になります。久々の試合ということで、矢野選手の試合を楽しみしていらっしゃる皆さん、そして矢野選手のことを応援していらっしゃるファンの皆さんへ、試合に向けてのメッセージをお願いします。
矢野卓見:まぁ、今のうちから負けた時の言い訳を考えてるんですけど(苦笑)。まぁね、負けてもあんまり叩かないで下さいと(苦笑)。

MEGATONのメンバー、教え子の皆さんたちへの、先生からのメッセージもお願いします。
矢野卓見:いや〜、まぁ〜・・・試合と指導は違うからね(笑)。ちょっとね、情けない負け方をしたら、説得力がなくなるかも知れないですけど。でも、それはそれ、これはこれってことで(笑)。見て見ぬフリをしてもらえるかな〜みたいなね。そんな感じですね。



矢野卓見選手database