第1試合 フェザー級戦 5分2ラウンド

志田幹
(P'sLAB東京)

出見世雅之
(和術慧舟會GODS)
2R 0分43秒、ギブアップ/フロントチョーク
■志田幹(63.4kg) セコンド:北岡悟、大場裕司
■出見世雅之(63.5kg) セコンド:星野勇二
レフェリー:大藪吉郁

出見世選手は、動きもトリッキーで大変速い、身体能力も高い選手という印象でした。1ラウンド序盤から目まぐるしい動きを見せて、志田選手にプレッシャーをかけていきますが、この日の志田選手の闘い方は、近藤有己というイメージがありました。淡々ときちんと立ち、自分の攻撃のテリトリー、守備範囲、射程距離、そういったものをきちんと自分で把握して、自分が崩れる事無く、蹴る・殴る・掴まえる、相手が困難な状態、苦し紛れになってくると、そこからボディーコントロールをして、グラップリングに入っていくという、大変隙の無い闘いをした様に思います。

私は、志田選手は後楽園の中で異質だなと一瞬感じました。と言うのは、志田選手の紹介があった時に、観客席の一角にネクタイ姿の十数人の集団があって、ドッと彼に声援を贈っているのを見ました。彼は今回の試合、これまではお勤めの仕事と格闘家のお仕事、2足の草鞋だったのを、一念発起して、会社を退職して、プロの格闘家一本の道に腹を決めての試合でした。いわゆる本当のデビュー戦だったかも知れません。その彼の晴れ姿を、元同僚の方々でしょう、その人達が快く応援しに来てるという所に、日常の在り方が見て取れ、何か清涼感を味わいました。そんな彼が、出見世選手の速い動きに翻弄される事無く、自分のやる事を淡々として、ウィナーコールを淡々と受け、リングを降りて行く姿を見た時、パンクラス旗揚直後の、会場が静まり、終了のゴングと共にようやくざわつくという、今の会場の雰囲気とはちょっと違う、淡々とした選手の凄味、大人の凄味みたいなものを、ちょっと感じさせてもらいました。そういう意味では時代に流される事無く、自分のスタイルを貫いている男の強さみたいなもの、それを感じました。私としては大人の清涼感のある、良い感じの志田選手の試合でした。出見世選手も健闘しましたが、またトレーニングをして経験値を積んで、戻って来てもらいたいです。

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