3月6日(日)の横浜文化体育館大会がいよいよ近づいて来ましたが、今大会の第5試合で、【第2代ウェルター級王者 決定4人トーナメント】の第2試合として、長谷川秀彦選手(SKアブソリュート)との対戦が決定している北岡選手。早速ですが現在の心境と体調はいかがですか?
北岡悟:普通じゃないですかね。心境はややリラックス気味かなって感じです。だから当日が恐い感じがしますね。緊張して。で、コンディションはまぁまぁじゃないかなと。

今回のvs長谷川戦は、【第2代ウェルター級王者 決定4人トーナメント】の中の一戦として行われますが、今回、このトーナメントが開催され、その出場4選手の中に自分が選ばれたということを聞いた時の心境はいかがでした?
北岡悟:そうですね・・・トーナメントの話より、長谷川選手との対戦が決まったということを先に聞いたので。その後にトーナメントの中の試合ということを聞いて。まぁ、長谷川選手と対戦出来るっていうことで嬉しかったのですが、それが更にこのトーナメントの試合ということで嬉しくなりました。

北岡選手以外の3選手の名前を聞いた時はいかがでした?
北岡悟:まぁ、パンクラスに所属している選手は僕だけなので・・・その時は別に思わなかったんですけど、最近になって「俺のためのトーナメントだったんだ」(笑)って気付きましたね。僕が去年引き分けたシムズ選手(ヒース・シムズ選手/チーム・クエスト)と、負けた井上選手(井上克也選手/和術慧舟會RJW)が2月に対戦して、そこで井上選手が勝って、そして今回僕が長谷川選手に勝てば、5月の横浜大会で井上選手にリベンジしてチャンピオンになるっていう、自分にとっては都合の良過ぎる展開になっているんだということに最近ようやく気付きました(笑)。ちょっと前までは、あまりそういう気持ちにはなってなかったんですけど、都合良く嬉しい解釈が出来るようになってきました。

その解釈が出来るようになって、ご自分の中で試合に向けての気持ちが更に盛り上がりました?
北岡悟:いや、逆に落ち着きましたね。ん〜、よりエンジョイ出来るというか。それが率直な感じですね。

2月4日・後楽園ホール大会で行われた同トーナメントの第1試合、ヒース・シムズvs井上克也戦は会場でご覧になっていると思いますが、あの試合を生でご覧になって何を思いました?
北岡悟:井上選手は僕と対戦した時(昨年11月・東京ベイNKホール)よりも、もう少し強くなっている感じがしましたね。シムズ選手と対戦する前にも、海外で一回試合してるみたいですし。経験が上乗せされて良くなってる、特にスタンドの打撃が良くなってきているなって印象でした。まぁ、結果について言えば「ああなるだろう」って思ってたので、別に結果には驚かなかったですけど、内容が良かったので、その日はちょっとビビりました(苦笑)。

井上選手に対して?
北岡悟:そうですね。「次に勝っても、こんな強い選手と闘わなきゃいけないんだ」ってちょっと思っちゃいましたね。正直に言うと。

そのお気持ちは、いつ頃から前向きなものに変わりました?
北岡悟:そうですね、1週間ぐらいで(笑)。それぐらいで気持ちが変わりましたね。まぁ、いろいろ自分なりに考えて、それでまとまりました。

では、シムズ選手に勝った井上選手が、リング上で発言した内容(※「パンクラスのベルトは通過点。ベルトを獲って、パンクラスの王者として『修斗』の菊地 昭選手と闘いたい」という内容)に関してはいかがですか?
北岡悟:そうですね・・・出来れば長谷川選手に勝ってから言いたい話なので・・・。でもまぁ、今言えるとすれば・・・失礼だと思いましたね。・・・あとは勝ってから言います。




わかりました。では、今回のvs長谷川戦に関してですが、先ほど長谷川選手との対戦が決まって嬉しかったという発言がありました。それはどういうところで嬉しかったのでしょうか?
北岡悟:まぁ、前回の試合(昨年11月・東京ベイNKホール)で負けたにも関わらず、現在ランキング1位の選手と試合が出来る、上の選手と対戦出来るということは、ランキングを上げるチャンスでもあるわけで、それが率直に嬉しいと。あとは、大石(大石幸史選手/パンクラスism)と門馬選手(門馬秀貴選手/和術慧舟會A-3)っていう、自分が負けてる二人に勝っている選手なので。だから長谷川選手に勝つことで、井上選手ともう一回対戦出来ると思ったんですよね。今回のトーナメントを抜きにして。「井上選手ともう一度対戦したい。闘うためにはどうすれば良いんだろう?」っていう気持ちがあったので。それで後からトーナメントの中の試合って聞いて、更に嬉しいみたいな。まぁ、流れ的に言っても、パンクラスの選手が次に長谷川選手と対戦しなければいけなかったと思うんですよね。僕はそう思ってたんですよ。で、長谷川選手が自分と闘ってくれることに関しては、ありがたいって気持ちがちょっとしますね。長谷川選手としては、いきなりタイトルマッチっていうのを望んでいたわけですし。でも、その資格があるのかどうかは良くわからないですけどね。まぁ、僕に勝てるものなら勝ってみて下さいって感じですかね。

最近の長谷川選手の印象はいかがですか?
北岡悟:そうですね・・・やってること自体は究極的には変わらないと言うか。大石との試合の時は、ちょっと変えて関節技一本で勝負するみたいな感じで闘ってましたけど、やってること自体は変わらないですよ。まぁ、ミドルからウェルターに落としてちょっとスピードが出たりとか、きっと体重を落とす過程でスタミナ作りとかもしっかり出来ると思うので、スタミナもよりあって。動きやすくもなってるのかなとは思いますね。体重を落として。それと、パワー負けもしなくなってるのかなって。あとは打撃を全然やらない印象があるんですけど、今の総合格闘技であそこまでスタンドの打撃をやらないで(試合を)何とかしてるっていうのは、ある意味すごいと思うので。ん〜、その辺が強さじゃないかなって思ってますね。

長谷川選手の寝技についてはどう思いますか? ずっとサンボをやってきて、全日本選手権で優勝するほどの実力者ですが。
北岡悟:まぁ、まぁまぁ強いんじゃないですかね。でも、上を見ればいくらでもいるなっていうのが正直なところで。それに彼の一番強いところがその寝技であるとは思ってないですし。

他にあると?
北岡悟:そう思ってますね。

柔術をずっとやってきた北岡選手には、サンボの寝技というのはどのように映るのでしょうか?
北岡悟:ん〜、足関節とか十字とかは、入り方のバリエーションが豊富だと思いますね。まぁ、自分もサンボの試合には一度だけ出場したことがあるんですけど、変則の柔道って言うか、サンボ自体を競技としてやる分には、変則の柔道っていう印象をその時持ちましたね。で、競技体系としてはそうかも知れないですけど、技術的にはいろんな関節技とかがあったりするっていうのは確かだと思います。ヴァーリトゥードを想定してという事では、柔術はヴァーリトゥードをイメージしている競技ではあると思いますけど。だからと言って、サンボが総合に向いてないとかって、そういうことを言うつもりもないです。

今回の【王者決定トーナメント】出場選手の中では、北岡選手が唯一のパンクラス所属選手ということになりますが、その点でのプレッシャーは?
北岡悟:そうですね・・・プレッシャーはありますね。でもまぁ、今の時点ではそのプレッシャーに潰されてはいないので。プレッシャーを受け流すつもりもなく、程よく受け止めて、心地良い感じでやりたいなと思いますね。

昨年11月の東京ベイNKホール大会で、近藤有己選手(パンクラスism)から「勝つパンクラス」という発言があって、それでどうしてもそのフィルターを通して、パンクラスの選手はマスコミの皆さんやお客さんから観られてしまうという現況がありますが、そういう中で、今回の試合に向けての北岡選手独自のテーマって何かありますか?
北岡悟:まぁ、勝つためには強さが必要だと思うんですよね。だから“強い”パンクラスじゃないですかね。勝つことは難しいことですよ。“強い”ということ以上に難しいことなんじゃないかと思いますから。それはキャッチレスリングの時に思いましたね。まぁ、僕は強くはなってきてると思うんですけど、勝つということは更に難しいということで。勝つためには強くなくちゃいけないってことも確かなことなので、強くありたいなとは思いますね。いろんな部分で。

今回のvs長谷川戦、自信のほどは?
北岡悟:きっと多分、あるんだと思いますね。自信が。だから結構落ち着いてるんじゃないかなって思います。根拠みたいなのはそこまでないんですけど。

“強い”パンクラスを見せることが出来ると。
北岡悟:ん〜、“強さ”って、いろいろ人の見る目によって違うじゃないですか。10人が同じものを観ても、何人が強いって言ってくれるかわからないじゃないですか。負けたとしても、「あの選手は強いな」ってこともあるわけで。でも、「わかってくれる人はわかってくれる」じゃダメだってことは、重々承知してますからね。まぁ、見せなきゃいけないなとは思ってますけど。あと、自分のことをちゃんと自分で信じてあげなきゃいけないなって思いますし。その辺りじゃないですかね。でもまぁ、自分はまだまだですよ、ホント。あの〜、どういう意図かあまりわからないですけど、自分と長谷川選手の試合がメインになるぐらいだったらみたいな話を郷野さん(郷野聡寛/パンクラスGRABAKA)が雑誌でしてましたけど、まぁ、その通りだなって思うんですよね。どこを指して言ってるのかはわからないですけど、自分でもそう思うので。自分の試合の後にGRABAKAの選手が4人出てきますけど、もし自分と長谷川選手の試合がメインだったら、やっぱりこの人たちを差し置いてこのカードがって思うので、その辺も含めて自分はもっと頑張らなきゃなって思いますね。そう考えると、ここで負けてしまうということは、更にもっと下だってことになるので、そこは何とかしがみついてでも踏み止まって、上に登らなきゃなっていうところじゃないですかね。だから気分はロッククライマーって感じです。はい。




わかりました。では、今回のvs長谷川戦のその先についてのお話ですが、今回勝利して決定戦に駒を進めると、そこには井上克也選手が待っています。今、vs井上戦について思うことって何かありますか?
北岡悟:まぁ、そこに辿り着きたいですよね。ホントに。今はそういうことになっちゃうんですけど。取らぬ狸の話になっちゃうので。まぁ、井上選手と決定戦をやることになったら、その試合に向けてまた頑張ることになって、そうしたら自分は更に強くなれると思うので、だからこそ今回の試合に勝って、井上選手と闘える状態にしたいですよね。一個一個厳しい試合をやって来て、ちょっとずつ強くなって来れたので。井上選手はすごく強いと思いますけど、対戦することになれば自分も燃えることになると思いますし、強い自分をつくっていけそうな気がするので、是非ともそこに辿り着くために、ここを勝ちたいということになりますね。

では、更にその先のお話になってしまいますが、一昨年から昨年にかけて、タイトル奪取、ベルトを腰に巻くということに対して執着ある発言が何度かありました。そして今、タイトル奪取への具体的な道筋が目の前に提示されている状況にありますが、現在はベルトを腰に巻くということに対してどういうお気持ちでいらっしゃいますか?
北岡悟:そうですね・・・ん〜、言葉にならない部分ではありますよね。誰よりもまぁ、間違いなく長谷川選手や井上選手よりも、僕がこのベルトを巻きたいという気持ちが強いと思いますけど。だけどまぁ、それで巻けるのかって言ったら違うので。強くて勝った人間が巻くものなので。ん〜、何かパンクラスのことが好きなんだなって思いますよね。そういうことを考えてると。だから、やっぱり俺が巻かないとって思います。ベルトを巻ける位置にいるんだからって思いますよね。2年ほど前から「ベルトを巻きたい」って言ってましたけど、正直おこがましい話だったなって思いますね。2年前とかは。今の時点でも「どうなの?」って思っちゃうところがあるので。もうホント、力のない人間が吠えてたんだなって、背伸びしてたんだなって思います。今でも背伸びしてる部分はありますから、だからあの時はもっと背伸びをしてて。だけどその背伸びのお陰で、足が鍛えられて伸びたみたいなところもあると思うので。まぁ、そんな感じですね。このトーナメントで、長谷川、井上、両選手を連破出来たらベルトを巻いても良いんじゃないかって思えるので、それを成し遂げたいなって思います。期待されてるのも最近ようやく感じるんですけど(苦笑)、それってすごい幸せなことで、何も思われないより、ホントに身に余る幸せな話なので、もう勝つことで応えたいですね。

わかりました。では、今回の北岡選手の試合を楽しみにしていらっしゃる皆さん、そして北岡選手を応援していらっしゃるファンの皆さんにメッセージをお願いします。
北岡悟:え〜、まぁ、今回の興行に出る選手で、山宮さん(山宮恵一郎選手/パンクラスGRABAKA)もそうなんですけど、でも今は所属が違いますから、船木誠勝、鈴木みのるの弟子っていうのは僕だけになるので、そういう目で観てもらって良いんじゃないかなって思います。僕は流れを受け継いでいて、血がそこにあるんですよね。間違いなく、自分は今のパンクラスの大きなかけらの一つであると思うので、そこら辺の柔道上がりの兄ちゃんには負けてられねぇよって思ってます。ガツンと勝つので観てて下さい。

★『ゴング格闘技 2005年4月号 No.156』(株式会社日本スポーツ出版社)に北岡選手が登場!82ページに北岡選手のインタビューが掲載されています。是非こちらもご覧下さい。

北岡悟選手database