第1試合 ヘビー級戦 5分3ラウンド
前ヘビー級王者
高橋義生
(パンクラス)

ケステゥシャス・アルボーシャス
(ラトビア士道館)
3R 5:00、判定/2-0
ケステゥシャス・アルボーシャス:イエローカード=1
判定:松宮智生(29-27)和田良覚(29-29)岡本浩稔(30-28)
■高橋義生(96.2kg) セコンド:長南亮
■ケステゥシャス・アルボーシャス(94.7kg) セコンド:佐藤堅一
レフェリー:梅木良則

今大会の対戦カードは、新旧ファンの方いずれにもバランス良く魅力的面白いカードが並んだなと思います。
その中で最近“僕こそがパンクラスです”と語り、心境の変化を見せている高橋選手が、第1試合ヘビー級戦で登場しました。対するアルボーシャス選手はこの試合の前に士道館の大会で優勝しています、試合前アルボーシャス選手にインタビューを取りに行き、どういう思いで試合をするのかを尋ねました。高橋選手は『U.F.C.』で危険な男と呼ばれている過去もあるし、アルボーシャス選手自身も大変危険な男の様に見受けられるし、そういう意味では、危険な男同士、チャンピオン対チャンピオンの様相ではという言葉を向けてみました。アルボーシャス選手はそれに対して、確かにそうですが、彼はクリエイティブな選手であり、まず初めに警戒するのは高橋選手がライトスタイルである事、という凄く冷静な返答でした。高橋選手にも言葉を向けたなら、アルボーシャス選手は堅くて上手い選手、というコメントでした。高橋選手は前回パンチを使わずに乗り切ったりと、試行錯誤をしていますが、今回はそれ以上に今後の自分を占う一戦にもなるだろうから、心してかかりたいと言っていました。また冗談半分で、今大会セミファイナルで登場する高阪選手と練習をしているので、彼は私の関節技の先生だから、師匠と同じリングに上がれて光栄です、とうそぶいてもいました(笑)。

試合はお互いに取りこぼしの出来ない、ガチガチのものでした。このカードはメインに出てきてもおかしくないし、それが第1試合からドンと組まれてどうなるだろうという感じでした。序盤、高橋選手がアルボーシャス選手のローブローで試合不成立かという大きなダメージを受け、イエローカードが出ました。闘いはお互い見合う形で、大変近い間合いでした。ライトスタイルに対して、アルボーシャス選手はオーソドックスですから、お互いの間合い手で、喧嘩四つという形でした。高橋選手の右手、アルボーシャス選手の左手がタイミングを取り合いながら、触りあいながらの組み手で試合は流れて行く中、1、2ラウンド打撃に終始するような形になりました。ですが正確には、そこから前には進めなかったというところだと思いますし、それだけ拮抗していたということかもしれません。その様な中、高橋選手が途中から左ストレートを使わなくなり、動きの部分でパターンを変えたりしていたので、これはどういう事かと思ったのですが、どうやら序盤で拳を壊してしまった様です。それはフック気味のストレ-トをロングで打った時に頭に当たった時で、右手が利かない中で高橋選手はどうやって勝ちに繋げるかという状況だったろうし、アルボーシャス選手はその様な状態とは裏腹に、強い攻撃を受け高橋選手のヘビーパンチャーである部分を認めて、なかなか踏み込めませんでした。

3ラウンド、試合は動きました。高橋選手がテイクダウンを取り、そこからグラウンドの一進一退の展開でしたが、アルボーシャス選手はスタミナがきれたのかもしれません。高橋選手は執拗な鉄槌等の地味な攻撃で動きを封じていきながら、アルボーシャス選手の首を押さえ小さなパウンドを打ち、彼の独特のバランスコントロールの中でアルボーシャス選手はグラウンドで何もさせてもらえなくなってしまいました。高橋選手のグラウンドというのは、ナチュラルで多少荒っぽかったりしますが、先の桜木選手との試合では、その独特な物を見せていましたから、プレッシャー勝ちというところだと思います。痛めた左手は掌打等に切り替えて、グラウンドで攻撃のリズムを守りながら右手で攻めていきました。そういうところでは良く攻め勝ったと思います。アルボーシャス選手は圧倒された部分から、3ラウンドに入り動きを止められ、有効性の高い物を殆ど押さえられ、それが判定に繋がったと思います。
オープニングマッチとしては正にヘビーな、ヘビー過ぎるマッチメークだった様に思います。面白かったです。

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