： 非常にセンチメンタルな試合だったのでは？
■ KEI山宮：あの、やる前は一生懸命出さないようにしてたんですけど、自分にとってはパンクラスにもう一度上がるっていうのはすごい大きなことで。GRABAKAに移籍してからずっと(そういう気持ちは)あったんですが、出た手前もあるし(すぐには戻れなかった)。もともとはパンクラスのリングで活躍したくて、経験が欲しくて、GRABAKAで経験したいと思ってやったことなんで。その矢先の(GRABAKAの)独立だったんで、『やっぱりパンクラスに戻ります』とはすぐには出来なかったですし、時間かけて勉強したかったんで。出たら出たで大変でしたけど、勉強にもなりましたし。だから、今回の試合の後にもう一度、パンクラスismの近藤有己とやります。

： 川村選手はどうでしたか？
■ KEI山宮：強かったです。ものすごい圧力でした。作戦としては、彼のいままでのシュート・ボクセとの試合を観てきて、あの圧力に屈して自分が下がってしまうと、全部持ってかれると思ったんで、ある程度打ち合う覚悟を決めてたんですけど、ちょっとゴングが鳴った瞬間に予定変更せざるをえない状況でしたね。すごい圧力でした。

： パンチ自体はどうでしたか？
■ KEI山宮：効きましたね。すごい石のようなパンチでした。

： ただ、当てたのは山宮選手のほうが多かった。
■ KEI山宮：そうですね。彼のパンチはストレートから来ることが非常に多いので。ストレートにはカウンターの左のクロスで。

： あの左のパンチは対川村用だったのでしょうか？
■ KEI山宮：そうですね。基本的には僕サウスポーなんで。右ストレート強い人はオーソドックスが非常に多いんで。それに僕リーチないですから。最近、ヘビー級の対戦相手が多くて、背が高い人が多かったんで、ストレートだと相打ちだと負けるんで、頭動かしながらのクロスっていうのを徹底的にこの1年やってきたんですけど、初めて試合で出せましたね。

： ダウンの手ごたえは？
■ KEI山宮：あれは完全に「抜けた」手ごたえだったので。いろんなボクサーが「倒れるパンチだ」って言いますけど、これなんだなって感じですね。

： 楽しそうに戦っているという感じだったが？
■ KEI山宮：いや、楽しくはなかったですね。好きで格闘技やってるんですけど、試合が近づけば怖くて、鬱になるんですよ。ましてや、パンクラスでは彼全然上ですけど、自分のほうが年も上で、キャリアもあって、ものすごい恐怖はありましたね。『負けたらすべて失う』っていう。

： リングの上では楽しそうだったが？
■ KEI山宮：楽しいっていうか、充実してましたね。すごい充実した時間でしたね。緊張も無くすっきりした空気があって。

： パンクラスを離れてから、一番楽しい試合だったのでは？
■ KEI山宮：そうですね。この試合のために3年間あった気がします。

： 最後まで冷静さは保っていた？
■ KEI山宮：冷静は冷静でした。自分の弱点はスタミナなので、今回はスタミナが切れないように徹底的にやってきました。K-1の前あたりからやってたんですけど、そのときはまだ成果が出なくて。今回はじめて出ました。半年かかりました。

： 開始直後に作戦変更せざるを得なかったにしては、いろいろとうまくハマッたのでは？
■ KEI山宮：そうですね。3パターン考えいて、そのうちの2パターンは出来たと思います。(川村選手には)あれだけの圧力と回転力のあるパンチがあるんで、自分のパワーでは太刀打ちできないということで、今回の作戦になりました。

： 近藤選手とはいつやりたい？
■ KEI山宮：ちょっと拳を傷めたんで、治って、練習しっかりできてから。時間的に彼とできるのは最後だと思うんで、全部を注ぎ込んで戦いたいですね。

： 試合後に川村選手に『パンクラスを潰さないでくれ』というメッセージを投げていたが、パンクラスの現状に考えるところがある？
■ KEI山宮：噂で聞いたりとか、坂本常務のインタビュー読んだりとかで・・・。パンクラス離れましたけど、パンクラスのお仕事をしている方とはいまでもお付き合いありますので、いろいろ大変だというのは聞いてました。その時期にのこのこ出てくるのもどうかと思うんですが、やっぱり僕はいろんなリングで戦ってみて、パンクラスが一番好きなんで。GRABAKAの選手とは違う思い入れが自分の中にはあるし、自分の格闘技人生の中で、パンクラスを離れるってことは思ってもなかったので。

： 3年ぶりに味わったパンクラスはいかがでしたか？
■ KEI山宮：自分の中では最高でしたね。最高でした。ただ、俺も結構気にするほうなんで、ismの選手のインタビューとか読んで、良くは思ってねえなっていうのはありましたけど、まあでも、パンクラス大好きだぞっていうのは分かって欲しいですね。

： お客さんからの声援が凄かった。
■ KEI山宮：もっとブーイングがあると思ったんですけどね。裏切り者だと思ってましたから。

： 久しぶりにパンクラスらしい試合だったのでは？
■ KEI山宮：そうですかね。まあ、やってる最中は思わなかったですけど、このカード自体は非常にプロレスチックなカードですからね。僕がパンクラスを離れなければ実現しなかったカードなので。すべては縁なのかなと思います。

： 川村選手に託すというようなマイクがありました。
■ KEI山宮：僕も修行修行言ってますけど、結構年月経ちましたからね。彼はまだこれからですから。やっぱりパンクラスの主流はライトヘビー級であって欲しいので。生まれ持って外人みたいな身体した選手ってなかなかいないですから。やっぱり彼だと思いますけどね。軽量級が悪いっていうことではなくて、今の参戦している選手やファンがどう思ってるか分からないですけど、パンクラスが旗揚げしたときは「進化系のプロレスリング」って言ってましたから。やっぱりプロレスラーは身体が大きくあって欲しいし。川村君にはそれを是非託したいっていうか、期待したいですね。