3月29日(月)後楽園ホール大会がいよいよ目前に迫ってきました。北岡選手はパンクラスGRABAKAの石川英司選手との初対戦が第4試合で決定しています。そこでそのVS石川戦のお話をお聞きする前に、北岡選手の前回の試合、2/15梅田ステラホール大会でのVS保坂忠広(パンクラスMEGATON)戦を少し振り返っていただきたいと思います。試合背景としては、北岡選手が自ら発した言葉、「MEGATONの選手と対戦したい」というものから実現に至ったカードだったんですけど、当日のお二人の体重差が約45kgもあった無差別級戦になりました。それだけの体重差の中で、北岡選手は正面から殴り合いにいき、真っ向勝負を仕掛けましたが、あの試合展開はもともと予定していたものだったんですか?
北岡悟:そうですね。ある程度自分が考えていた通りで、相手もある意味自分が考えてた範疇のことしかしてこなかったし、予想通りの部分が多かったですね。予想外だったのは、パンチのコンビネーションの打ち終わりにタックルに入ってしまうという、癖というか習性が出て、タックルに入るつもりがない試合だったのにタックルに入ってしまったことと、自分のパンチ力が想像以上になかったことですね。

パンチの手応えってありました?
北岡悟:あたってるのはわかりましたけど、手応えっていうのはわからなかったですね。自分のパンチ力がないっていうのは、技術的に足りない部分であったり、力だとは思うんですけど、僕はそれは体重差から生まれたものではないと思います。「体重差があったから効かなかった」みたいな話を保坂選手がしてましたけど、それは違うのではないかと。僕の打ち方の問題ではないかと思ってます。

約45kgの体重差がありましたけど、それだけの体重差の中での試合っていうのは実際いかがでした? 総合のリングで初めて体感したものだと思いますけど。
北岡悟:ん〜、重さよりも厚みみたいなものがやりにくかったですね。重さを感じたのはタックルに入った時だけですね。タックルに入って潰された時に重さを感じましたね。もう動けない感じですね。同じ体重の人だったら通常動かせるものが動かせなかったっていうのは事実ですね。でもそれももしかしたら僕のレスリング技術の足りなさかも知れないですけど。あとは(コーナーに)押し込まれたけど、相手も何もしてないですからね。そこから殴らせなかったり、何もさせなかったりっていうことに関しては、技術的には自信があるので。ホントはそこから更に攻め込まむことが求められてるものだと思いますけど、とりあえずディフェンスという部分ではできてるので。できてるというか、守るだけなら別にできるので。攻めることができないのはダメですけどね。非常にダメなことだと思います。プロフェッショナルとして。

前回、無差別級戦を体感して、今後もまた無差別級戦をやってみたいと思いました?
北岡悟:それは思いますよね。またやってみたいと思いますけど、ただ、実際今度の試合もミドル級なわけで。まぁ、それと変らない感じがしますよね。体重は数字でしかないと言うか。もちろん(無差別級戦ならではの)危険性とかはありますけど・・・。プロモートする会社がそれを望んで、僕に示してくれるなら、またやりたいなと思います。

試合前にお話を聞いた時、「パンクラスって何だろう?」という自問自答がありましたけど、実際試合 をして、その試合を終えて1ヶ月が既に経ってますが、その答えは見つかりました?
北岡悟:ん〜わかんないですね。わからないですよ(苦笑)。わかったら苦労しないっていうか。僕は(パンクラスを)武道とかって思ってはやってないので。好きなこととしてやっているので。だから「道だ」とかっては言わないですけど・・・。まぁ、自分の中にパンクラスというものが息づいてるのは感じますから、そこは恥じることはないかなと思ってます。試合後にも言ったんですが、まだ足りなかったり力が及ばないことがありますけど、ちゃんと自分の中で育ってきてるものがあるので、くさらずにちゃんとやっていこうと思ってますね。育てていくと言うか。

では、前回のVS保坂戦は、北岡選手にとってどんな意味を持った試合になったのでしょうか?
北岡悟:ん・・・いや、普通の試合だったかも知れないですね、そう考えると。それはでもこれからも続いていくことだと思うので。

ご自分の闘いの歴史の中でそんなに意味を持つ試合ではない?
北岡悟:ないですね。でも1戦1戦大事な試合ですよ。全てに忘れられない思い出がありますし、1試合1試合大事にしてきたつもりだし。悔しい気持ちも反省点もあるけど、全てに後悔はしてません。

わかりました。では、今回のVS石川英司戦について。北岡選手は現在ウェルター級でランキング4位につけていて、そのウェルター級が主戦場でしたけど、今回ミドル級での試合になりました。これもまた北岡選手ご自身が望んだのですか?
北岡悟:ん〜(苦笑)、「ミドル級でもいいから試合を組んでくれ」とは会社に言いました。そうしたらこのVS石川戦が提示されたので、それで受けました。

対戦相手に石川選手の名前を聞いた時の心境っていかがでした?
北岡悟:強い選手と試合をすることになるなって思いましたね。

最近の石川選手をご覧になってていかがですか?
北岡悟:強い・・・。でも最近に関わらず彼は強いですよ。それなのに「去年は無敗で・・・」とか言ってますけど、その前の年(2002年)、僕が『ネオブラッド・トーナメント』に出た年ですけど、彼は渋谷(修身)さんとかに勝ってますからね。だから全然彼は強いですよ。それはここ1年とかで思ってることではないので。

石川選手とは同級生なんですよね?(※北岡選手は1980年2月生まれ。石川選手は1979年10月生まれ)。
北岡悟:そうです。

それでお二人の出会いがパレストラさん。
北岡悟:そうですね。もう僕がパレストラで練習してる時に彼がやって来て。彼が入った日にスパーリングしましたよ。最初関節技を知らなかったんですけど、すぐ憶えて強くなって。総合の大会とかには僕なんかより全然早く出場して、すぐ結果を残して。それで身体も大きいから(GRABAKAの選手が当時練習していた)スポーツセンターに行っちゃってって感じですけど。だからそんなにず〜っと一緒に練習してたって感じではないですけどね。まぁ、僕もパンクラスに入ってからスポーツセンターには時々行ったりしてたので、そこでも練習しましたけど。

北岡選手がパンクラスに入門した年(2000年)に、石川選手が『ネオブラッド・トーナメント』でパンクラスデビューを果たしましたけど、石川選手の『ネオブラッド』出場を聞いた時はどう思いました?
北岡悟:「あ〜、石川が出るんだ」って思いましたね。別に、ちゃんと強いのは知ってたので、石川が出ることに対しての拒否反応はなかったですね。むしろ嬉しかったかも知れないですね、何となく。

お互いプロデビューする前からの知り合いということで、石川選手を意識していた部分ってありました?
北岡悟:ん〜、ず〜っとっていうのはないですね。正直階級のこととかもあったし、自分のことで精一杯だったんで。対戦するというイメージが全然なかったんですよね。最初彼はライトヘビーで、僕はウェルターだったから2階級も違ってて。だからそんなに意識してなかったですね。2001年、2002年頃は。

石川選手への注目度が高まったのは確かに昨年からなんですが、それ以前、例えば一昨年(2002年)には近藤選手と良い試合をしたり、石井(大輔)選手や渋谷選手に勝ったりして、ところどころで活躍してました。そういう姿を北岡選手はどんな心境でご覧になってました?
北岡悟:いや、強いなと(笑)。まぁ、何故強いのかというのにもいろいろ要素はありますけど・・・それは言いません。何かそれに対してビビッてるみたいだから。

北岡選手より早く注目を浴びたということに対しての、同級生としての感情はいかがでした?
北岡悟:ん〜あんまり嫉妬の気持ちとかはなかったですね。鈍かったんですかね、僕が。

石川選手が石井選手や渋谷選手から上げた勝利を素直に受け止めてました?
北岡悟:そうですね・・・まぁ、勝って当然の展開で勝ってたので、別に驚きとかはなかったですね。石川が強いというより、先輩方がダメというのも感じましたし。でもやっぱり勝つことは凄いと思いますね、もちろん。

今回、北岡選手にとって初のvsGRABAKAになりますけど、その辺で何か思うことはありますか?
北岡悟:それがやっぱり気持ちの中では強いものがありますね。いろいろ思うこともあるし。とうとう俺もGRABAKAと試合する時が来たかって感じですね。今までは、まぁ階級の話は抜きにして、強さとして太刀打ちできないというか、リング上で向かい合うこともできなかったと思うんです。これまでプロモーターからも提示されてきてないので。それが(提示)されたというのは、勝負論が成り立つというか、お客さんに見せるものとして成り立つというか、そこに僕が上がってきたのだと思いますね。だからそういう意味では、石川は最初から最前線で闘ってたんだと。そこが強さであり凄いなと思いますね。プロデビューしてそんなに経たないうちから近藤さんと試合したり、デカい(パンクラスの)先輩方と闘ったりして。そこが全然強いと思いますね。強さだと思います。

今回のVS石川戦で、北岡選手の中で一番大切にしたいものって何でしょう? 勝利なのか、内容なのか? それともまた別の何かなのか?
北岡悟:いや、勝ちというのはもう当たり前のことですね。対戦するからには勝たないと意味がないですよね。「やりました。負けました」って、無策に突っ込んでいってボ〜ンてやられたりするのは、ダサいし、そんなのやる意味がないし、お客さんに見せるものじゃないですよね。だからまぁ、ismでやってきた2年間が問われるってことにはなると思いますよね。(東京道場と横浜道場が一緒になって)ismになるちょっと前までスポーツセンターへ練習に行ったりしてたので、そこからの2年間でどれだけ強くなったのかなっていう確認になりますよね。で、ちゃんと強くなったと思います。相当強くなったと思いますよ、僕も。プロの選手としていろいろ経験したし、自分で言うのも何ですけど、人間としてもいろいろあったし。いろいろ良い経験をさせてもらってるというのがホントのところですね。頑張ってるのは僕ですけど、もちろん一人で頑張れてるのではないので。のびのびやらせてもらってるなって本当に思うんですよね。周りに。だからそういう意味で、周りから気持ち良く押し上げてくれる仲間や先輩とかのためにも、いや、ためには俺のためになんですけど、勝って、そういうものを周りの人たちに見せたいですよね。俺がやんなきゃダメだろって思ってますよ、一人で勝手に(笑)。

わかりました。では、ちょっとこの先の話になりますけど、前回が無差別級戦で、今回がミドル級戦。今後、主戦場にする階級に関してどのように考えてらっしゃいますか?
北岡悟:僕、以前何かのインタビューで言ったことがあると思いますけど、基本的には体重は絞るべきだと思ってます。僕の場合、通常は暴食して(笑)85kgぐらいあります。暴食せずに練習をしてれば、じわじわ80kgになるという感じで。で、試合を終えて、暴食し終わった後、ナチュラルな感じで82、83kgとかで、練習をはじめると80kgになるという感じです。基本的には僕はまだウェルター級の選手だと思います。でも、将来的には大きくしたいという気持ちがあります。大変残念ながら、実際大きい階級の方が注目されるのは事実なので。まぁ、エンターテインメントとして考えた場合、お客さん的には大きい人がバチバチやってる方が好きだと思うんですよね。なので、大きくしたいという気持ちもあります。で、今後どういうスタンスでいくかと言うと、ベルトに関して言えばウェルター級で狙いたいと思ってます。國奥(麒樹真)さんとタイトルマッチをしたいと思ってます。だけど、チャンスがあればミドル級でも試合をします。無差別級戦に関してもプロモーターから提示されればやりたいと思いますし、対戦したいと思うデカい選手がいれば無差別で対戦したいと思います。まぁ、今回、ミドル級戦でも僕と石川で勝負論が成り立つとプロモーターが思ったから組まれたものだと僕は思ってるので、そこに関しては自信があるし、全然勝負できるということで、無理のない感じが自分の中にはありますね。うん・・・どうかな?(笑)。

わかりました。では、ガラッと話題を変えてやわらかい話を。聞くところによると、携帯電話の機種変更を考えていらっしゃると。
北岡悟:はい(笑)。機種変更というか、携帯のバージョンアップですよね。会社は変えずに、最新機種を買おうと思ってるので。かれこれず〜っと同じものを使ってて、前回の大阪大会の後に、大会関係者の女の子から「ちょ〜古い携帯を使ってますね」って言われてガン凹みして(笑)。ダッサい携帯使ってたらダサいなみたいな(笑)。確か稲垣(克臣)さんと話をしてて、「ショぼい携帯を使ってるヤツはダサい」みたいな話になって、ちょっと凹んで(笑)、新しい機種にしようと思ってますけど。デザインとかもず〜っと同じものを見ると飽きるんですよね。ダサく感じるようになるんですよ。あと、おっさんっぽく感じて(笑)、おっさんっぽい携帯はダメだなって。電車の中とかで携帯をイジるのが恥ずかしくなってくるんですよね、だんだん(笑)。で、周りの人をみると新しくて良いのを使ってて、自分が取り残されてるみたいな感覚になるので、これは変えなきゃと思ってますけど。

いつ頃から北岡選手の携帯電話は最新機種でしょうか?
北岡悟:え〜、4月中には変えたいなと。

では、このインタビューをご覧になっていらっしゃる皆さんへ。5月に入って北岡選手を見かけたら「最新機種ですか?」と聞いて下さい(笑)。
北岡悟:と言うか、バージョンアップしたら写真を撮りまくると思いますね(笑)。撮りまくって、知り合いとかに送りまくると思いますね、多分(笑)。基本的に嬉しくなっちゃう人だから。音とかもガンガン鳴らすと思うし。これ見よがしに(笑)。

わかりました(笑)。では、これで最後です。今回、北岡選手の試合を楽しみにしている皆さん、北岡選手を応援していらっしゃるのファンの皆さんへメッセージをお願いします。
北岡悟:そうですね。え〜、GRABAKAファンの皆さんは、僕をヤジってくれていいと思います。いいですよ(笑)。だから俺が殴られてるところを観て喜んでくれていいと思います。ただし俺は簡単には殴らせないし、簡単にはやられないし。逆にもう、皆さんを気持ち悪くさせますよ(笑)。まぁ、とにかくお客さんは好きに観てくれていいですよね。ここからまたいろんなものが生まれてくると思うので、楽しみにしてほしいなと思います。良い試合になるような気もします。自信はないですけど。でも、勝つのは僕ですよ。一本とりたいですね。あの〜、知ってる方は知ってると思いますけど、1月の『プロ・アマ キャッチトーナメント』(80kg未満級)で、僕はオール一本勝ちをしてるんですよね(笑)。ちゃんと僕、一本とる技術を持ってますから(笑)。それを見せたいと思います。それをできるように最善の努力をしたいと思います。でも、できなかったらゴメンナサイ(苦笑)。



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