●「船木誠勝のネタばらし」というのをやらせてもらいたいんですが。現役を続ける中で、いろんな人に習った経験があると思うんですけど、船木誠勝ってレスラーの中に、何がハイブリッドされていたんでしょう。で、その中の核になっているのは何かなと。
船木:まず、廣戸さん。廣戸さんは相当サポートしてもらいましたね。肉体をいじめることと治すこと。技術的にもいくつかありましたけど、やっぱり一番大きいのは体を作ることに関してですね。

●藤原組時代には、ロベルト・デュラン戦に向けて、ボクシングを習ってますね。柔術を…盗みに行ったこともありましたね。マチャド道場ですっけ。
船木:はい。

●もっと古いところでは…
船木:藤原喜明さん。

●それとカール・ゴッチさんに、サブミッション・レスリングを。もっとありますか?あ、レスリングは?
船木:レスリングは最後の高知合宿で。ホントに徹底的に。だから四ヵ月くらいですかね、本格的にやったと言えるのは。

●キックボクシングはやってませんか?
船木:やってました。藤原組の時に。

●あと、今日どうしても聞きたかったのが、あの「構え」。片方の手をまっすぐ前に出す。あれ、何だったんですか?
船木:剣道ですね。

●剣道!やってたんですか?
船木:ええ。一般生と一緒に、武道館に習いに行ってました。何か新しい武道をやりたいなと思ってた時に、警視庁の武道大会だったかを見に行ったんですよ。それで剣道見てた時に、じーっと構えててパーンっとお互い接触した瞬間にどっちか面を取られてるっていう。足の踏み込み、そこにすごく興味わきましたね。

●はあ、それを素手の格闘技に応用しようと思った人なんていないでしょうね。あれ、好きだったんですよ。札幌でグレゴリー・スミットとやった時に、きれいに決まりましたね。
船木:ただ、単発なんで、当たんなければ連打の餌食になってしまうっていう、そういうデメリットがありましたね。そのかわり当たれば一発でかなりのダメージを与えられる。

●また「掌底」っていうスタイルに、
船木:合いましたね。

●…んんん、そうだったんですか。剣道。当時なんだろなんだろって思ってたんですよ。あの頃は、思わせぶりに中国拳法とかってごまかしてませんでした?あ、中国拳法っていうのは、やったことは?
船木:ないですね。

●サンボは?
船木:サンボは本を読んで、技の種類を研究しましたね。だいたい(学んだ格闘技は)そんなところじゃないですかね。

●その中で「核」になっていたのは何だと思いますか。
船木:何ですかね。やっぱり殴るのが一番好きですね。スタンドもそうだし、グラウンドも。後々考えると一番好きだなって。

●それは意外。サブミッションじゃないんですか。
船木:いいえ。サブミッションはものすごい難しいですよ。なかなか…この間の菊田×ブスタマンチ戦もそうなんですけど、サブミッションが得意の者同士になってくると、防御がすごい巧くなってなかなか技が決まらなくなってくるんですね。そこをどうやって崩すかっていうと、やっぱ打撃になってくるんで。

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